金融庁によるNISA関連税制改正説明会に行ってきました!
QUICK資産運用研究所さんです。金融庁さんの「NISA関連税制改正説明会」に不肖私も参加して参りました。
はじめに
先日、与党の税制改正大綱が公表され、新しいNISA制度のアウトラインが明らかになりました。
例によって字がいっぱいで難解とも言える書面を元に、各報道機関がいち早くNISA制度を書いてくださったのはいいんですが、ちょっと、いち早すぎた模様。金融庁さんの弁を借りると「何らかの形で間違っている」報道になってしまったのでした。
わかりやすい例が、新NISA1階部分を「低リスク投信」と説明している報道機関がやたらあったこと。これ正しくは、「つみたてNISAと同様」です。金融庁さんも憤慨していました。税制改正大綱にそうとしか書かれていません。
新NISAの1階は「低リスク投信」ではありません。
つみたてNISAの主力は株式のインデックスファンドですから、決して低リスク商品とは言えません。税制改正大綱の報道機関への説明は税制と言うことでおそらく財務省からなされ、報道機関は担当各省庁にウラを取る前にスピード重視で報道、みたいな流れだったのではないかと勝手に推測しています。
てなわけで、金融庁さんが憤慨しつつも各方面への正しい説明を実施しているという状況の中での今回の説明会でした。でも、そのおかげで私のような一般市民が、金融庁直々の説明を聞く機会を得られたのでした。金融庁さんに大感謝です。
2024年〜NISA改正の基本的な考え方
令和2年度税制改正大綱(NISA部分)の基本的考え方は、次の二つ。
- 家計の安定的な資産形成の促進
- 成長資金の供給の促進。
以上の目的の実現手段が、それぞれ、
- つみたてNISAを延長。
- 一般NISAも改善して延長。
二つの「制度改正」に結実し、車の両輪として両制度が生き残ることになったという今回の大転換です。
一般NISAの方は投機的な目的や短期投資に使う人も多かったため、政治サイドからの評判が悪く危うくなくなるところだったらしいのですが、上記のようなロジックと2階建て構造で、どっこい生き残りました。
複数の制度間のロールオーバーもけっこう至れり尽くせりになってます。
- 一般NISAから新NISAへロールオーバーはもちろん可能。つまり実質延長。
- 更に新NISA1階部分は、5年後、つみたてNISAに簿価(取得価額)でロールオーバーでき、結果、最大25年間非課税で保有できる。
ジュニアNISAはあだ花ではなくお宝制度になるかも
ジュニアNISAは制度終了となりますが、うれしいおまけがあります。子供が18歳になる前の途中解約ペナルティ課税がなくなるそうです。ジュニアNISAがなくなると言っても2023年までは使えます。お子さんのいらっしゃる方は、それまでの間にうまく使うと使い勝手のよい非課税枠が手に入るということを意味しているのではないでしょうか。これは凄い。
今から私は子供を作れませんし、孫もまだできそうもないので、夢はこぱるちゃんたちに託します。(こぱるちゃんは、インデックス投資女子おぱるさんのお嬢さまで、今回、説明会に最年少参加!)
新NISAでも2階だけ使える場合もある!
新NISAでは、一階部分を原則として使わないといけません。といっても,月々1000円以上、というような条件になる予定らしく、20万円まできっちり使わなければいけないわけではありません。また、特例もあります。
それは、普通の個別株(ETFやJ-REITを除く)を買う場合です。この場合は、1階を使わずに2階の102万円ワクだけを使うこともできます。(追記:102万円ワクの2万円は、ジュニアNISA終了でできた財源を割り当てる計算から捻出した涙ぐましい金額の模様です)
これは、今回、私が参加して良かったと思った情報のナンバーワンでした。とは言え、私の場合、オールカントリーの毎日つみたてを実施中なので、1階条件は軽くクリアできる予定ではあります。
以上、個人的にはモロモロすっきりした説明会。私の聞き違い等あるかもしれません。また、細則はこれから決まるそうです。詳しくは、正式な制度説明のリリースをお待ちくださいませ。
NISAの寿命が延びたこと自体、実はすごいこと
金融庁さんのそもそもの要望は、今回、叶ったのかどうか伺ってみたところ、概ね叶ったとのことでした。
これまで、金融庁さんは、NISAの恒久化を毎年要求してきたのですが、1ミリたりとも状況は動かず延長すらありませんでした。ところが、今回、ついに突破。これは、大きな成果だったとのこと。さすがに新NISAの続きまでは具体化していませんが、国民のみなさんが、上記、2つの目的達成のために清く正しく活用すれば生き残るのではないかと私は期待します。
シンプルな制度を望む声も気持ちはわかります。一方で、限りのある財源をどう使うかは非常に難しい問題ですし、シンプルな制度にしたからといって、投資、そもそも貯金を含めた資産形成が広がるのか、という疑問も残ります。
私の場合を翻ってみるに、投資や蓄財を始めた理由って本質的には制度じゃないんですよ。私にはイデコもNISAもなかったですし、当時の一律10%の軽減税率があったから投資をしたわけでもないのです(これはうれしい制度ではありましたが)。
制度は、長い長期投資人生、その時々、自分の資産形成や資産運用で使えるところをサクッと使う、というのが正しいスタンスと私は考えます。
ご参考
ご参考にリンク集です。(今後順次追加の予定)
日経田村さんの記事は、誤報が飛び交う中、金融庁さんからもお墨付きをいただいた数少ない良記事です。
- つみたてNISA既利用者も投資可能期間5年延長…ジュニアNISA廃止も資金拘束撤廃…新NISA誕生(いつか子供に伝えたいお金の話)
- イデコ・NISA大改革 間違いやすい5つのポイント 編集委員 田村正之さん(日経さん)
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