庶民ができる分散投資の限界について考える。
原理的な意味での「分散」のリスク低減効果は絶対だと信じてやまない私ですが、庶民ができる分散投資には限界があります。
分散できない資産もある
それは、庶民には、分散したくてもできない資産が存在することです。SBI証券さんの宣伝記事に、ちょうど良い図があったのでちょっとお借りします。ハーバード大学の年金基金の運用です。ずいぶん前に書いた、エンダウメント投資。
ここに、「未公開株やヘッジファンドなど、多様なオルタナティブ運用が全体の50%程度を占める」とあるのですが、これは、「未公開株やヘッジファンドなど、庶民が投資したくても投資を超しづらい資産が全体の50%程度を占める」と私は読むべきだと考えます。
同記事の資産配分例にも、肝心の未公開株式(プライベートエクイティ)はありません。また、不動産や天然資源にしても、ここで言うのは実物資産と思われますので、REITやコモディティインデックスではカバーできていない投資ゾーンもあるはず。あと、ハーバードのポートフォリオは関係ありませんが、投資が超困難な国というのも存在します。
1990年代の日本市場の反省
1989年末に最高値を付けてバブルが崩壊してからの10年間の最大の反省は、世界分散の必要性。日本だけに投資していてはダメと言うことでした。しかし、1980年代〜1990年代前半に世界に庶民がさくっと投資できたかというとそうではありません。
モーニングスターで調べると、国際株式のインデックスファンドで20年以上運用しているファンドは、以下の2ファンドしかありませんでした。設定は、1997〜1998年。
- ステート・ストリート 外国株式インデックス(ステート・S)(設定日:1998-12-01)
- (MSCIセレクト) コクサイP (インベスコ)(設定日:1997-11-20)
外国株式は、肝心なときに、投資したくてもするのが困難な資産クラスでした。
そもそも、海外に積極的に投資すべきというリテラシーすら、私にはありませんでした。そして、更に、ネット証券が勃興した1999年くらいから、ようやく、平日の日中、証券会社に行くのもままならないサラリーマンにも、世界分散投資をする智恵とツールが手に入ったのでした。
というわけで、我々庶民には投資できないゾーンが存在します。
ですが、変な色気を出しても、いわゆるカモになりかねません。妙案のようなものはあっても、真の妙案はないのです。
株式クラスの「自己増殖する力」にかけるという戦略の重みをかみしめる今日この頃なのでした。
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