誰もが「FIRE」を目指す必要はないけれど
日経、大江英樹さん。
あなたは「FIRE」を目指すべきか?
大江さんの記事からいくつか、拾ってみます。
- 早期リタイアに憧れる理由は間違いなく、今の仕事が苦行だから
- 最大の理由は「自己決定権」にある。
- (サラリーマンには仕事の)自由度はほぼない。
- 早期リタイアするという考え方は決して間違ってはいないが、誰もが必ずそうしなけれならないというわけでもない
- 人生の最大幸福は職業の道楽化にある(本多静六氏の言葉から)
- 会社の制度というものは意外と、社員にとって有利にできている
- 人の生き方は決して一様ではない。自分の責任と判断においてしっかりと考えるべきこと
大江さんは、60歳で定年になるまで働き、その後、起業して、「しばらくは仕事らしい仕事もあまりなかった」そうですが、いまや「現在69歳」「年金は一銭ももらっていない(つまり繰り下げ受給と思われます)」「月額手取りで約24万円」で、「これまでの人生で、今が最高に充実した生活」だそうです。
うらやましい限りです。
雑談 60歳でも早期リタイアの時代
ただ、大江さんの世代と、私の世代では、大きな違いがあります。
それは、年金受給開始年齢。起業後もし事業がうまく行かなくても「いざとなれば普通に年金だけで生活していけばいい」とありますが、大江さんの世代は60歳年金受給開始が標準だったのです。しかし、私の世代は、65歳年金受給開始が標準。65歳までの再雇用は普通となり、それが70歳に伸びる未来も見えてきています。つまり、以前から言っていることではありますが、
もはや60歳でも早期リタイアの時代
になっているのです。
一方で、企業の人事制度は、役職定年などに見られるように55歳定年時代すらひきずっているまま。シニアにやりがいのある仕事を提供できる環境は必ずしも万全とは言えません。
私としては、誰もが30代40代の「FIRE」を目指す必要はないけれど(目指してもいいけれど)、50代以降に早期リタイアできる程度の資産形成は、多くの人が目指すべき、と考えています。
誰もが大江さんのようにうまく行くとは限りません。率直に言って、多くの凡人にとって、シニアの再就職は厳しい。シニアになって、やりがいのある仕事に就ける人就けない人。いまはやりのライフシフトは、新たな格差を生む可能性もはらんでいます。
シニア層になって向いてもいない仕事で、不自由を感じたまま残りの人生を歩むリスクをお金のちからで回避できるなら、それに越したことはないと私は考えます。そういう事態にならなくても、できたお金はあって困ることはありません。
コメント
大江さんの著作も拝読し、参考にさせていただくことも多々ありますが、ご自身の例については、やはり「成功例」なのかな、と感じています。誰にもまねできることではないなぁと。
起業する甲斐性もなく、それでもちょっとは収入がほしいと色気を出して再雇用に応じたものの、色々あって(笑)1年でリタイアしたワタクシです。
年金の満額支給はもう少し先で、住民税非課税、国保7割軽減の状態でも何とか生活できているのは、ささやかながら蓄えがあったからです。
昔、将棋の大山康晴十五世名人が「良い指し手とはどんな手か」との問いに、「次の選択肢が多い手」と答えたとか。
資産形成は人生の選択肢を増やすためにも有意義かと。
投稿: ひさご | 2021年3月20日 (土) 12時50分
>ひさご様
コメントありがとうございます。
起業の成功例を出されても、困っちゃいますよね。そもそも、今の定年世代は、大江さんの世代とたった10年しか違わないのに、年金ギャップをはじめとして老後事情は大きく違いますし。
>色々あって
まさに、そうだと思います。言葉にしにくいことに本質があります。
>「次の選択肢が多い手」
いいですね、この言葉。教えていただいてありがとうございます。その手段、ツールとしてのお金は、最強に近いレベルかもしれません。
投稿: NightWalker | 2021年3月20日 (土) 13時47分