これから投資を始める人へのバランスファンドの注意点
トウシル、山崎元さん。2017年の記事に、山崎さんがコメントを付けた内容となっています。
山崎元先生の考えるバランスファンドの7つの注意点
いくつか、ご指摘を拾ってみます。
- バランスファンドは初心者向けか?
- 運用の中にバランスファンドを混ぜると、自分が内外の株式をいくら、債券をいくら持っているのかを把握することが面倒になる。
- バランスファンドの運用に過剰な期待をしてはならない
- 課税が優遇される口座に債券を含む商品を持つのは無駄
- 債券部分の運用に関しても手数料を払うのは余計
- 現在のような長期国債利回りがゼロに貼り付いた状態では、資産として債券を保有する意味が疑わしい。
などのご指摘のあと、
初心者に無理にバランスファンドを買わせようとしないほうがいいのではないだろうか。
と苦言を呈されています。
債券部分に高めの信託報酬がこっそり?
たしかに、これから投資を始めようという人には、バランスファンドはオススメしづらいなあ。理由は、山崎さんのご指摘の通りですが、特に、
- 期待リターンがめっちゃ低い債券部分に、こっそり高めの信託報酬が乗っているファンドがたまにある
というのが、一番イヤなパターンかなあ。
たとえば、日本債券70%+株とREITで30%で、毎月分配されます、でもって信託報酬が1%近い。みたいなバランスファンドの純資産総額が何千億円もあったりするんですよ。セールスされる高齢者の顔が目に浮かびます。
山崎さんのおっしゃるように、初心者をバカにしてはいけないのです。私がFPだったら、こんな会話のイメージ。
相談者 「投資が怖くて始められないのです。」
私 「じゃ、止めるのも一案です。」
相談者 「投資による資産形成が必要なことは頭ではわかっているのです…。」
私 「じゃ、投資額を少なくしましょう。」
リスク資産を少なくして、貯金部分を増やせばいいだけの話です。こんなカンタンなことを理解できないのであれば、「じゃ、止めるのも一案です」に戻る、と。
プロと同じ土俵で戦っていることを忘れてはいけない
庶民だろうが初心者だろうが、投資とはプロと戦うことです。資産形成で必要な最低限のこと、たとえば、
- 資産形成の王道は、株式クラスの長期保有によるプラスサムゲームに参加すること。他の資産(REITや外国債券)は、ある意味おまけ。
- 運用成績は、おおむね資産配分で決まる。次に、保有コスト。
- リスクは、「当面使わないお金の額を把握すること」と「全資産に占めるリスク資産の割合」でコントロールできる。
といった辺りは理解してから投資を始めるべきです。バランスファンドって、初心者よりもある程度見識のある人が使うべき商品、という気もします。
ちなみに、我が家がこれまで購入した、主たるバランスファンドは、次の二つのファンドです(たぶん)。一本は今もつみたて続け、一本は売却。
- セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(妻保有唯一のファンド)
- ウェルズリーインカムファンド(証券口座の整理時に残念ながら売却)
バランスファンドの活用としては、資産形成期なら「これ一本で最後まで行く」という達観を得られた場合(妻はそれ)、資産活用期では「iDeCoの終了と同時にリスクを落として、あとは定口売却するだけなんで、これ一本に統合したい」みたいなシチュエーションでの利用なんかにはいいのかもしれませんね。
コメント
いつも楽しくブログ拝読させて頂いております。先日、ひふみさんから、債券付きのバランスファンドがいくつか出されましたが、こちらも100%債券型ではありません。
何故にそういった形をラインナップしないのでしょうか?需要がないのか。ごまかしが効くからなのか。解説頂ければと思います。
投稿: 株価のジョー | 2021年3月 5日 (金) 07時37分
>株価のジョー 様
コメントありがとうございます。
>何故にそういった形をラインナップしないのでしょうか?
ひふみ投信さんのニュースリリースには、「株式だけで資産形成を行なうことを躊躇される方でも資産形成を始めやすい」とあります。あくまでワールド含むひふみ投信販売の間口を拡げることが主眼、と推察いたします。
ニュースリリース
https://hifumi.rheos.jp/information/news/2021/20210226.html
ご参考までに最近のひふみ投信、旗艦ファンドの資金流出入額です↓
ひふみ投信
https://www.morningstar.co.jp/FundData/MonthlyCapital.do?fnc=2008100102
ひふみプラス
https://www.morningstar.co.jp/FundData/MonthlyCapital.do?fnc=2012052801
投稿: NightWalker | 2021年3月 5日 (金) 09時49分
ご返信ありがとうございます!
資金流出額みると何か感じるものがありますね。Fund of the Year 2020で5位の追い上げを期待したいです。
投稿: 株価のジョー | 2021年3月 5日 (金) 12時40分
>株価のジョー 様
>何か感じるものが
その昔、さわかみファンドが、他の独立系投信のFoFに同ファンドを組み込んでもらってました。もしも、この先更に進んで、ひふみを組み込んだFoFが他の運用会社さんから出てきたら、このコメを思い出してみてください(笑)。
投稿: NightWalker | 2021年3月 5日 (金) 13時35分
ありがとうございます。胸に留めておきます。T男爵さんのブログにも、「スリムTOPIX、保有株の5割が貸株」なんて記事があったりで、多少手間がかかっても投信よりも海外ETFの方がいいのかなぁと考えたりするのですが、その点はどのようなお考えをお持ちですか?
投稿: 株価のジョー | 2021年3月 5日 (金) 17時21分
>株価のジョー様
>貸株
むしろ、ETFのゼロコスト化に向け海外ETFが行ってきた運用手法なのかなと思ってました。
「ETFは運用フィーで儲けなくても、貸株を通じて日歩口銭が入るから」
http://markethack.net/archives/52023578.html
投稿: NightWalker | 2021年3月 5日 (金) 17時47分
広瀬隆雄さんの記事ですね。色んな切り口があるんですね。大事なのはインデックス投資でも市場と選んだ商品の監視を続けることでしょうか。ちょっと株に詳しくなってくると、アクティブファンドに食指が伸びてしまいます😅
投稿: 株価のジョー | 2021年3月 6日 (土) 06時15分