リタイアに向けて考えておきたい3つのこと +アルファ
拙著に、「アーリーリタイアするときチェックしたこと」という章があり、3つの判断基準というのがあるのですが、よく考えてみると、これは、普通のリタイアでも一緒だな、ということで、ちょっとご紹介がてら、つらつら書いてみます。
その1 年金は足りるか?
つまり「年金>支出」です。これができないだろうと多くの人が漠然と思っているのですが、そうでもなかったという話。年金を増やす方法は、身もフタもない系含めて、結構あります。
- 結婚 →ダブル年金は強い。
- できるだけ長く厚生年金に加入する。終身年金最強。
- 繰り下げる。最大42%増。
- 任意加入する
こんなとこですかね。今は、繰り下げる人は超少ないですが、マクロ経済スライド(年金の減額)の発動に伴って、今後は増えていくんじゃないかと。あと、「円満な結婚」と「終身年金」は最強です。
支出ですが、これもそのひと次第。現役時代の60%とか70%という試算を見かけますが、これはウソです。人によって違います。私は30%ぐらいだったのかなあ。住宅ローン・教育費・仕事関連費用が大きかったんですけど、全部ゼロ。
というわけで、みなさん、親の生活具合なんかを参考に、なんとかして「年金>支出」にしましょう。
その2 年金生活までの生活費は足りるか?
これは、退職後、年金受給開始までのストックのこと。つなぎ資金ですね。最大の対策は、
- 年金受給開始するまでは働く
身もフタもありませんが、これなら、ここのパートはゼロ円にできます。私は、割増退職金などでチャージして、早期リタイアの道に踏み切りました。
その3 余裕資金はあるか?
その1、その2だけで、死ぬまで生きることが可能です。しかし、それでは人生面白くないし、いざというときに耐えられません。その資金をつくりましょうという話で、こここそが、資産運用のターゲット。
ここに株式投資を持ち込む理由は、私の場合、「対インフレリスク」と「お金を増やす楽しみ」です。
投資は余裕資金でやるものです。必要資金が足りないから投資しようという考え方は、普通の人には毒にしかならないと私は考えます。
修行中の介護の話
リタイア後の支出は、私のような早期リタイアによる待機期間(退職後〜年金受給開始)がなければ、次の3フェーズがあります。
- 元気高齢者 まだ元気なので余生を楽しめる。支出は現役時代より少ないけど、老後としては多め。
- 普通高齢者 さすがに遊びたおす元気がなくなる。支出は少ない。
- 介護高齢者 介護費用により支出は幅がある。
現在、勉強中なのが、3番目の介護生活のリーズナブルな乗り切り方。
- 自分のお金だけで介護をやりきり、子の世代から持ち出さないのが前提。
- 医療保険や介護保険をうまく使って支出を減らす。
- 在宅介護力によるコスト削減
- 健康維持努力
などなど。修行中です。
余談
件の報告書でも話題となった「年金が足らない論理」。この論理は、金融商品を売りつけたい人がよく使うものなので、フィデューシャリーデューティーの旗の下、金融機関を取り締まる省庁が使うには、少々、不適切な感は否めません。ただ、ここ一点で、報告書を全否定するのもどうかと思いますけどね。
- ご参考エントリー:私が資産形成を始めたのは「老後が不安だったから」ではない。
人生を平均で語るのは不可能。他人は他人、私は私。個別に考えたい。
そこで智恵を出すのがFPさんなのかもしれませんが、私思うに、やはり自分で考えるのが一番。
つみフェス2019で登壇したときにも「人生の出口戦略は、資産運用云々の前に、老後のキャッシュフロー設計の部分が重要 」という主旨のことを発言したのですが、金融知識とキャッシュフロー設計力を身に付けることこそが、生き残りの最大の秘訣ではないでしょうか。それが、いつも言ってる、今、アーリーリタイア生活を送る私の実感です。
コメント
おはようございます。
>その1 年金は足りるか?
国民年金加入者なら、付加保険料の加入もおススメですね。
金額は知れていますが、2年で元が取れる(土台になる通常の保険料は、ざっくり9年程かかる)という点において。
>余談
金融庁ほど国民目線で動いてくれている官庁は無いんじゃないでしょうか?件の報告書にしても、分かっている人にとって自明のことではあり、妥当な内容だと思いますが(厚労省なら絶対書けない)。
野党も政争の具にするのではなく、つみたてNISAの非課税枠拡大とか運用年数期限撤廃とか、そういう方向で財務省に突っ込むとかして欲しいものです。
投稿: 傘張り浪人 | 2019年6月16日 (日) 08時50分
>傘張り浪人様
コメントありがとうございます。
>野党も政争の具にするのではなく
それは与党も野党も不可能なのでw、政争の具としてでも良いんで、つみたてNISA&iDeCoなど非課税制度の改善を叫んで欲しいところ(^_^)。
投稿: NightWalker | 2019年6月16日 (日) 09時10分
<「年金>支出」です。これができないだろうと多くの人が漠然と思っているのですが..
とても心強い記事で励みになりました。
老後を過度に不安視するのは心配すること自体を好む日本人気質なのかもしれませんね。
投稿: うえぞん | 2019年6月18日 (火) 00時14分
>うえぞん様
コメントありがとうございます。
もちろん人によりますが、今の高齢者を見ていると、お金は余ってるようにしか見えないんですよね。理由は、高度成長期の20世紀後半の遺産。で、21世紀前半に生きる私たちもそのバトン(制度や金融遺産そのもの)は多少なりとも受け取ることができます。そう言う意味では過度に不安視する必要はないと考えます。
しかし、問題は、21世紀後半で、もし私たちの世代が投資をしなかったら、ピケティの法則よろしく国家間の格差が広がり日本は貧乏になり、バトンが渡せなくなってしまうとも思うのです。そこは心配しています。
投稿: NightWalker | 2019年6月18日 (火) 00時38分