分散投資の基本を説明するにしても・・・
はじめに
記事は、相関が低い資産を組み合わせるとリスクが下がりますよ〜、といういい話なのですが、ちょっと微妙なところがあるので、視点をふたつほど。
その1 相関も大事だがコストの方も超大事
記事では相関係数のを見るのに6つほどファンドをチョイスしているのですが、そのチョイスがすごい…。
- インデックスファンド225(0.57%)
- フィデリティ・日本成長株・ファンド(1.68%)
- netWIN GSテクノロジー株式ファンド B(H無)(2.09%)
- DLIBJ 公社債オープン(中期コース) (0.50%)
- グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)(1.38%)
- フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(1.74%)
( )内は、税込の信託報酬率です。
高コストファンドのオンパレード。TOPIXじゃなくて日経225。あのグロソブすら登場。これでは、分散の神様が怒ってしまうのではないでしょうか。真面目な視点でアクティブファンドを応援している投資家も絶句してしまいそうです。
相関係数も期待リターンも不確実ですが、コストは確実です。
そもそも、投資の基礎知識として相関を説明するならインデックスの組合せでしょう。そんなこと百も承知の見識者が書いているんだから、たちが悪いというか。確信犯としか言いようがありません。
その2 相関係数がマイナス1の資産があったらぜひ知りたい件
記事には、
”相関係数がマイナス1のものと組み合わせれば、値動きが完全に相殺されあって組み合わせ投資の値動きが一直線になる”
とあります。ひょっとすると、「相関係数マイナス1」にネガティブな印象を持ってしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、相関係数マイナス1かつリスクが同じ資産の組合せがもしあったとしたらそれは、理想的な組合せとなります。たとえば、
- 資産A 期待リターン 5% 標準偏差20%
- 資産B 期待リターン 3% 標準偏差20%
資産Aと資産Bを1:1で組み合わせた場合には、期待リターン4%、リスクゼロのポートフォリオができます。もし、そんな組合せの資産クラスがあったら、こっそり私だけに教えて下さい。ばれると相関係数がマイナス1じゃなくなっちゃいそうなので(笑)。
以上、視点をふたつほどあげてみました。
記事では、相関係数の話だけになっていますが、モダンポートフォリオ理論のモデルでは、「期待リターン」「相関係数」「リスク(標準偏差)」の3つのパラメータがセットです。ご興味のある方は、先日もご紹介したファンドの海さんの試算サイトで、あれこれ試してみることをオススメします。
« つみたてNISA対象に三井住友DSアセットの低コストインデックスファンド3本が追加 〜大手銀行が最安値のインデックスファンドを取り扱う意義は大きい。 | トップページ | お金の相談相手を見つける話。 »
コメント
日経ヴェリタスの記事ですね。毎号読んでますが、たまに投資初心者の私には「よく意味が分からない・・・」と思われる文章、記事があります。今回のこの記事では、ご指摘の二か所がまさにそれ。初心者にすら違和感を感じる部分は、用心したほうがいい、ということでしょうか(苦笑)
自分にとっては紙ベースの情報誌で鮮度が高く参考にできるものはヴェリタスくらいなのですが、もう少し投資家目線で内容を精査してほしいと感じる部分もありますね。
投稿: クロツメクサ | 2022年1月28日 (金) 21時56分
> クロツメクサ様
コメントありがとうございます。
>初心者にすら違和感を感じる部分は、用心したほうがいい
おっしゃる通りと私も思います。危険察知の直感力は大切ですね。
投稿: NightWalker | 2022年1月29日 (土) 01時22分