リタイア後って何をする期間なの?と迷ったときにオススメの一冊
遅かれ早かれ多くの人に会社を卒業しリタイアするときが訪れます。何をすれば良いのか悩んでしまう人も多いでしょう。そんなときの指針にオススメなのが五木寛之先生のこの一冊。
五十歳からの林住期こそ「人生の黄金期」
単行本は、2007年2月刊行。けっこう評判になった本なので、お読みになった方も多いかもしれません。私が読んだのはごく最近。本書では、人生を古代インドの考えに習い、4つのフェーズに分けて考えています。
学生期(がくしょうき) | 青春 | 0〜25歳 |
---|---|---|
家住期(かじゅうき) | 朱夏 | 25〜50歳 |
林住期(りんじゅうき) | 白秋 | 50〜75歳 |
遊行期(ゆぎょうき) | 玄冬 | 75〜100歳 |
この分類だと、定年後=リタイア後は林住期。五木さんは、冒頭、以下のように書いています。
「林住期」とは、社会人としての勤めを終えたあと、全ての人が迎える,最も輝かしい「第三の人生」のことである。
(中略)
乱暴な言い方だが、私は、現代に生きる人々は五十歳でいったんリタイアしてはどうかと思うのだ。実際には六十歳、それ以上まで働くこともあるだろう。しかし、心は、五十歳で一区切り付けていいのではあるまいか。
これまで人生の黄金期と言えば、人生前半の青・壮年期がすべてと考えられてきたけれど、五十歳からの林住期こそ「人生の黄金期」として開花させるべきではないのか、そのためには「学生期」「家住期」のうちに準備が必要、と問題提起しています。
これを読んだときに思ったのは、
早期リタイアってまさにこれじゃん。
ということ。
早期リタイアの場合は、心の区切りと同時に仕事も辞める。思わず「ひざをぽんっ」。私が「仙人生活」と呼んでいたのは、「林住期」だったのであります。
区切りの50歳というのは「たとえば」で、つまりは「社会人としての務めを終えたとき」。これ、早期リタイアに適したタイミング、いわば「辞め時」を見定めるにも役立つ見方ですよね。30歳、40歳で終える人もいれば、60歳でも終わらない人もいます。
また、林住期の終わりの75歳は「気力と体力があればさらに延長してもよい」とも書かれていました・・・これを目指したい(笑)。林住期を楽しく過ごすには、「気力」「体力」「富力」の基本3点セットがポイントですね。
生きるために生きる季節
こう考えると、ときに「濡れ落ち葉」などと揶揄されるリタイア後の人生が、大きく違ったものに見えてきます。特に本書の前半には、思わずうなづいてしまうご指摘がたくさんありました。
- 人が本来なすべきことは何か。そう言う問いかけは、追われながら走り続けている日常からは、生まれてこない。
- 居場所を変えるというのもひとつの方法
- 林住期に何かをやろうと思えば、貯えが必要
- 金をかけずに優雅に生きていくというのは、もし自分ひとりの生活ならば、愉快な実りのある趣味と言うべき
- 生きるために生きると言うことこそ、現代人に残された数少ない冒険のひとつではないだろうか。
- 自分が心から望む職業に就けた人は幸せな人だ。多くの人は必ずしも自分が夢見た職業に就けるとは限らない。中には職業に就きたくない、と思っていた人もいるだろう。
引用太字だらけ。また、
- 「林住期」にすることは、すべて「必要」からではなく、報酬とビジネスを無視してやるべき。要するに道楽。
- 金を稼ぐためでなく生きると言うことは、自分が自由になると同時に、世のため、人のために生きると言うことでもある。
ともあります。大いに納得。
金言満載。
林住期には、「一度は家庭を解体してみてはどうか」という、少々過激に感じられる提案もあります。これは、五木先生の「孤独との対峙」みたいな考え方が背景にあります。未熟者の私としては、この理解にはもう少し時間がかかりそうかな。「居場所を変える」と並んで、今後の仙人生活の課題です。
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