「運用益で生涯暮らす」だけがFIREというわけではない。
日経さん。
はじめに
記事から拾い読みしますと、
- 年200万円生活であれば、標準的な運用利回り4%の下では5000万円あればいい、というのが(FIREの)単純化した基本的な考え
- 60歳以上のシニア層は「預金は安全、投資は危険」がすり込まれている
- 50代を中心とする投資をしても報われない「トラウマ世代」
- 20代を中心とする投資へのトラウマがない世代が登場
- FIREが家計の凍土を溶かし、国全体に爪痕を残した投資失敗へのトラウマを癒やすか
といった内容でした。
思うに、トラウマを溶かすのは、FIREじゃなくて、普通にお金持ちなりたい願望ではないでしょうか。お金持ちのなり方が変わってきたというか、「リスクなくしてリターンなし」というあたりまえの認識になりつつある、そうなることがトラウマからの開放です。
「運用益で生涯暮らす」だけがFIREというわけではない。
記事には、「FIREといえば「火」」とありますが、FIREといえば、解雇(クビ)、でしょう。この言葉は、一般的にはネガティブな解雇に対するアンチテーゼとしての概念であると捉えた方が、しっくりきます。実際そうだったし(笑)。
「日本でもかつては預金の利息だけでFIREを目指せる時代があった」とありますが、
- 預金金利が高い時代、戦後の数十年間はインフレ率も高かった
- その時代、総じて日本人は豊かではなかった。豊かになっていく過程でお金も使う必要があった。
金利の高い時代もリスクプレミアムは、株式等のリスク資産に求めるしかなかったはずです。
そして、金利が頂点に達したのち下降線を描き出す1990年代以降を見ればわかるように、利息でFIREを実現する作戦は破綻していたでしょう。
安全資産に見えたかつての預金の金利と言えど、長期的には不確定要素。実際には、不確定な運用益だけで暮らすみたいなのは、あくまでイメージであって、それだけがFIREではありません。この辺は、FIREを概念としてしか捉えていない場合の注意点なのかなあ。
極論すれば、まったく運用しないでも一生分のお金があればFIREは可能です。現に私がそうです。私が運用している資産は、あくまでもマージンを兼ねた余裕資金。一生分のお金の方は、年金と現預金で確保しています。これは、不確定要素の少なくなった50代のリタイア、しかも早期退職割増金があったからできたことなのかもしれません。
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