「長期で見れば株価は低迷しない」を盲信しない
はじめに
記事は、米国(S&P500)が長期的に上昇し続けるという信念に対して警鐘を鳴らしています。
- ジェレミー・シーゲル教授やジョン・ボーグル氏の影響で、株式の長期投資やインデックス投資の考え方が広まった。
- 2009年以降の米株の好調が続き、「株は常に上がる」という信念が広まっているが本当に大丈夫か?過去のバブル(ドットコムバブル)と似た心理状態になってないか?
- S&P500の株価収益率(PER)は高水準で、一部の巨大ハイテク株に依存しており、下落時のリスクが高まっているようにも思える。
まとめ:米国株式への過度な楽観に注意し、分散投資の重要性を再確認すべき。(たとえば米国債や新興国株などへの分散)
以上、まとめてみると、至極真っ当に思えるご指摘。ちなみに、伝説的投資家の警告って言うのは、こちら↓
”私は常々、この世で最も危険なことはリスクがないと信じることだと言っている。長期で見れば株価は低迷しないとの考えが熱狂的な買いを促し、株価が上昇の一途をたどるのもそれと同じだ。”
長期で見れば株価は低迷しない」を盲信しない
「この世で最も危険なことはリスクがないと信じることだ」っていうのは、まさに肝に銘じたいです。一方「長期で見れば株価は低迷しない」が少々危ういという点については、もう少し、考察が必要でしょう。なぜなら、この考え方って、長期投資をする上での根幹だから。これを信じられなかったら、こわくて長期投資はできません。
では、何を信じて何を信じないか? それを整理する上での観点をふたつほど。
ひとつは、「過剰な期待による過剰な資金投入はだめよ」と言う観点。
- いくら長期で増えるとは言っても長い時間でならせば、期待リターンはせいぜい年5〜6%。「2009年以降、米株は年間平均約17%」というような好リターンがずっと続くと思ってはいけない。
- 単年では株式の価値が半分に減るような事態もないとは言えない。このとき耐えられる金額でなければならない。その金額は人によって違う。
といった視点です。
もうひとつは、「長期というのは投資人生の長さと同じと思った方がいい」と言う観点。「長期で観れば株価は低迷しない」けれども「一時的には低迷することもある」わけです。
「一時的」とは20年程度もあり得えます(実際あった)。その低迷期間を含めてせいぜい年5〜6%のリターン。「年間平均約17%の上昇」は、長い目で見れば、調整が入ることも考慮しなければならないということです。
これらを踏まえた記事の助言はまさにその通りであります。
「新興国」や記事では相手にしてもらえなかった「日本」もオルカンには入ってます。ありがとうオルカン。
「米国債」となっているところは、日本の場合は「日本国債」。「バカ言うな、こんな金利が低くてやってられるか」と言う声も多いですが、じわり長期金利が上がってきているのは昨日のエントリーのグラフの通りです。
以上、「長期で見れば株価は低迷しない」っていうのは信じるんだけど、変な信じ方をしちゃいけないよ、というお話でした。