繰り下げ受給の目的は、公的年金の目減り対策にある件
日経、ニッセイ基礎研究所上席研究員・中嶋邦夫さんのお話しです。
はじめに
年金受給の繰り下げの意義について、すぱっと書かれた良記事です。
- トータルで考えると、年金財政はコロナ前よりも改善している
- 出生率の低下が進んでいるが、予測を超えるほどの低下ではなく、過度に心配する必要はない
- 独自の試算では、「やや悲観」(財政検証のケースⅣ)の場合の現在の年金額に対する目減りは、
- 今50代の人は約1割
- 40代の人は約2割
- 30代以下の人は約2~3割
- 年金の目減りに対する現実的な対策の一つが「繰り下げ受給」
- イヤかもしれないが(60歳以上も)働かなければいけない時代になる
- 一番の課題は、基礎年金の水準低下への対策。21年9月に田村憲久前厚労相が言及した案は、大いに検討するに値する。
わかりやすいいいお話しでした。
最大の年金対策は元気に長生きすることだ。
何をすべきかだけ無理矢理まとめると、今50代〜60代前半より若い人は、
- 年金目減り対策として年金の繰り下げを検討すべき
- 60歳以後も働くべし(ワークロンガー)
となります。見方を変えれば、年金目減りの影響が少ない今60代後半以上の人は、言い方は悪いけれど年金逃げ切り世代。もうもらっているでしょうし、それが正解ってことなんでしょうね。
今まさにターニングポイントの60歳にいる私が最近思うのは、
最大の年金対策は元気に長生きすることだ。
ということ。長生きすればするほど得をするのが年金です。繰り下げの損得勘定や我が国の未来に対する妙な不安をあれこれ考えるより、その方が脳天気な私の性格に合ってます。死んだら死んだときと言うことで。
そして、そのための最重要基盤が「自分の健康」。こっちの方がはるかに大切です。健康への投資はけちってはいけません。とするなら、健康投資としての早期リタイアの効果は、いかがなもんでしょうか。
- プラスになっている人
- マイナスになっている人
に分かれるはずです。早期リタイアしたから健康になるとは限りません。
私の場合は、会社勤めのストレスから解放されたことによる精神衛生面の改善はもとより、血圧は下がったし(最近、血圧降下の薬は、血圧が上がり気味の冬場だけになった)、プラスだったと言いたいところですが、ほんとにそうかは、神のみぞ知るです。ピクミン育てることでもモチベーションにして、いっぱい歩こうかな、などと考える今日この頃です。
コメント
賦課方式の限界
ここまで、少子高齢化傾向が顕在化して、何も手を打たなければ、40歳代以下の世代は不平不満が出て来ると思います。(制度を理解していれば)「何で高齢者の為に私達が苦しむのか?」「私達が年金を受ける時はどうなるの?」
現在の制度を維持しつつも、積立制度を取り入れて、制度設計をやり直す位の改革を行うべき時期に来ている。(遅過ぎだけど)スエーデンのような「拠出型賦課方式」が必要と思う。
投稿: オークX32 | 2021年12月 8日 (水) 09時09分
>オークX32様
コメントありがとうございます。
年金改革は、「受給開始年齢と受給額を徐々に高齢化に見合ったものにする」「積立て方式(GPIFや企業年金)部分をDCなどで強化する」というもので、遅延はあるもののその方向で動いていると思います。
>制度設計をやり直す
一億を超える人口を抱える日本においては「できるもんならやってみな」ということかと。年金の大専門家である権丈先生すら「ナポレオンでもできなかっただろう」と言わしめる難題です。改革にかかるコスト(みんなこれをすぐ忘れる)を考えると逆効果になると私は感じます。おそらくそのコストは、若い世代の二重三重苦、高齢者世代の負担増というダブルパンチになるはずです。
これは個人的な感触ですが、意外に若手は現行の改革を理解していると思います。むしろ、いたずらに不安を煽る声に腹を立てているような気もします。なぜなら、これは彼ら自身の将来の問題だからです。
積立てにせよ少子化対策にせよ、積み立てるのも生むのも現役世代。彼らから見れば言わば安全地帯にいる年金逃げ切り世代は「口は出さずに金を出せ」となるでしょう。それはたとえば、国家による半ば強制的なDieToZero政策。高齢者の資産課税強化だったり、相続税の増税だったりだと思うのですが、それができるのかということでもあります。
投稿: NightWalker | 2021年12月 8日 (水) 10時04分