投資信託もユーザーの声をちゃんと聞いた会社が勝つ時代
三菱UFJ国際、資産運用首位奪取の立役者は?
公募株式投信の預かり資産残高で野村を抜いてトップになった三菱UFJ国際投信の社長へのインタビュー記事です。
同社の純資産総額ベスト10がこちら(2023/1/24付)↓ これだけで、4兆4145億円あります。牽引役はもちろん★印を付けたSlimシリーズ。
# | ファンド名 | 純資産総額(億円) |
---|---|---|
1 | ★eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 16,993.75 |
2 | ★eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 8,471.24 |
3 | ★eMAXIS Slim先進国株式インデックス | 3,903.40 |
4 | グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型) | 2,822.36 |
5 | サイバーセキュリティ株式(H無) | 2,654.61 |
6 | ★eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) | 2,034.55 |
7 | グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド 『愛称:健次』 | 1,981.29 |
8 | M・Sグローバル・プレミアム株式(H無) | 1,978.45 |
9 | ★eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) | 1,752.60 |
10 | ベイリー・ギフォード インパクト投資F 『愛称:ポジティブ・チェンジ』 | 1,553.63 |
eMAXISシリーズの運用開始は、14年前。今ではSlimに対してFatと呼ぶ人までいる始末ですが、当時はそれでもかなりの低コストだったのです。
「当時の社長が、『日本の個人つまり今投資してない人が(投資をするように)変わっていくとすると、絶対に(指数連動の)パッシブ運用を求めるはず。そこをやっておかないのは駄目だ』ということで、つくったのです」
「NISAが始まって積み立て投資に注目が集まるようになったときに、私の前任の社長が『積み立ての三菱UFJ国際投信にするんだ』という方針を出したのです。」
経営幹部がインデックスファンドビジネスを重要視してたっていうのは重要ポイントですよね。他社は現場の若手はいい人いたんだけど、幹部が石頭だったのかな。先行者利益を捨てちゃいましたよね。これから訪れる資産形成の時代において、たぶん致命的なミスでした。
投資信託の世界でもユーザーの声をちゃんと聞いた会社が勝つ時代
また、こんなご発言もありました。
インデックスファンドのシリーズは他社が先行しており、弊社は後発でした。差が出たのは、マーケティング的に投資家に響いた部分があるから
端的に言ってしまうと「ブロガーミーティング」。たとえば、こんな話。(不肖私もブロガーミーティングに参加してました)
Slimシリーズは当初、全世界株式インデックスファンドとして、3地域均等型を出しました。そして、商品プロモも兼ねてブロガーミーティングを開催。ブロガーのみなさんは、説明にうなづきつつも「なんで時価総額型のインデックスにしないんだ」と言う声も出ていたのです。
そして、その半年くらい後のブロガーミーティングで超意訳するとこんな会話がありました。
三菱UFJ国際投信さん「3地域型、売れない。時価総額型を作るとしたらMSCIとFTSE、どっちの指数がいい?」
ブロガー「どっちでもいいんじゃね。作ることが大事」
それからひと月も経たないうちにオールカントリー爆誕。まさに、ダイレクトマーケティングでした。
以上は、インデックスファンドの話ですけど、アクティブファンドでも同じような動きをしたいと記事では語られています。独立系投信と同じように「担当者の顔が見える」ようなスタイルですね。
新しいNISAは、生涯投資枠がドカンと大きくなりました。これから起きるのは、このワクの争奪戦。NISAはDCと違って、法人営業による囲い込みはできません。一般的なコンシューマ向け商品と同じく商品自体の訴求力とマーケティングで決まります。
他社さんも、ちゃんとユーザー、それも「耳が痛いこと」をずばっと言ってくれる投資家の声を聞いた方がいいんじゃないかなー。でないと、ワクは、一部の運用会社の一部の商品と個別株で埋まっちゃう気がするなー。ボタンの掛け違いは、三菱UFJ国際投信さんの例を見るまでもなく、10年後20年後に明らかになり、その時はすでに遅いのであります。
私は投資家なんで、ただ選ぶだけ。どこの運用会社がどうなろうと知ったこっちゃないわけですけどねw
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コメント
確かにSlimシリーズは成功しましたが、その裏で既存のeMAXIS保有者は高いままの信託報酬を払っている面も忘れてはならないと思います。
投稿: | 2023年1月25日 (水) 10時24分
>? 様
コメントありがとうございます。その問題はありますよね。
eMAXISだけではなく前世代のインデックスファンドは、シンNISAで乗り換えが進むと思います。このコスト差は10年後にずっしり重くのしかかりますから。
とは言え、値下げをファンドのスペックに入れたことでSlimは支持を得て、たとえば先進国株式クラスでは、Slim 3900億円超、旧eMAXIS 630億円弱 と大きく差ができました。
もうひとつは主流が変わったこと。Slim躍進の牽引車のS&P500とオールカントリーは、旧eMAXISにはなかった指数なんですよねー。(S&P500は、旧eMAXIS版の方が後発)
投稿: NightWalker | 2023年1月25日 (水) 12時15分