投資すべきではないシニアにならないためには?
日経 マネーのまなび 大江英樹さん。良記事です。
はじめに
大江さんの記事の要点を短く書くと
- シニアの投資の目的は、「自分のお金の購買力を維持すること」と心得る。
投資は大きなリスクがあるのだから、シニアは、投資額もほどほどに。ゆめゆめ儲けようなどと思ってはいけない、というわけであります。
「購買力を維持」とはこれすなわち、インフレ耐性。
- 「この20年近くの間は、投資などしなくても購買力が低下することはなかった」つまり「預金のままで持っていても何の問題もなかった」
- 「だが、今後どうなるかは分からない」
その方策の一つが、「グローバルな分散投資が可能なパッシブ型投資信託に保有資産の一部を充てておく」。王道です。
やっぱり大切なのは適切なリスク
もちろん、投資はそれほど甘くない、退職金をまとめて投資したりするのはもってのほか、「株のもうけは不労所得だ」と憤慨していたのに、隣の人の成功を見ていきなり投資を始めちゃうような人に限って、失敗する危険性は高い。ということも戒めておられます。
たとえば、記事のグラフで見ても、シニアが一括投資する危険性はよくわかります。
たしかに右肩上がりには見えるのですが、もしも、2000年頃に65歳で退職して、一括投資したとします。すると、
(1)いきなり、ITバブル崩壊(2000〜)。
(2)戻して、やれうれしやと思ったらリーマンショック(2008〜)。
(3)ようやく戻すも、チャイナショック(2015)でまた悪夢の再来に震える。
(4)増えたなと実感するのは2020年。でも、もう85歳。
(5)と思ったら、コロナショック。「新しい生活様式」とか言ってて長引きそう。
ふざけんな、死んじゃうじゃん!
というシナリオが待っていました。というか(1)や(2)の段階で、「ふざけんな」で、終了になるケースも少なくないでしょうし、折悪しく低迷期に、やむなくお金を使ってしまうこともあるでしょう。
これまで投資してこなかったシニアは投資するべきではないが・・・
シロートがプロに勝てる唯一の方策が、バイ・アンド・ホールド。しかし、その果実を受け取るには、少なく見ても20年は欲しいわけです。そしてシニアにはその時間はないのであります。私が考えるに、
- リスク資産はシニアになる前に作る。
- 退職金は投資しないで計画的に使う。
- 出遅れた人は、あきらめる。
だと思います。シニアになるまで株式投資をして来なかったというのは、論理と言うより、哲学や思想みたいなもんですから、シニアになってから、そう簡単に変わるはずがないでしょうし、あえて変える必要もないのではないでしょうか。それに、今のシニアは、逃げ切り世代とも言えるわけですから、下手な心配は大怪我の元です。
これまで投資してこなかったシニアは投資するべきではないし、無理矢理、投資商品を売るべきではない(ここ大事)のであります。
とは言え、65歳はまだまだ元気。投資してはいけないシニアになるのも少々寂しい気がします。現役世代のみなさまにおかれましては、そうならないように、修行しておくことをオススメします。
修行と言っても、iDeCoやつみたてNISAを続けられる金額で始めるだけです。この過程で、シニア向け資産運用術が身についちゃうのです。しかも非課税。ニッポンも少しは進歩しました。いい時代です。
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