長期投資をはじめるのは相場とは関係なく思い立ったが吉日
はじめに
モーニングスターさんによる、ITバブルピークの2000年1月末からつみたて投資をしていたらどうなったかという検証記事です。
MSCIコクサイ連動型ファンド、日経225連動型ファンド、両者の平均の比較になっています。2000年1月末比を見てみると、
項目 | MSCIコクサイ 連動型 |
日経225 連動型 |
トータルリターン | 3.59倍 | 1.85倍 |
つみたて投資の場合 | 3.16倍 | 2.51倍 |
ちょっと注意した方が良いかなと思った点を2つほどあげておきます。
その1 つみたて投資自体にリターンを向上させる効果はない
記事では「トータルで見ると連動指数の差は大きいが、積み立てると差があんまりなくなっていた」と指摘しています。うっかりすると、つみたて投資にリターンが向上する効果があるように見えますが、そんな効果はありません。
つみたて投資の効果のうちパフォーマンスにプラスになりそうなのは、サラリーマンが最速で資金をリスクマネーに投入できる方法であること・・・というか「サラリーマンの投資とはそういうもの」なのです。だってそれしかできないですもんね。
その2 長期投資をはじめるのは相場とは関係なく思い立ったが吉日
記事では、「株価がピークといわれるような高値局面で積立投資をスタートすること」が成功の秘訣のようにも読み取れる文言も書いてありますが、一概にそうは言い切れません。そもそも、今がピークなのか、はたまた成長途中なのか。相場低迷期で言えば今が底なのか。誰にもわかろうはずがありません。モーニングスターさんの記事で対象とした時期は、たまたま、最初の10年は大変な時期だったが、あとの10年で報われたという感動ストーリーを描きやすい20年だったに過ぎないとも言えます。
ボーグルヘッズにも「マーケットを計ろうとしない(Never try to time the market)」とあります。
長期投資家、最大のよりどころは「よく分散されたポートフォリオを長期保有することで、株式の持つリスクプレミアム成分を抽出する確率を上げられそうだ」という点。大事なのは「投資期間の長さ」であって「はじめるタイミング」ではないのです。
長期投資は思い立ったが吉日。長期投資の旅は長い。たとえ、資産形成の初期に市場がバタバタしたとしても、長い投資人生全体で見れば投資額はわずか。むしろ相場のことを忘れつつ積み立てることで投資の女神さまは微笑んでくれるような気がします。
ご参考:ずいぶん昔、2013年の私のエントリーです↓
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