人気回復する毎月分配型投信に思う。負けるな金融庁!
日経マネー研究所さんです。またぞろ、毎月分配型の胎動?
運用しながら取り崩すというニーズはわかる
記事にもありますが、運用しながら取り崩すニーズがあるのはわかります。っていうか、シニア層になったらそうなります。
問題は、その実現手法です。
記事でタコ足になってしまう話があります。資産形成世代ではたしかに問題ではあるこの特性、資産活用世代ではそれは至極当然の感覚であり、また定率の方が合理的というのも現実的に絶対額が必要な取り崩し世代にはアピールできないというのも良しとしましょう。
しかし、それでも問題が残ります。たとえば、次の2つ。
その1 保有コストがあまりに高い
全部が全部とは言い切るわけではありませんが、記事にも筆頭に出てきた、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)の保有コストを見れば一目瞭然。消費税も値上がりして、同ファンドの名目上の保有コストは、
年1.81%(税込)
です。
このファンドの投資先のなけなしの期待リターンを2%近くも奪い取ってしまうんですよ。金利ゼロの時代になんだろう、消費税の2%増にはこんなに大騒ぎをしているのにいったいどういうこと?と思うわけですが、この意味を理解して買っているのだろうか・・・というのが、次。
その2 営業マンにセールスされた結果として買っている
記事中に、こんなありがちなエピソードが書かれています。
"神奈川県に住む70代の女性は大手証券の若い営業マンに提案され、毎月分配型の投信などに合計1500万円を投じたことを後悔している。「金融商品に詳しい親戚に説明されるまで、仕組みを理解していなかった」という。"
これですよこれ。
金融商品は、営業マンにセールスされた結果として買ってはいけないのですが、買ってしまうのです。このケースでは、後で失敗と感じて、一部解約したそうなのですが、失敗と感じないままの人もいるでしょう。これを「知らぬが仏」と言っていいのかどうか。
負けるな金融庁!
毎月分配型投信は、先代金融庁、森長官の時、問題金融商品の象徴みたいになり、成りを潜めていました。
しかし、また、ここに来てこんな状況です。ゆうちょ銀行のランキングを見ても思いっきり売れています。(ご参考エントリー:ゆうちょ銀行の投資信託ランキングをネット証券と比べてみる 2019/8)
最近、私が心配しているのは、例の「2000万円の問題じゃないのに2000万円問題にされた問題」以来、個人の健全な資産形成に対してあれだけ元気だった金融庁の方が、成りを潜めてしまっていることです。
不肖私が思うに、資源のない日本が人口減時代を乗り切る大きな方向性は次の3つ。
- 金融資産の有効活用
- 科学技術力の維持増強
- 資源(食糧エネルギー)入手経路の確保
人口減そのものは、ニッポンの国土の面積を考えた場合、サスティナビリティーの考え方からは、悪いこととも言えません。しかし、乗り切るためのマクロな方策は必須です。
今ならまだお金はあります。特に高齢者のお金。そんな大事な宝物をすり減らすような真似は国益にかなわないと思うんですよね。
金融庁さんには、心機一転でまたがんばって欲しい。とりあえず、つみップは復活して欲しい。
変な抵抗勢力にまんまと負けないで欲しいなあ、と願う今日この頃なのでした。
以上、めずらしく意見表明のエントリーでした。
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