つみたてNISA対象のファンドだけでも進んで欲しいファンドの統合 2020
モーニングスターさん。
投資信託の新規設定が減少中。
この10年、やたら増えていた投資信託の本数。「もういい加減にしなさい!」というような増えっぷりだったのですが、ついにというか、ここのところ減少しているというお話です。
モーニングスターさんの分析によると、
- 減少の大部分はアクティブファンド。パッシブファンドはほとんど減っていない。
- 投信の償還のペースは変わらないが、新規設定が減った。その分全体として減少。
- 今年もその傾向は続いている。
とのことでした。最近のモーニングスターさん、シブい視点を数字で攻める、みたいな記事が続いててうれしいです。
つみたてNISA対象のファンドだけでも進んで欲しいファンドの統合
直観的に見ても、5000本は多すぎですよね。この10年で2000本以上増えたという事実が、なんというか業界のあさましさを物語っています。
償還のキーワード、ファンド選びの基本は、純資産総額です。投資信託の受益者のみなさまはぜひチェックしておきましょう。せっかくですので、モーニングスターのファンド検索を使って純資産総額の少ない投資信託を調べてみますと、無条件で4,779本が検索ヒットした内、
- 1億円以下のファンド→479本
- 10億円以下のファンド→1,904本
償還予備軍多数って感じです。出たばかりのファンドならたしかにしょうがないですけど、設定してしばらく立っても10億すら突破できないファンドばかり並べていても仕方がありません。
モーニングスターさんの記事には、
現在金融庁は純資産額が少ないファンドが多いことを問題視し、類似戦略ファンドの統合を示唆している。
とあります。主眼はアクティブファンドなんでしょうけど、パッシブファンドも例外ではありません。たとえば、つみたてNISA対象の次のファンド。
- SMT グローバル株式インデックス・オープン(761.13 億円)
- i-SMT グローバル株式インデックス(ノーロード)(2.09 億円)
( )内は、基準日:2020年08月07日付けの純資産総額。
なんて、統合しかないですよ。i-SMTのいまだ2億円って何?って感じです。もちろん信託報酬率は低い方に合わせる。
思うに、これは運用会社の自助努力ではできません。20世紀の遺物、護送船団マインドがいまだに抜けきらない古手の会社には、鶴の一声が必要です。信託報酬率のしばりを決めたつみたてNISA後、雨後の竹の子のように超ローコストのファンドが出現したことは、その一つの証左と言えましょう。
つみたてNISA対象ファンド、同一指数連動なのに複数のインデックスファンドを登録している運用会社に対しては、金融庁が厳しく指導するべきだと私は考えます。
コメント
ごもっともなご意見だと思います。
その一方で、国内公募追加型株式投信に限った場合の運用資産が6月末時点で106兆円、運用会社数が106社、それらが作った投信が5662本、あまり意味をなさない計算かもしれませんが、平均すると一社当たり大体1兆円の運用資産になって、一社当たり50本の投信を運用しているとして、一本当たりの運用資産額が200億円くらいになるので、市場規模と投信の本数の割合は言うほど悪くないのかもしれないなぁなんて思ったりします(少なくとも非効率な運用にはならない程度の規模にはなる)。
さらに言うと、そう言う多くの高コスト投信にあまり何も考えず手数料をこれまでも、これからもバンバン払ってくれるリテラシーの低いお歴々のおかげで、貸し株とかで帳尻合わせないときっと赤字であろう低コストインデックスファンドも存在しえて、NISAなんかも活用することでタダ乗りバンザーイ的な、若年層にとっては大変ありがたい状況が成り立っているという捉え方も出来ると思われます(知ってる自分たちだけが得すればいいんだから、ダメな投信(とそれにカネ突っ込むアホ)は必要悪だ論)。
見方を変えれば、個人投資家からみていけてる投信的なものが増えると、投信の本数は自然と減っていくとも考えられます(投資家にとっていけてる投信のコスト/手数料は低く、規模が小さいと持続可能ではない)。
業界全体の運用資産の規模は年々増えていますから、状況によってはかならずしも減る必要はないのかもしれませんけども。
結局のところ、投資家の資産が増えることで投信業界も潤うみたいな健全な環境を実現するには、投信会社のイメージとか流行りのトピックとかあまり本質的ではない要因を根拠に、いけてない投信に大事な資産を突っ込んでしまうリテラシーの低い個人投資家の群れと、それらとうまく共生する投信業界って構造自体が変わることが必須なんだろうと思います。
それが無いと、いけてない会社も潰れないし(いけてない会社の作るいけてない投信も売れちゃう)、いけてない投信の本数も減らないし(買うバカがいるから、作るバカがいる)、最終的に「お歴々」と「フリーライダー」達の世代交代が行われるまでこの状況は変わらないでしょう(お歴々の再生産がな無い前提。世代交代はつみたてNISA一期生の卒業より前になることはまずなさそうな予感)。
何が言いたいのかというと、規制やお上の鶴の一声も使い方次第では有効なんですが、silver bulletでは無いと。
こちらを含めた多数の良心あるBlogやVlogが、2000万円問題的な話とか、コロナで株爆下げ、今買いじゃね?的な話とかをきっかけに、今まで可処分所得は消費に回すことしか知らなかった多くの中間所得層に、広く認知されて行くことが実は健全な環境を実現する、地味ですけど有効なアプローチなんだろうと思ったりする、という話でした。
なので、引き続き頑張って毎日記事書いてくださいね。いつも楽しみにしています!!!
長文書いた割に中身が…
投稿: 名無し | 2020年8月 8日 (土) 02時36分
>名無し 様
コメントありがとうございます。
ブロガーミーティングなどでお話を伺っていると運用会社さんの方でも危機意識を持っているようです。察するに、M&A、投信本数削減、それに見合った人員態勢、自動化などなどの効率の良い経営に向けたリストラなんかも今後一層進むのではないかと。
>ダメな投信(とそれにカネ突っ込むアホ)は必要悪だ論
さすがに健全な投資を目指す「金融庁」としては、これは言えないわけで(笑)。全体としてはパーソナルファイナンス教育の充実という方向になると思われますし、実際そう言う動きも垣間見えます。
一方、健全な資産形成を具現化する施策としての「つみたてNISA」とその対象ファンドに関しては、そろそろ、ご指導が必要な部分も見えてきているのではないでしょうか。
投稿: NightWalker | 2020年8月 8日 (土) 11時09分