インデックスファンドの一物多価は許せるか? 2021
日経、前田昌孝さん。
はじめに
記事は、同じ中身なのに信託報酬率が違う、一物多価のインデックスファンドがあるけどいいの?という問題提起です。
記事では、三菱UFJ国際投信さんの新興国株式ファンド5本の比較が出ていました。私も、モーニングスターさんの2021年2月末時点での3年リターン(年次リターン換算)を使って、比較してみました。
横軸が税込の信託報酬率で、縦軸が3年リターンの年次換算。
いやはや、ものの見事に、信託報酬率が大きいとリターンが落ちることがわかります。なお、現時点で信託報酬率の同じ、つみたて新興国株式と三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンドの間にリターンの差があるのは、途中で信託報酬率の変更があったためと思われます。
投信の一物多価は許せるか?
私の意見としては、こうです。
- 販路、商流によって異なるのは、仕方がない。商売とはそう言う側面がある。
- しかし、販路が同じなのに、一物多価がある場合には、販売時に説明が必要。
- つみたてNISAの対象ファンドは、一社で一物多価を認めるべきではなかった。(これは今更ですが)
金融庁さんも問題視しているそうです。
”金融商品の販売時に顧客に配布する予定の「重要情報シート」に同工異曲の商品を報酬率とともにすべて列挙させる案もあるようだ。”
とのことです。
ただ、これでは、説明不足で間違えて買ってしまった人や、私のように昔からインデックス投資をしていて、ささやかに市場や業界に貢献してきた人が救われないと言う問題が残ります。ベテランインデックス投資家は、そう思っているでしょう。旧eMAXIS、旧STAMを、自腹で応援、宣伝してきた投資ブロガーとして、釈然としません。繰り返しますが、釈然としません。
これが「フィデューシャリー・デューティー(顧客の利益を最大限考慮すること)」なのか。
この救済のための特例措置として、何度も書いてますが、
- 期間限定、1回限りでいいので、同一証券口座内の同一指数連動インデックスファンド間のスイッチング非課税
っていうのを許可してもらえないだろうかと思うのです。このやり方だと、勉強してない人、興味のない人には恩恵はないかもしれませんが、それは、仕方がありません。税金の還付と一緒です。それにSlimと旧eMAXISの資金流入の差を見る限り、ほとんどの人がわかっていると思われます。今の若い人は優秀です。個人差はあるにせよ、自己責任意識も高いしみんな勉強しています。
ファンドの統合を強制ご指導するやり方もあるかもしれません。ただ、販路の差によるコスト差は認めてあげないと、それはそれで困りますしね。
余談ですが、ビッグマック指数でわかる為替の不合理。前田さんのおっしゃる「日銀の円安政策に甘えている間に、円の購買力がどんどん落ち、日本は衰退したのではないか。」というご意見については、完全同意です。
コメント
>同一証券口座内の同一指数連動インデックスファンド間のスイッチング非課...
はい、これは大賛成です!!
利益はしっかり出てるものの、信託報酬が下がらない 旧STAM お世話になっております(涙)
恒例の定期リバランスで、悩みながらも ある程度を売却したのですが、10年以上も続けていたので....結果、しっかりと高額納税しました(笑)
一度限りでいいので、信託報酬の低いファンドに乗り換え出来たら嬉しいことです。
投稿: やました | 2021年3月 6日 (土) 17時43分
>やました様
ご賛同ありがとうございます。
一生グチってやろうかと思います(笑)。
投稿: NightWalker | 2021年3月 6日 (土) 17時45分
信託報酬は物の価値なのか?と思ったり、そもそも物、サービスの値段とは?と考えたり。経済の基本ですが。
売却による税金については、特定の人や場合だけ非課税というのがうーん、と思います。利益には課税ありと承知の上での購入ゆえ。
以前、かなり前、マンション価格が下がって、1次募集での販売価格からかなり価格を下げて残りを販売した事を先の購入者が知って怒る…なニュースがありました。差額を返金してほしいと訴えたのでしたか…。
両方の事情、気持ちはわかる。何が正解かはわかりませんが。
色々、モヤモヤがあるものですが、すったもんだしてどこかで基準みたいな線ができるのでしょうかね。
投稿: はてな | 2021年3月11日 (木) 12時25分
>はてな様
コメントありがとうございます。
>基準
奉行役の金融庁がどう裁くか、です。
投稿: NightWalker | 2021年3月13日 (土) 01時50分