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2022年7月18日 (月)

FIREがつまらない人生の選択ではもちろんない。

東洋経済ONLINEさん。

FIREの資金ができた頃、「つまらない人間」に?

「若いうちにFIREなんて目指すなんて、つまらない人生の選択なので止めておけ」という記事であります。

仕事でがんばる、仕事で成功したい方々(つまり東洋経済や週刊ダイヤモンドや日経ビジネスの主たる読者層)にとって心地よく響きそうです。世の中、感情的、感覚的な意味合いも含めて「FIREなんてふざけるなっ」といいたい人の方が圧倒的に多いのです。そこに権威と論理が欲しいわけで。まあ、それが普通というものです。

煽りますよね〜。ということで、早期リタイア組の私も煽られてみようというのが今回のエントリー。相互リンク先のみなさまの記事で知りました。

私の結論は、2つ。

  • FIREを目指すこと=つまらない人間になるってのは、言いすぎ。
  • FIREをする理由に思いが至っていないというか少々ずれている。

これはそうだよねと思ったこともありますので、まずはそこからコメント。

十何年も経ったあと、そのやりたいことは色あせずにいるだろうか?

本当にやりたいことがあるのならいますぐやればいい。本当にやりたいことならば、趣味であれ副業であれ、なんらかの形でいますぐやれる。

これは全面的に賛成。ただ、私の理由は「リタイアしたときにも役に立つから」で、微妙にニュアンスが違います。

やりたいことを後ろ送りするタイプの人は、いざ時間とお金ができてもできなかったりするかも。一方、今すぐやるタイプの人は、早期リタイアしたときには、新たな興味の対象を発見し、更にハッピーになっちゃうような気もします。

節約によって、重大な機会損失を招く危険性がある。

これも納得。ただ、自己投資による重大な損失、つまり勉強したけど役に立たなかったみたいなことも往々にしてありそうなので、フィフティフィフティ。ここはバランスですよね。

そもそも、早期リタイアは万人にオススメできるものではない。

「自由への渇望」「社会的支配からの解放」「消費を(経済成長を)糧とする社会へのアンチテーゼ」。私が思うFIREには、70年代のヒッピームーブメントのような思想を背景に感じます。皮肉なことに、その唾棄すべき支配システム、資本主義を利用することで、普通の人でも生きているうちに自由になれる、支配層=解雇する側の横暴にあらがうことができる。FIREとは、そんな二律背反的な生き方なのです。

メインストリームからみれば、変わり者でありサブカルチャー。実際、早期リタイアする人は全体で見ればほんのわずかでしょう。割と万人にオススメできるインデックス投資(これすら今の日本ではサブカルチャー的)とは違い、FIREは、みなさまにオススメするようなものではないのです。

FIREがつまらない人生の選択ではもちろんない。

記事でカチンとくるのが、つまらない人の例。

ワインのリストから自分の気分に合うものを選べない、あるいはアラカルトメニューから注文できないような人といてもおもしろくない。

いやいやいや、そんなことでマウントを取ろうとする人の方がつまらない、というか、そういう価値観がイヤで早期退職勧奨をこれ幸いと抜け出したのが私。そんなにワインが好きなら、いっそのこと欧州のぶどう農場に投資してみるとか、競馬が好きなら馬主にまでなるべきでしょう。その方がずっとおもしろい人生になるかもしれません。傍から見ている分には、失敗もエンタテイメントなのですから。

つまらないかどうかは、自分が決めればいいこと。他人からどう見えるかを気にするのは、現代社会の呪いに過ぎません。

たとえば、最近、突如アニメに目覚めた私は、声優の声が聞き分けられない人と話していてもおもしろくないと感じますが、そんなやつが上司で押しつけてきたらイヤでしょう・・・えっ、イヤじゃない?(笑)。

人生は「勝ち組」だけではない。

また、仕事がつまらないと感じる人への思いやりとか配慮が足りないような気もします。

おもしろい仕事に携われないのはなぜか。必ずしもその人だけが悪いわけではありません。氷河期世代のような時代が生んだ状況もあります。仮にその人の能力的な問題であっても、その人にあった仕事に出会えない、学ぶチャンスがない不幸もあります。

FIREは、そんな人々にとっての救いのシナリオのひとつなのです。じっとガマンしていつかは見返す。本当にただ怠惰なだけの人間に達成できる方法論でもありません。

能力が高く努力し勝負もした。だから成功した。そんな「勝ち組」の視点では、FIREは語りにくい。若い世代は、旧態依然とした上昇指向の論理で現代社会を勝ち残れる人は少ないということを、リストラされる自分の両親の世代を見て、冷ややかに感じ取っているだけなのかもしれません。

FIREを、ひとつの人生の選択肢として、人生の多様性として理解するのが「つまらなくないオトナ」。そう愚考いたします。

おわりに 〜FIREは単に実現手段の問題。

東洋経済さんの記事は、堀江さんのおかあさんがマンション経営をやりたいと言いだした時の話で結んでいます。

年金や蓄えが足りなくなったら俺が補填するから、頼むからマンション経営とか勘弁してくれ。そんなことよりボランティア活動をしてくれ」

(中略)

FIRE生活なんて目指すべきではない。日々、やりがいを感じて暮らしている僕の母のような人生を送ってほしい。

堀江さんは、おかあさんの話を引き合いにFIREを否定していますけど、「日々、やりがいを感じて暮らす」という点で相違はないはずです。FIREとは、堀江さんのような太いムスコのいない人が、ほんのちょっとだけ早い人生のタイミングで堀江さんのおかあさんのような人生を実現するメソッドに過ぎないのです。

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コメント

FIREをことさら素晴らしい事のように喧伝する人たちと逆の意味で同じ間違いを犯してるんだろうな
どちらも人によってあうあわないが大きい生き方だと思う。

投稿: | 2022年7月18日 (月) 00時20分

>?様
コメントありがとうございます。
>あうあわないが大きい
その通りだと思います。

投稿: NightWalker | 2022年7月18日 (月) 00時25分

完全に同感ですね。
特にカチンとくるところの辺りw

まぁこれも私だけの解釈かもしれませんが
FIREの本質ってリタイアじゃなくて経済的自立ですよね?
別に仕事をするかしないかでは無いと思います。
FITRした上で好きな事をやればいいんであって
それが仕事であっても問題はないですよね。

山崎さんや堀江さんもある意味FITRしてるんですけどね。
本人達はそう思ってないみたいですが?w

FIREって言い方が悪いんですかねぇ?
ただの経済的自立で良いように思えます。

投稿: こばやん3号 | 2022年7月18日 (月) 04時18分

>こばやん3号 様
コメントありがとうございます。
>FIREの本質ってリタイアじゃなくて経済的自立ですよね?
私は、両方と思ってます。早期リタイア=賃労働からの解放という目的があって、その手段ないしは前提としての経済的自立かなと。経済的自立は、目的決めずに目指してもいいわけで。
堀江さんは、お金は全部使えみたいなこと言っているしどうなんだろw だとすると、自己肯定の上でFIRE民は不都合な存在ではあります。だからといってFIREを批判するのではなく、余裕を見せて欲しいかな。

投稿: NightWalker | 2022年7月18日 (月) 08時48分

東洋経済の記事は私も拝読しましたが、これはかなり反発もあるだろうな、と感じました。
所詮「勝ち組」のお二人じゃん、てな声が画面の向こうから聞こえたような…(気のせい?)

山崎センセは今でも大変尊敬しておりますが、ワインのくだりはちょっとセンセらしくないかな、とも。
ワタクシも含め、これにカチンとくる「カチン組」は結構いらっしゃるのでは(笑)。

庶民の資産形成に大いに貢献されたセンセが、「やっぱりあっち側の人だったのね」なんて思われてしまったら悲しいです。

投稿: ひさご | 2022年7月18日 (月) 16時39分

>ひさご様
コメントありがとうございます。
ホンネで論ずる先生の毒、いつもは金融業者に向かっていたのですが、今回はあらぬ方向を向いてしまった気がします。

投稿: NightWalker | 2022年7月18日 (月) 18時45分

30代の頃は、定年後は年金と蓄えでリタイア生活を楽しもうと思っていました。しかし、子供たちの大学(院)の学費を賄うために50代に充分な蓄えができず、継続雇用で65歳まで宮仕えして、ようやく今はFIRE生活を送っています。
振り返って、今の30-40代の現役世代を見ていると、自分の同世代の頃と比べて余裕が無いような、仕事に追われ過ぎているような気がして、FIREに憧れるのも判るような気がします。
自分が望んだ仕事や好きになった仕事であれば、仕事に追われても頑張れるでしょうが、そうでないと、きついなあと思います。そういう意味では、FIREは宮仕えの人の欲望の一つで、独立や自営と同じような意味合いがあるのではと思います。
普通に宮仕えしながら定年前にFIREを目指すには独立するのと同じような強い意志が必要で、FIREできる人は宮仕えでも何とかやっていけるのではと思います。

今回の議論、どこかすれ違いのような気がします。「FIREは手段」で、では目的は何でしょうか。
今の生活に何とか満足していると言えるようになることでしょうか?

投稿: 定年退職者 | 2022年7月18日 (月) 23時07分

>定年退職者 様
コメントありがとうございます。
>どこかすれ違い
ですね。

少なくともFI と REを分離して考えるべきです。それぞれにケースバイケースの事情があります。

たとえば、FIでは、「若いうちは自己投資すべきだ」という議論がある一方、定年退職者さんのおっしゃるように、そんな高尚な理由以前に、子育て費用やなんなりでお金はすり減っていくという現実もあります。

ひとそれぞれである実は深い問題を、一律だめ出ししたり上から目線で諭すような物言いはやめた方が良いと言うことではないでしょうか。

投稿: NightWalker | 2022年7月18日 (月) 23時23分

このお二人が話が合う、のが意外でした。まぁ仕事ですからね。。。
美食の話は通じ合いそうかな。
いずれもお母様は良い息子さんで幸せです。

投稿: ミント | 2022年7月23日 (土) 15時27分

>ミント 様
コメントありがとうございます。
共通点・・・・そういえば、出身大学が同じですね。自己投資をするよりも蓄財で他人に投資した方がリターンが大きい人生なんて「想定の範囲外」ですw

投稿: NightWalker | 2022年7月23日 (土) 15時35分

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