ガマンの季節に備える 2021
長期投資家として備えておくべきは、ガマンの季節です。
はじめに
ここで、ガマンの季節と言っているのは、もちろん、相場低迷期。
- けっこう長い間低迷する
- 日本だけ低迷する
困りますよねーこれ。非常にイヤなパターンです。直近ではリーマンショック以降の相場です。ちょっと見てみます。比べてみるのは以下のファンド。2008年1月〜。
- iシェアーズ MSCI コクサイ ETF(Adj Close値 ドルベース)
- SMT TOPIXインデックス・オープン(円ベース)
- SMT グローバル株式インデックス・オープン(円ベース)
為替の影響を見るため、あえてドルベースでTOKを見てます。また、TOKは、Adj Close値(分配金再投資した場合の値)。
- リーマンショック後、世界は回復していくのに日本は4年間沈んでいた。
- アベノミクス=異次元金融緩和(2013〜)でなんとか追いつくも、消費税増税(2014、2019)チャイナショック(2015)でまた日本株だけ出遅れ感。
- ただし、世界に投資していれば素直に恩恵が得られた。
大きな要因に為替があることが伺えます。こうしてみると、コロナショックなんてチョロいもんです(結果論です)。こう言うのを見てると、やはり、いつかはまた来るであろう「ガマンの季節」の備えがカギと言うことを思い出します。
その1 世界に分散投資する。
外国にだけ投資しておけばいいという意味ではありません。日本株にも長期的に見ればリスクプレミアムは存在していて、悪い政策が要因だったとしてもそれはたぶん正され、長期的に見れば出遅れはどこかで挽回される可能性があるからです。
その2 キャッシュを持つ。
暴落期を耐えるカギは、個人的な経験則では、(1)収入(2)無リスク資産(キャッシュ)(3)積立て投資の3つ。
相場低迷期は、仕事が経済悪化の影響を受け収入が厳しくなったりすることもあります。トリニティスタディ(4%ルール)を方法論とするFIREも母数が小さくなれば同じ問題を抱えます。かと言って、今こそリスク資産を仕込むべきなので、投資は止められません。
そういう時、最強なのが流動性の高い無リスク資産(キャッシュ)です。
生活防衛資金であったり、ポートフォリオの一部であったり、FIREの場合、現金クッションという言い方も見かけます。どのくらい持つべきかはひとそれぞれですが、金融資産全体のポートフォリオを設計するに当たって最も考慮すべき点と考えます。
余談
それにしても日本株。為替リスクのないホームがアウェイの外国株より不安定な感じだと、世界分散投資してるとは言え、いい気分はしません。政策面の問題が大きいような気はします。
リーマンショック後で言えば、リベラル政権時の緊縮財政感(株価低迷)→アベノミクスで金融緩和(株価回復)→消費税率アップ(株価低迷)→コロナ金融緩和(株価回復)→?。「いいかげん学べよな」って感じではありますけれども、次期首相候補のおひとりが、消費税を増税して基礎年金を完全税金化、つまりは高齢者向けベーシックインカムみたいにしちゃうなんて言ってますからねー。超不安です。
私も、上記の備えを今一度点検したいと思います。
コメント
金融所得課税を3割に引き上げるなんて言ってる候補者もいるようですね。
まだまだ含み益を多く抱えた状態なので困ったもんです。
投稿: mets | 2021年9月23日 (木) 09時21分
「長期的視野に立てば」
冷静に国の仕組みを見つめ直したら、「プレミアム」は求められないと覚悟してます。国の債務がGDP比200%を超えて、未だ金融緩和を続けている国に「明るい未来は来ない」と危惧してます。
投稿: オークX32 | 2021年9月23日 (木) 09時57分
>mets 様
コメントありがとうございます。
>金融所得課税を3割
低所得の場合、確定申告すれば総合課税で還付される。その手続きを単純化するパスも設ける、みたいな説明や政策とパッケージで発言して欲しいですよね。
投稿: NightWalker | 2021年9月23日 (木) 10時34分
>オークX32 様
コメントありがとうございます。
原理的な話は山崎さんが以前から書かれていますね。市場が正しく機能して未来の成長率およびリスクプレミアムも含めた適正な価格で取引されているならば、期待リターンは同じという話。
"マイナス成長であっても株価は付くし、それぞれの理論通りの株価で投資するなら、プラス成長の場合と投資した場合の期待リターンは変わらない"
マイナス成長でも「資本主義は成立する」と言い切れる理由
https://diamond.jp/articles/-/280938
1990〜2008年バブル崩壊の失われた20年は、さしずめ、不適正な価格が適正な価格を形成できるようになるまでに20年も掛かったに過ぎない、ということでしょうか。日本市場の非効率性がうかがい知れようもの、と言う気もします。
そんな理論的な話もありますが、私としては、「想い」の部分もあります。
それは、今の若い現役世代からみれば、オークさんや私の世代が「日本の未来は暗い」と語るのには、大きな違和感があるのではないか?ということです。「こんなニッポンにしたのは誰なんだ」と。それも踏まえ、私は、長期投資家としてもリタイア世代の一員としても、リスクに配慮しながらも明るい未来を語りたいというスタンスです。
もちろん、オークさん個人のリスク許容度としての「覚悟」については、なんら異論はなく同意です。
投稿: NightWalker | 2021年9月23日 (木) 11時01分