2021年6月26日 (土)
米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術
本書は、タイトルに「米国株で始める」という枕詞がついてはいますが、実際は、もっと広い視野から書かれた
実にオーソドックなセミリタイア投資本
になっています。
「FIREうぇーい」みたいなノリは一切ありません。本書はあくまで「セミリタイア」なのです。同様に投資についても、何が何でも「米国株」ではありません。そんな全体を俯瞰し広い視点でものを書ける知見をお持ちの方が、実際にセミリタイアして、わざわざ本を書くなんて言うシチュエーションは今までなかったかも。
もちろん、ご自身の投資成功譚についても余すところなく書かれています。
たぱぞうさんの場合は、まずは、「ペーパーアセット(株式など)」で資産を増やし、次にたぱぞうさんが「ハードアセット」と呼ぶ不動産、太陽光発電で収益を確保すると言うスタイル。特に後者は、もはや「事業」と言って差し支えないレベルです。たぱぞうさんは、サラリーマンを辞めて、専業で資産管理業をする人になったといった方が良いのかしれません。
小心者かつめんどくさいことが大嫌いな私からすると少々ハードルの高いやりかたなのですが、それを押しつけるようなトーンはまったく感じられません。本書のp72に「運気を高める努力をする」という項には「人の悪口を言わない」とあります。そんなたぱぞうさんのお人柄を感じられる
終始気持ちよく読めるオススメの一冊
でした。オススメです。
「1億円」ではなく「5000万円」というコピー
もうひとつ本書で、おっと思ったことがあります。それは、帯。
「1億円」ではなく「5000万円」なのです。なんだかリアリティがあるでしょ。セミリタイアは、考え方、やりようによって、そんなに大きなお金がなくても可能なんです。
本書の5章「たぱぞう流 資産額別運用プラン」では、「100万〜500万円」「500万〜3000万円」「3000万〜5000万円」「5000万〜1億円」「1億円〜」ごとに運用の考え方が書かれていますが、ここのp206に「こころ穏やかに生きる守りの資産運用もある」と題された項に
”もう少し早くリタイアするなら年金が支給される65歳までの資金を準備して、65歳以上は年金ベースでやっていく。こうした発想なら、セミリタイアはもっと実現しやすくなります。”
という一文があります。思わず「うんうん」とうなずいてしまいました。まさに私はこれ。
でも、「この考え方はリスキーだ。もう少し働こう。辞めるにはもう少しお金が必要だ」「会社員としての損得を考えたら今更辞めるメリットはない」「せっかくイヤな思いをし続け(今もしながら)築き上げた会社員としてのステータスを失うのはもったいない。第一かっこ悪い」と考えてしまう人が常識的だし、普通だと思うんですよ。
でも、そうじゃないところに、人生の別天地があったわけで。
本書には「セミリタイアができる人とは、常識を疑う人」という指摘もあり、これまた大きくうなずくところです。
会社員生活の終盤ともなれば、あっさりとセミリタイアできるポテンシャルを持っている人が潜在的にたくさんいると思うんですけれど、早期リタイアなんて恥ずかしいことはしないわけです。私なんぞ、あげくの果てに元いた会社の人に「真人間に戻って」なんて真剣に説教されたりしたこともあったわけでして。いやいや私は会社を辞めて真人間になったんだけど(笑)。
投資ではリスクを取れるのに、働かないというリスクを取れない人もいる。あたりまえのような不思議なような。
たぱぞうさんの本を読みながら、そんなことを考えてしまった今日この頃でした。
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