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2020年5月25日 (月)

年金改正 長寿時代の選択

日経、田村正之さんによる、年金改正の解説記事です。とても参考になります。

はじめに

記事では、年金改正についてわかりやすく整理してあります。

施行時期 施行内容
2022年 4月
  • 65歳未満の在職老齢年金の減額基準を28万円から47万円に緩和
  • 年金繰り下げ受給の上限を70歳から75歳に
  • 繰り上げ受給の減額率を月0.5%から月0.4%に
  • 65歳以降も厚生年金加入なら在職中も年金が増える仕組みに
5月
  • イデコの加入上限を65歳未満に。企業型DCは同70歳未満に。
10月
  • 100人超の企業で短時間労働者が厚生年金の対象に
  • 企業型DC導入企業でもイデコ併用が容易に
2024 年 10月
  • 50人超の企業で短時間労働者が厚生年金の対象に

今回の改正の趣旨は、年金制度のサスティナビリティを向上させると同時に、個々人の事情に応じた年金プランの選択肢が拡がるというところにあるようです。大いに歓迎できる改正ではないでしょうか。

年金制度には黄金の羽根が落ちている?

ここに、面白いご指摘があります。

  • 繰り下げによる増額率は、本来、65歳を基点とした平均余命で計算している。
  • 2000年時点では何歳からもらってもトントンになるように設計されていた。

しかし、ちょっと、制度上の歪みがあリますよというお話。

  • 2000年の頃より平均余命が伸びたが、前と増額率は同じ
     →試算すると、71歳までは、本来あるべき増額率よりおトクになる
  • 70歳以上はもう少し増額率を上げないと割に合わないが、月0.7%のまま
  • 増額率は男女同率。女性の方が平均余命が長いのでマクロに見るとおトク。

なにやら黄金の羽根が落ちていそうです。でも、年金は、損得だけで考えるべきではありません。

年金は長生きリスクに備える保険。損得で考えるべきではない。

田村さんは、年金制度は「長生きリスクに備える保険」であることがカギであると指摘されています。

そうなんですよねー。ここが本質中の本質です。

私が考える年金繰り下げを決定するポイントは、次の2つ。

  • 一切働かなくても年金でなんとか暮らせる額になるまで繰り下げ、死ぬまで生きる。
  • マクロ経済スライドによる実質受給額の目減りを考慮する。

これを軸に、他のオプション、「支出の最適化」「長くはたらく」「夫婦で力を合わせる」「加給年金のことも考えとく」「非課税制度を活用しながら金融資産を蓄える」などなどを組み合わせていけばいいのであります。

でも、それなりに悩ましいパズルではあります。年金受給世代になるまでには、このパズルの解を出せる程度の金融リテラシーを身に付けておいた方が良さそうです。長期投資をする本当の意味は、実はここにあるんですよね。

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コメント

>田村さんは、年金制度は「長生きリスクに備える保険」であることがカギであると指摘されています。

田村さんの意見に完全同意です。橘玲さんなどは「70歳以上の繰下げはリスクプレミアムが乗らないので無意味」と一刀両断していますが、あくまで長生き保険、そして自身が何歳まで生きるか?(長生きリスク)は誰にも判らないのですよね。

その意味で私個人も、例えリスクプレミアムが乗っていなくても、75歳までの繰下げは「有り」と現状考えてます。

投稿: tanner | 2020年5月25日 (月) 06時19分

>tanner様
コメントありがとうございます。
一生生きる手段として、公的年金の増額をどう使うかですよね。田村さんも指摘されていますが、女性の場合は、十分にあり得るんじゃないかと思います。

投稿: NightWalker | 2020年5月25日 (月) 10時25分

こんにちは。
「敢えて」言わせていただくと、皆さんどうして「早死にリスク」を考えないのかな?と思うのです。
人生100年時代などと言いますが、現時点では多くの人はそれ以前に亡くなる方が多数です。

実際、年金を受給する前に亡くなる方もいらっしゃいます。
長年納付してきて、1円も貰えないというのはどうかと(遺族年金とかもありますけど)。

繰り上げ受給の減額率も段階的に改善されてきていますし、年金は相互扶助の考え方に基づくことを鑑みれば、
受給者を支える現役世代の数が今後少なくなることから、受給開始を遅らせれば遅らせるほど、
(基本の)受給額自体が年々減少し、将来的には繰り下げ受給による増額効果が結局減衰してしまう、
という未来も考えられると愚考します。

いったん請求すると取り消しできないとか、65歳前に請求するとアクシデントがあっても障害年金が請求できない、
等のデメリット部分を承知するならば、「もらえるときに」もらっておくというのも私ならば「全然アリ」とします。

要は、年金制度は全ての人にとっての「最適解」は存在しないというのが私の考えです。
ですので繰り下げ受給も勿論大いにアリなんですが、あくまでも自分でよくよく考えることが大事で、
まず「繰り下げありき」で考えるのはどうなのかな?と思うのです。

投稿: 傘張り浪人 | 2020年5月25日 (月) 17時15分

>傘張り浪人様
コメントありがとうございます。
>全ての人にとっての「最適解」は存在しない
その通りだと思います。今回の改正は、ブログにも「年金プランの選択肢が拡がるというところ」にあります。繰り下げなくても長生きリスクに耐えられる年金、資産を持っていれば繰り下げなくてもいいし、繰り上げてもいいわけで。今回の改正で繰上時の目減り額が微妙に改善されてます。(田村さんの記事を読むまで意識してなかった)。

早死にリスクの問題は、お金ではなく時間の使い方と考えています。ここは生き方の問題かと。

投稿: NightWalker | 2020年5月25日 (月) 17時27分

2022年4月より前に繰り上げ受給を開始する人には、今回の改訂のメリットがないということでしょうか。

投稿: 山田 | 2020年6月11日 (木) 11時45分

> 山田様
コメントありがとうございます。おそらく、そうではないかと。

投稿: NightWalker | 2020年6月11日 (木) 16時18分

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