住民税非課税世帯になるべきかならざるべきか
日経、田村正之さん。
住民税非課税世帯になるべきかならざるべきか
わざと年金受給額を減らして,住民税非課税世帯になり、社会保険料や医療費介護費等々をローコストで済まそうという戦略があります。例えばこんなロジック。
- 年金を繰り上げ受給して年金受給額を減らす。(A)
- 繰り上げた分は運用資産に上積み、アウトプットをたたき出す。(B)
- (A)+(B)が想定していた年金額以上になれば、社会保険料や医療費介護費等々が浮いた分勝ち。
田村さんの記事では、住民税非課税世代になるのはけっこうしんどいことを指摘してます。たしかに、世帯の状況も変わるかもしれないし、そもそも非課税世帯の条件だって変わるかもしれませんし。インフレ耐性の問題もある。
住民税非課税世帯になるべきかならざるべきか。難問です。
この辺の観点を整理してみたい方、整理中の方は、ぜひ、記事をお読みくださいませ。税理⼠の柴原⼀さん、FPの深⽥晶恵さん、社会保険労務⼠の井内義典さんのご助言も登場します。
我が家はどうする予定か?
我が家は、いろいろ勘案した結果、
- 収入の最適化(実質最大化)で決定する。
- 妻は、私の死後非課税世帯になることを考える。(たぶん多少繰り下げても自動的にそうなる)
私の場合は、老齢基礎年金は70歳まで繰り下げますが、加給年金をもらうため(妻は5歳年下)老齢厚生年金は65歳から受給。成り行きにまかせるかっこうですが、たぶん、課税世帯になる予定です。
後者が、大事だと思うんですよね。
何度か書いてますが、実は私の母が、父の死後、20年近く住民税非課税世帯。理由は簡単。母の年金収入の3/4を占めていた遺族厚生年金は「どんなにあろうと非課税」というアグレッシブな仕様だからです。課税されるのは基礎年金だけ(その昔、免除期間に免除した方がおトクと勘違いしていたため満額ではない)。当然のごとく非課税世帯に。おかげさまで、社会保険料、介護医療費用、ついでに昨今乱発される非課税世帯へのバラマキ給付金の恩恵がありました。
ただ、共働き世帯が多くなると夫婦間の厚生年金格差が徐々に減ることも予想され、遺族厚生年金自体が消え去る運命にあるのかもしれません。
余談
最近の政府って、「貧乏人(住民税非課税の人)には迷惑をかけませんから増税させて」みたいなけっこう幼稚なプランを提案してきますよね。公的な費用負担を中間層以上に押しつけているのがバレバレなわけで。あれ考えてるの財務省なのかしら。政治家や政党が良いブレーンを手駒に持って欲しいなあ、なんてことを考える今日この頃であります。
コメント
年金定期便を見ると「年金繰り下げるとこうなります」みたいに政府提案が図式入りで書かれていますが、国が税収のためにPRしているなんて言うのは早計ですね
むしろ現世欲に押されて早めに貰った場合の将来リスクをどう考えるか
だらだらと長生きをしてしまった場合に、年金は一生貰える有為なものですから、今を見るのではなく先を見ないといけませんね
私も基礎年金、厚生年金ともに数年繰り下げようと考えています
遺族年金が相続資産の一種と考えた場合、将来的にはその非課税制度は撤廃したほうが良いだろうと私は考えています
そしてそれ以上に、有資産家が国民年金の免除を受けるのを防止すること
年金の支払いが困難な人のための免除制度がFIRE民らに利用されているのを防ぐべきだと考えています
人生をそして世の中を損得計算、算盤づくのみで捉えるのがFIRE民だという誤解を世の中に与えてしまいます
投稿: 汚れた英雄(NEO) | 2023年11月21日 (火) 06時50分
> 汚れた英雄(NEO) 様
コメントありがとうございます。
あまりにせこいFIREは、持続性に乏しいような気もしますよね。
>損得計算、算盤づくのみ
はい。以前から書いてますが、こと繰り下げについては、損得勘定ではなくいくら欲しいかで単純に考えるというのが持論です。でないと変な思考ループにはまります。
投稿: NightWalker | 2023年11月21日 (火) 11時16分
自営業です 国民年金の予定受給額が満額で月に6万5千ほどと知った時に 毎月の年金保険料の払込金額1万5千円を投資に回しました
国民年金予定受給額は5万円ほどですね 住民税非課税も勿論想定しましたが 一番はお金の相対的な時間における価値を考えた事です その日暮らしの現金商いですと明日は当てにならないのです (まして "国に施しを受ける" ありえない考えですね) 国家とは徴税機関でしかないし
雇用され課税された経験はないですからわからない あんばいのいい落とし所はどの辺でしょうかね 考えてもまだなんだろけど
朝三暮四 最初の意味じゃあないです それでは二つ目なのか やはり国民は愚弄されてるのか
三番目の意味まで辿り着くのは無理ですかね
猿より愚かな選択しか出来ないのでしょうかね
投稿: k | 2023年11月21日 (火) 14時22分
「遺族厚生年金」の非課税制度撤廃は、私も大賛成です。専業主婦だった単身高齢女性は、遺族厚生年金=非課税ですが、シングルマザーの場合、自分で稼ぎ、さらに1人で子育てもした人は、非課税等の恩恵なし。現役時代に苦労して、さらに老後も冷遇なんて、ほんと、ひどい仕打ちだと思います。
投稿: j | 2023年11月21日 (火) 15時57分
私のFIREは、住民税非課税世帯を前提です。
FIRE後、60歳から終身の企業年金、65歳から老齢基礎年金、70-75歳から老齢厚生年金を受給する計画です。
老齢厚生年季を受給するまで住民税非課税世帯となっています。
何歳から繰り下げた老齢厚生年金をもらうかは、手持ちの現金の量で70歳以降決める予定です。
投稿: インデックス素人 | 2023年11月21日 (火) 17時10分
みなさまコメントありがとうございます。
> k 様
年金がなくても死ぬまで生きる算段があるので年金はいらない人がいれば、一方で、何らかの仕送りがなければ老後の生計が成り立たない人もいる。年金は、後者の人たちのための壮大な「仕送りシステム」です。納得がいかないのは、前者の人たちもセットで考えないと、このシステムが成立しないということでしょうかね。
>j様
遺族厚生年金は、妻(夫)の厚生年金の受給額が、亡くなった夫(妻)の75%以上あるともらえません。この場合は妻(夫)も夫(妻)の死後自分の厚生年金を課税して貰うことになります。なので、男女間の賃金格差が小さくなるにつれ全体としてのボリュームが減り、自然消滅するのではないかと思ってます。
ただ、これらの制度は、専業主婦が大量に生まれた背景、すなわち、戦争ですべてを失った世代の老後に対する救済策の側面があるので、完全消滅にはそれなりに時間がかかるのではないでしょうか。
> インデックス素人 様
一時的な住民税非課税状態はひとつの方策です。悩ましいのは、医療費介護費のかかる後期高齢者の自分です。お金がかかるので年金がそれなりに欲しいが、それなりにもらって住民税非課税ではなくなると負担が大きい。そして、先のことなので見通すのが難しい。悩ましいです。
投稿: NightWalker | 2023年11月21日 (火) 21時56分