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2021年10月20日 (水)

早期リタイアでは特によく考えておきたい 遺族年金の話

日経、田村正之さん。

はじめに 〜遺族年金の仕組みをチェックしておこう

遺族年金は、

  • 原則18歳までの子がいる場合に受けられる遺族基礎年金
  • 老齢厚生年金の受給権者が亡くなった場合などに受けられる遺族厚生年金

がありますが、(早期)リタイア時にチェックしたいのは後者です。遺族厚生年金は、次の3つのケースのうち、一番高い金額が自動的に選ばれます。

(1)夫の老齢厚生年金の4分の3
(2)夫の老齢厚生年金と妻の老齢厚生年金の半分ずつ
(3)妻の老齢厚生年金

夫が先に死んだ場合の妻の年金は

 妻自身の老齢基礎年金+(1)(2)(3)のうち一番高い金額

となります。

で、いろんなパラメータが作用します。妻自身の老齢厚生年金をまずはチェックです。

田村さんの記事は、遺族年金の仕組みがわかってない方はぜひ読んでスクラップしておいていただきたい内容になっています。ご一読くださいませ。

早期リタイアと遺族年金 〜繰り下げても遺族年金は増えない

遺族年金の最大のメリットは「遺族年金は所得にならない」ということで、これ、社会保険モロモロに波及して結構大きいんですよね。これは母の介護をしたおかげで気が付いたことでありましたが、早期リタイアする場合、遺族年金は、きちんと考えておきたいことのひとつです。

我が家は(1)になりそうです。

早期リタイアすると、当然の帰結として、老齢厚生年金の受給額が減ります。しかも、老齢遺族年金額の基礎となる厚生年金額は、夫が65歳からもらった場合の金額で、繰り下げても増えません。ですので、早期リタイアする場合、何らかのリカバリー策が必要です。

不足分は遺産で確保しておくというのが、基本的な考え方。トリニティスタディー(4%ルール)的に解を求めると、たとえば夫の死後の年金が月10万円不足しているのであれば、年120万円の25倍=3000万円の資産でじぶん年金を構築できていればなんとかなる勘定になります。

もうひとつは、田村さんの記事にもありますが、妻は老齢基礎年金のみ繰り下げ、厚生年金は65歳から受給する作戦。我が家もそうしようかなと考えてはおります。この場合、たとえば70歳まで繰り下げたとして、私の死後、妻の年金は、

 妻の老齢基礎年金(42%up) + 私の厚生年金×4分の3(非課税)

となります。

ちょっとだけ気にしているのは、妻が65歳になった時の税制や社会保険の制度。老齢基礎年金を繰り下げることで、住民税非課税のメリットや介護医療の優遇がなくなる等の弊害があるかもしれず。たとえば、介護負担限度額には、年金等の収入が80万円以上と以下で差があったりします。

まあ、その分、資産を確保して介護費用をまかなうのが、正攻法ではあります。これは、妻が65歳になる頃に、別途チェックしたいと考えてます。

追記:繰下げできるのは遺族年金など他年金の権利が発生するまでの間

コメントいただきました。

遺族年金の受給権を取得すると年金の繰下げはできません。「繰下げできるのは、遺族年金など、他年金の権利が発生するまでの間」です。繰り下げ受給の申請は、「老齢厚生年金の権利発生(である65歳)から1年以上」つまり66歳からできますが、

(1)65〜66歳までの間に、他の年金受給の権利ができた場合

→繰下げ請求不可。つまり、必要に応じ65歳からの本来支給の年金を遡って請求して、以後、普通に年金をもらう。

(2)66歳以後に他の年金受給の権利ができた場合

権利ができた時点で繰り下げ終了。その時点で増額率が固定され、

  • 65歳からの本来支給の年金を遡って請求。以後繰下げ分はチャラにして受給。
  • その時点の増額された繰下げ支給で受給

のどちらかを選ぶこと、となっております。あー複雑。

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コメント

 特に女性は、夫の死後の年金額を把握しておいたほうがいいですよね。
父の存命中は、企業年金もあったため二人で400万円あったのが、
遺族厚生年金と基礎年金180万円だけになり、母が衝撃を受けてました。

投稿: | 2021年10月20日 (水) 14時16分

>?様
コメントありがとうございます。
>年金額を把握
おっしゃる通り、ここに尽きます。知っていてなにがしかの準備をしておけば、「180万円だけ」を「180万円もある」に変えることもできると私は思います。

投稿: NightWalker | 2021年10月20日 (水) 14時37分

現在一部支給されている年金が来年から満額になるので、散々迷った挙げ句、当面繰下げようと思っていたのですが、つい最近になって、私の場合「繰下げができない」ことが判明してしまいました。
遺族年金の受給権があると、ダメなんだそうです。先年亡くなったカミさんの遺族年金なんですが、今は自分の年金との併給調整で止まっています。実際に受給してなくてもダメだそうで。落とし穴でした(泣)。

投稿: ひさご | 2021年10月20日 (水) 19時42分

>ひさご様
コメントありがとうございます。
そのへん、わかりづらいですよね。

投稿: NightWalker | 2021年10月21日 (木) 00時26分

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