今こそ噛みしめたいGPIFの長期運用 2020年度
モーニングスターさん。
はじめに
2020年度はGPIF絶好調でした。収益額、収益率ともに2001年度以降、過去最高。
モーニングスターさんは、
”一般の新聞報道などでは、GPIFの運用が不調な時を取り上げて「年金が破たんする」などとセンセーショナルな見出しをつけるが、GPIFの運用は、「目標とする運用収益を最も低いリスクで実現する」という極めて保守的な運用を信条にしている”
と指摘しています。
年金運用に関するネガティブな指摘への反論は、私思うにふたつあります。ひとつは、モーニングスターさんが指摘しているように、年金運用は保守的な「世界分散」「長期投資」をしているに過ぎません。この方法論を呪うことは、年金が投資しようとしまいと訪れることになる経済の未来、すなわち自分自身の未来を呪うのと等しいという側面があります。
もうひとつの反論は、「長期的にみると、年金財源全体のうち、積立金からまかなわれるのは1割程度」であること。(2020年度 業務概況書))ほとんどは年金保険料と国庫負担でまかなわれているのです。もちろん、いまのところGPIFは公的年金に大いに貢献しています。
今こそ噛みしめたいGPIFの長期運用
モーニングスターさんの記事から、長期運用のポイントに関する文言を、いくつか。
- 予想外の市況変動があった場合でも、淡々と配分比率変更などを行う(リバランスのことですね)
- 下落に最後まで付き合って、投資を止めずに継続するしか方法がない
- 株式を組み入れるかどうかの判断は、実際の運用成績を客観的に評価することが大事
- 長期に成長する資産に投資をし、投資をし続けること
長期投資のコツが、これらの文言に凝縮されています。
拙著には「経験則ですが、暴落をやり過ごすことが長期投資の成功要因の8割以上を占める」と書きました。先達の教えによれば、資産配分が最も重要なのですが、私のようなシロート投資家にとっては、暴落こそがその資産配分を守れるか否かの正念場なのです。
2020年度はGPIFだけでなく、心理的要因に耐え自らのポートフォリオを守った長期投資家にとって溜飲の下がる一年だったのではないでしょうか。
一点だけ心に留めておいてほしいのは、2020年度は「たまたま一年で相場が回復した」こと。長期投資家にとっての真の買い場、真の試練は、数年以上続くこともあります。そのときこそ、長期投資家としての真価が問われるのであります。
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