国民年金の加入期間、5年延ばすのってダメですか?
はじめに
国民年金の加入期間を現状の40〜60歳から、40〜65歳まで伸ばす件に関する山崎さんの見解です。まず、はじめに「過去の議論は紹介されたものの具体的案が出たわけではない」にもかかわらず、例によってメディアは批判記事を掲載しまくっていると山崎さんはご指摘。まったく持ってその通りだと思います。
その上で、
- 年金制度の発足時の1960年頃の平均寿命は、男性65.32歳 女性70.19歳
- 60年前、男性の平均寿命と国民年金制度の受給開始年齢がほとんど等しい
1960年頃の平均寿命は戦後の特殊事情があったのかもしれませんが、それにしても、60年以上前のままというのはおかしいと。
”「60年を経過」して、「16年も男性が長生き」するようになった時代に、「保険料を負担する期間がまったく変わらない」ほうがむしろおかしい。
まとめ:60年ぶりに5年加入期間が延びるのはさすがにおかしくないのでは”
たしかに。記事では、給付水準についても、言及があります。
- 5年長く納めた人は年金額がプラスになる可能性がある。
- 過去の議論の中では、「40年→45年納付期間とし、12.5%多く保険料を納めた場合、基礎年金額も12.5%アップさせる」という案も示されていた。
これはマストアイテムになるでしょう。
雑談
令和4年度の年金は、月額64,816円。もし12.5%アップするなら、月額72,918円=年875,016円になります。
今までだと「昔の人は年金たくさんもらえていいよね」だったのが「負担は増えたけど、昔の人よりたくさんもらえるからまあいいか」となります(感じ方には個人差があります)。
この制度改正は、1号被保険者にとっても歓迎すべきものという見方もできます。
- 60歳以上になっても基礎年金を増やすパスができる。(会社員は60歳以降も厚生年金に加入できるのに不利だった)
- 65歳までiDeCoや国民年金基金に入ることができるようになる。
結果、マクロ経済スライドという名の年金減額プログラムに対する自助努力の道が、1号被保険者にも増えると言う寸法です。
ここで問題となるのは、制度ができたときに60歳以上、ことに年金受給開始後の65歳の人はどうなるのか?上述の「昔の人」が置いてけぼりになることです。ここはなんとか、
- 60歳以上で希望するものは、たとえ年金を受給開始していても最大まる5年分追納でき、その分、受給額が増える。
というようにはして欲しいです。となれば、私は間違いなく追納すると思います。
本件、今後の議論の行方には注目したいと思いますし、山崎俊輔さんが今後もいっぱい記事を書いてくださると信じてますw
余談
賦課方式の年金制度は、仕送りの社会システム化。コドモがいなくても仕送り(年金)がもらえるという制度です。年金がない時代はコドモがいなければ、自分は親に仕送りをしたのに自分はもらえない、という状態だったわけで。
コドモすなわち現役世代が少なくなることは連帯責任。それに見合った受給額になるのは致し方ありません。個人的には、個人の子どもの数と年金受給額をある程度連動させるような制度にならないものかなあとは思います。うまくすれば、シングルマザーの支援策にもなるような気もするんですよね。
コメント
繰り下げ受給とかもそうですけど、受給額を増やす方向には、なぜか批判的な論調が集まりがちですよね・・・
投稿: mets | 2022年10月28日 (金) 07時59分
>mets 様
コメントありがとうございます。
そうなんですよね。本件もある政治勢力とメディア、そしてまんまとネット(大衆)が釣られ、批判の論点をずらしているような気がしてなりません。大衆のガス抜きです。
似たものではマイナンバーカードと健康保険証の話があります。メディアやネットでは、カードのセキュリティの問題について追及する人が多いですが、問題は、マイナンバーカードを使ったときに生ずる手数料。本来は、デジタル化するんだから、医療費が下がらなければ行けませんよね。
しかしこのことを指摘するメディアはありません。このままでは、iDeCoと同様、役人の制度改革のモチベーションが天下り先の確保になるだけという…。
投稿: NightWalker | 2022年10月28日 (金) 10時25分
・5年長く納めた人は年金額がプラスになる可能性がある。
というのは、寡聞にして知りませんでした。
とは言え、少子高齢化が進む中で年金減額は避けられない…と考えています。
なので、個人的には
・5年長く納めた人は「給付水準(所得代替率)低下が減る」可能性がある。
と悲観的…もとい「保守的に」考えるようにします(笑)。
投稿: 猫のジュウザ | 2022年10月29日 (土) 20時23分
>猫のジュウザ 様
コメントありがとうございます。
山崎俊輔さんのおっしゃりたい事は、「まだ決まっていないことをいろいろな議論があるにもかかわらずまともに調べもせず(調べもしないくせに専門家と称する連中がけっこう多い)悪い方に決めつけて書いて雑誌を売ろうとするのはやめてよね」ってことかと。
投稿: NightWalker | 2022年10月29日 (土) 23時43分