もしも為替ヘッジコストがプラスに作用するようになったら? 2023
はじめに
記事では為替ヘッジに関する視点をいくつか提供した上で、⻑期保有は「なし」が基本とまとめてます。この為替ヘッジの話。私自身は、整理がつくのに、ずいぶん時間がかかりました。今現在は、以下のような整理に落ち着いてます。
<株式資産>
- 証券全体のリスクに占める為替リスクは小さい
- 為替ヘッジコストをかけてまで、為替ヘッジする意味が少ない
→為替ヘッジなしがよさそうだ。
<債券資産>
- 証券全体のリスクに占める為替リスクが大きい
- 為替ヘッジする意味はあるが、為替ヘッジコストがかかる。
- 債券の期待リターンは小さく、為替ヘッジコストで吹っ飛んでしまう。
→為替ヘッジなしがよさそうだ。
というか、
- 外債は、期待リターンが小さいくせに為替リスクが大きい。
→そもそも、外債に投資しなくてよさそう
もしも為替ヘッジコストがプラスに作用するようになったら?
上記の論理で、キーワードになるのが為替ヘッジコストです。これは、内外金利差の状態によって作用が異なります。
(1)海外の金利>国内金利 マイナスに作用
(2)国内金利>海外の金利 プラスに作用
ずーっと永らく、(1)の状態が続いてきました。これが為替ヘッジ戦略にトドメの一撃を与えています。しかし、「もしも」…かなりの「もしも」、(2)の状態になったら私はどうするのかな?が今回のお題です。思うに、私は、
- 株式:証券全体に為替リスクの占める割合が小さいので、気にしないで為替ヘッジなしのままにする
- 債券:もし投資するなら為替ヘッジありの債券ファンドを買う。しかし、もう今さら、外国債券を組み込むのはめんどくさいし、国内債券の方が利回りが大きいなら、国内債券に投資すればよい。
国内の金利が上昇した場合は、為替ヘッジするかしないかより、個人向け国債か普通の国債かの方が、悩ましい問題になるような気はします。それにつけても「国内金利>海外の金利」という状態は生きてるうちに来ないかもしれないなあ、などと考える今日この頃であります。
コメント
そもそも株式アセットの割合がそれなりに多いなら、一番相性が良いのは現金ですよね。なんせ便利ですから。Cash is kingです。
債券が必要でヘッジコストかけるくらいならGPIFみたいに先進国債券と日本国債券を半々で持つことにより、リスク分散したほうがコストが安くすむし、合理的な気がします。もちろんそれぞれ生債券のほうが良いですが、面倒そうです。
投稿: ワッショイ | 2023年11月27日 (月) 05時04分
今後100円を切る「円高」は来るのか?
何のため「為替ヘッジ」が必要なのか?「いつか来るであろう円高に備えるため」現状を把握すると。日本の三重苦①人口減少、②無資源、③借金増大、更に経常収支、貿易収支の赤字、猛威を振るい始めたインフレなど日本の国力は低下の一途です。中長期的には「円安」が進んで行くと考えています。
「人的資本(給与・年金)など日本円で受け取る以上、運用は全て外貨建て資産にするのが経済学的に正しい。」(橘玲氏「賢者の海外投資術」)将来「円安」か「円高」は判らなくても、米ドル投資(ETF)するメリットは大きいと思います。来年から始まる「新NISA」の成長投資枠でBND・VCLTを運用すれば、毎月米ドルの分配金が得られる。円転して使うもよし、再投資して複利の恩恵を受けるもよし。為替リスクに備えて低金利の「個人向け国債」を持つより現実的です。
投稿: オークX32 | 2023年11月27日 (月) 09時05分
みなさまコメントありがとうございます。
>ワッショイ様
個人向け国債を選ぶ理由は機動性を求められない、かつ1000万円以上(ペイオフ対策)の資金の置き場所と思ってます。
>オークX32様
>何のため「為替ヘッジ」が必要なのか?
リスクを低減するためです。しかし、為替ヘッジコスト負けするのでこの戦略はあまりおいしくないというのが、本記事の趣旨です。
>為替リスクに備えて低金利の「個人向け国債」
ちょっと違います。「運用資産全体のリスクを調整するため」です。
投稿: NightWalker | 2023年11月27日 (月) 12時25分
私のペイオフ対策は証券会社の証券口座に現金を入れておくことです。これだと分別管理なので。無利子にしてまで流動性を大事にしている頑固者なんです笑。
投稿: ワッショイ | 2023年11月27日 (月) 13時29分
>ワッショイ様
なるほど。
流動性は、
(1)ぱっと使える→これは銀行がベター(証券会社だと振り込まれるまでのタイムラグがある)
(2)ぱっと証券を買える→これは証券会社ないしはスイープ設定している銀行がベター
個人的には、これらをオーバーした分は、多少なりとも利率のいい状態で半固定にしておきたいですけど、そういう考え方もありますね。流動性の大事さは、リーマンショックの時に私も身に染みてます。
投稿: NightWalker | 2023年11月27日 (月) 16時11分
銀行のペイオフ対策に証券会社を利用するのは微妙だと思います。
よく証券会社は分別管理されているから大丈夫と言われますが、倒産する会社が顧客の資産を使い込むことはよくあることです。
証券会社のペイオフに当たる投資者保護基金は1000万円までしか保護してくれないので、補償額は銀行と同じなんですよね。
https://www.jsda.or.jp/jikan/qa/002.html
元本保全を優先したいのであれば、銀行の決済用普通預金を使った方が確実でしょう。これだと全額保護されます。
https://www.tr.mufg.jp/life/payoff.html
投稿: AKI | 2023年11月28日 (火) 19時31分
>AKI様
コメントありがとうございます。
たしかに、預り金は、微妙な感じはしますね。さすがに、個人向け国債は、財務省が厳しく指導するような気がします。
投稿: NightWalker | 2023年11月29日 (水) 00時07分