「リスク抑制投信」を点検 成績に差、安値で償還も
昨日に引き続いて、日経、田村さんの記事をもう一本、ご紹介します。
はじめに
多少、私流の意訳も交えてまとめると、
- リスク抑制型と呼ばれる投信の成績が振るわない。
- いまだコロナ直前の株価を超えられない投信もある。
- あろうことか繰上償還してしまった投信もある。
と言う内容。早い話、
リスク抑制型とかいって、ちっともリスク抑制できてないじゃん。
という。ファンドの繰上償還って、個別株で言ったら突然の上場廃止みたいなものですからね。
思い出すのは、2年ほど前。週間東洋経済さんで記事を執筆させていただく機会をいただいた、ゆうちょ銀行の投信販売問題。
その時、指摘したのが、ゆうちょ銀行、当時の売れ筋投信から見えてくる、投信販売の問題です。
- 当時のゆうちょ銀行の販売金額ベースの売れ筋ファンドは信託報酬が割高なものが多いように見える。
- 一方で、販売件数ベースの売れ筋は、信託報酬率の低いものが並ぶ。
- ここから推測するに、多くの人は安い投信を買っているのだが、特定の層(おそらく高齢者)に信託報酬率の高いファンドを売っている構図が垣間見える。
その時、残念なファンドとして指摘していたファンドの一つ、「円奏会」が、田村さんの記事に出ていました。
長期の上昇率は株式比率に比例
このファンド、なかなかあざといです。
- 日本債券が70%もあって期待リターンは低いのに信託報酬率が税抜0.84%と高い。販売手数料もノーロード全盛のこの時代にゆうちょ銀行では店頭で税抜1.5%だった。
- 日本債券が多く表面上のリスクは低くなるので、高齢者にリスクの高い商品を売りつけているという批判は受けにくい。
- その影で、機動的にリスク資産の配分を変えるという「プロでもうまくいくとは限らない」手法を使っている。
とまあ、私のブログをお読みのみなさんであれば、絶対買わないどころか、まったく興味がなくて知らない類いのファンドです。私も、先の東洋経済さんの記事の執筆の機会がなければ、知るよしもなかったことと思います。
田村さんの記事には、eMAXIS全世界株式インデックスとセゾンバンガード、投資のソムリエのパフォーマンスを比較したグラフがあります。そこに、
長期の上昇率は株式比率に比例
とさりげなく書いてあります。まさにこれ。ちょっとだけ違う言い方にすると、
長期投資の期待リターンとリスクは、株式比率(≒リスク資産比率)でほぼ決まる。
投資初心者が最低限押さえておきたい投資の基本的な考え方が、ここにあります。
「初心者向きで安心」と称するファンドは多々ありますが、玉石混淆です。初心者であってもオールカントリーと現金比率の調整でリスクをコントロールするようなやり方をオススメしているのは、「石」だらけの小難しい仕組みのファンドの中から「玉」を見つけるよりも、こっちの方がはるかにカンタンでコストもかからず納得しやすいのではないかと考えるからです。
投資を始める前に押さえておきたいのは、商品の知識じゃなくて、リスク資産の取り扱い方の基本なんですね。
コメント
連投ありがとうございます。なんか割と多くの人が、プロなら下落を回避してくれると思うらしいですねー。小さいころから世界の全てを信じなかった僕には理解できません(それはそれで問題だが…
投稿: たむりん | 2021年10月 7日 (木) 02時38分
>たむりん様
コメントありがとうございます。
世界の全て・・・そこまでは行ってない私でも到底信じられません(笑)。
投稿: NightWalker | 2021年10月 7日 (木) 11時11分