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2019年5月12日 (日)

「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい

著者の岩城みずほさんから、ご献本いただきました。

著者、面目躍如の一冊

かなり、読みごたえのある一冊です。

前著が初心者向けのライトなタッチだったのとは一転。(ご参考エントリー:腹黒くないFPが教えるお金の授業)今回は、きわめてヘビメタ。

なにしろ、全8章構成中、第1〜6章が、貯蓄性保険、ことに外貨建て保険の問題点をこれでもかとばかりに全包囲網的徹底追求。残る2章も手は緩みません。第7章は、既に買っちゃってたらどうするかが書かれているのですが、「損が出ても解約」みたいな(^^;)。最後の第8章で、どうやって資産形成するのが正解かという話になるのですが、ここでも、構造的に高コストの商品を推薦してしまい兼ねないアドバイザーの問題について言及。もはや、芸風としか言いようのない、めくるめく武闘派な世界。

反発が出るのも予定調和。Amazonの★ひとつのレビューだけ読むと、レビュワーのポジションなどなどを想像してしまい逆に痛快な気持ちになってしまうほどです。

<5/12 捕捉>

一部のAmazonレビューに関連して、上記の行間をちょっとだけ自己解説しときます。

本書は、保険本来の目的(火災、自動車保険などの損保など)、節税対策(制度の良し悪しは別として保険料控除)、相続対策(相続財産の一部を揉めることなく特定の人にすぐお金が下りるようにするなど)を否定しているわけではありません。本書の攻撃対象は、あくまで、それにかこつけて売られている実態は投資商品なのにコストやリスクの構造がわかりにくく、流動性の低い商品。そんな商品をよく判らないまま必要以上にたくさん買ってしまうみなさんへの警鐘が主旨です。念のため。

「保険でお金を増やす」はコストもいっぱい

印象に残ったのは、タイトルにある「リスク」より、「コスト」の方かなあ。さしずめ、

 「保険でお金を増やす」はコストもいっぱい

といったところでしょうか。(正しくは「コスト構造が難解」と言った方がいいかな?)

こういった複雑な仕組みの商品を必要とするのは、やっぱり、業界の利益構造上の問題なんでしょうね。金融業界の人もかすみを食っては生きてはいけないわけで。

国際競争にさらされた製造業とは違い、金融業界は、まだまだ課題が残っているんだと思います。とは言え、国際競争の世界に金融業界が突入するのも時間の問題な気はしてます。たとえば、三菱UFJ国際投信さんが、アットコストではないという批判は承知の上でeMAXIS Slimのような超ローコスト戦略商品を作ったのにも、そんな背景、危機感があったと私は思っています。

あと、何気にタメになったのが、ブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕さん、日経の田村正之さんへの取材協力を得つつ書かれた、第5章の為替の話。オツムの整理になりました。

てなわけで、あれこれ考えさせられる本書。座右の一冊として時折活用させていただこうと思います。

おまけの経験談

さて、せっかくですので、本のご紹介ついでに、私の経験談をご提供します。

実は、私、4年前にセミリタイアするときに、20年以上前に契約した終身保険(住宅ローンで強制的にチャラ保険に加入したときに、予定利率の高い終身部分だけを残して、他は取り払っていたというちゃっかり保険)を払い済みにしようとしました。すぐさま、仕事熱心な保険レディの方から熱いお電話。交通費もくれるから来てと言うので、のこのこ出掛けると、若い男性課長も出てきて、

  • 仕事、辞めたんだったら保険の営業をやらないか?
  • 外貨建て保険を買わないか?と商品説明。

という話を受けました。

案の定過ぎて笑ってしまったのですが、ぐっとこらえて、しばし歓談。もちろん、前者は、私の親戚、ご友人一同さま狙い。後者は言わずもがな。「なあんだ、話はそれだけ?」と丁重にお断りし、しっかり、払い済みにしてきたという事後の顛末でした。

今となっては、懐かしい良い想い出です。

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コメント

amazonのレビューを読んでみましたが、妥当な内容だと思います。
このレビューのどこがおかしいのでしょうか?

レビューにも書いてありますが、保障がある保険とないiDeCoを比較するのはそもそもナンセンスであり、その人にとって必要なものをチョイスする必要があります。
どちらか一方のみが良い悪いというものはないでしょう。

また、どうしても貯蓄性保険とiDeCoを比較するのであれば、
貯蓄性保険 vs iDeCo+収入保障保険
で比較する必要があります。
iDeCoには保障機能がありませんから。
この本にはそのようなことは書かれているのでしょうか?

投稿: AKI | 2019年5月12日 (日) 09時01分

>AKI様
ご無沙汰しています。コメントありがとうございます。
補足で追記しましたが、本書は、保険は全部ダメと言っているわけではありません。たしかに、ある一面ばかりを本の90%を使って攻撃するのはいかがなものかというのはわかります。
ちなみに、本書では、貯蓄性保険の保険部分を差っ引いた投資の部分と、単純に投資信託や米国債に投資した場合を比較していますが、いずれにせよ、すかっと比較できないのは、その通りです。

投稿: NighhtWalker | 2019年5月12日 (日) 09時59分

早速のご返信ありがとうございます。

外貨建て保険の代わりをiDeCoに求めようとすると、年利1.4%程度のリターンは必要になります。

このリターンになってくると、投資に関する知識が必要になりますし、iDeCoには保障機能はないため、保険に関する知識も必要になります。
iDeCoに加入しているからといって、生命保険が不要になるわけではありません。保険販売に問題があることは事実でしょうが、必要以上に保険を攻撃する本は、一般人にとって害が大きいと思っています。

貯蓄性保険の保険部分を差っ引いた投資の部分と、単純に投資信託や米国債に投資した場合を比較しているとのことですが、これも意味のない比較だと思います。

この件ではよく例に出るライフネット生命は創業以来赤字に苦しんでおり、保険料と付加保険料の区分けは意味をなしておりません。

また、消費者は貯蓄性保険の保険部分を差っ引いた投資の部分だけを買うことは出来ませんから、これもまた意味のない比較です。

比較するのではあれば、消費者が買うことができ機能をほぼ同等に揃えたものにする必要があり、そうなると
貯蓄性保険 vs iDeCo+収入保障保険
との比較になると思います。

iDeCoは使いこなすにはハードルの高い道具だと思っているので、誰にでも勧めることはできないものだと考えています。
ですので、安易にiDeCoを勧め保険を貶める本書のような内容には、警鐘を鳴らしたいです。

私は守るべき家族がいる消費者がiDeCo善、保険悪と中途半端に理解し、定期預金で運用するiDeCoに加入し生命保険に加入しないなら、外貨建て保険に加入した方がましだと思っているのですが、NighhtWalkerさんはどのように思われますか?

投稿: AKI | 2019年5月12日 (日) 12時54分

>AKI様
>iDeCo善、保険悪と中途半端に理解
たしかに、間違ったメッセージを受け止めてしまう可能性はありますね。
>定期預金で運用するiDeCoに加入し生命保険に加入しないなら
投資運用する気がない人を前提にするなら、必要な場合、生命保険に入る+現金が無難な方法だと思います。投資回避傾向のある人が、外貨建て保険に「よくわからずに」入るのはやはりあまりオススメできないのではありませんか?

投稿: NighhtWalker | 2019年5月12日 (日) 14時09分

>外貨建て保険に「よくわからずに」入るのはやはりあまりオススメできない

これはそのとおりだと思います。
元本が保証されているわけではないことなどを、しっかりと理解してから加入しないといけませんね。

保険は投資よりは理解しやすいですしリスクも限定されているので、投資は無理だけど保険なら大丈夫という層はいると思います。そういう人が保険で若干の資産運用をするというのはアリだと思っています。
今の環境では「生命保険に入る+現金」では元本割れは確定ですので。

もちろん、一番は投資も保険もきちんと理解して、資産運用は投資商品で、保障は保険で賄うことがベストなのは言うまでもありません。

しかし、ここ数年ほど社内の投資教育を担当しており、投資を人に理解してもらうことの難しさを実感したので、投資のゴリ押しだけでは社員のライフプラン支援はできないことが分かってきました。

投稿: AKI | 2019年5月12日 (日) 14時32分

AKI様
>ここ数年ほど社内の投資教育を担当しており、投資を人に理解してもらうことの難しさを実感
すごく合点がいきました。
>投資も保険もきちんと理解して、資産運用は投資商品で、保障は保険で賄うことがベスト
この理解を多くの人が共有するには、まだ何世代か必要なのかもしれませんね。

投稿: NighhtWalker | 2019年5月12日 (日) 14時54分

AKI様
通りすがりのものですが、少し疑問が。もしも僕が間違っていればご指摘ください。AKI様は、通常の死亡保険(収入保障保険含む)といわゆる外貨建て保険の保険機能を、あたかも同様のものと考えていらっしゃるのではないでしょうか。通常の死亡保険の意味は、万一のことが起きたとき、払った保険料の何百倍もの保険金が返ってくることに意味があります。それこそ死亡保険や火災保険、自動車保険に共通の、本来の保険の機能です。

ところが外貨建て保険の保険機能は(商品により多少差がありますが)基本は最初に一時払いした金額が戻ってくるにすぎません。例えば投信でも運用中に死んだら、その時点での時価の分の資産は遺族に受け継がれます。ただ投信の場合はその時含み損になっていればその分減った金額しか戻りませんが、外貨建て保険は含み損になっていても払った金額が戻るということだけの保険機能です。つまりものすご~く薄い保険機能です。だからこそ「保険という薄皮を被った事実上の投資信託」と金融庁が指摘しているのではないでしょうか。

つまり外貨保険の保険機能はものすご~く薄く、それを「保険があるから投信と比べてはいけない」と考えるのは、まさに保険会社の術中にはまっていないでしょうか。

もしも僕の知識不足で勘違いがあればすみませんが…。

あと「保険は投資よりリスクが小さい」というのも外貨建て保険に関しては保険会社の術中にはまっていないでしょうか。定額(外債で運用)と変額(株で運用)を組み合わせるタイプの外貨保険は、外債+投信という投資にほかなりません。

定額だけの部分も外債運用とほぼ同じで為替リスクを負います。満期まで持てばあくまで外貨ベースでは元本が戻るのを「元本保証」などと称する保険の売り手さんもいますが、それは外債投資も同様です。

これも僕の知識不足でしたらすみません、ご指摘ください。

ただし外貨保険の定額タイプの中には、単純に外債を買うのとそれほど変わらない実質的な利回りが得られるものもあるので、全部がそれほど悪いとは思いませんが。

投稿: yurayura | 2019年5月12日 (日) 19時20分

すみません、ちょっと不正確だったので修正しますと、「払った金額が戻ってくる」だけではなくて運用期間中に死んだときは、増えていればその金額が戻ってきます。しかしそれは投信で運用していてそこで死ねば増えた金額が遺族に戻るのと同じです。細かい修正ですが念のため<m(__)m>

ちなみに僕はさっきの投稿の末尾でも書いたように、外貨建て保険も商品によってうまく使えばいいものも(ごく少数ながら)あると思います。しかし多くは薦める方も買うほうも何が何だかわからないまま、運用目的であるなら通常の低コスト投信の方がいいにもかかわらず(繰り返しですが通常の外貨保険の保険機能は極めて薄くて無視してもいい程度のものなので)高コストの外貨保険を使っていて、それに警鐘を鳴らす岩城さんの本はかなり意味があるかと。

投稿: yurayura | 2019年5月12日 (日) 20時54分

>yurayura様
くわしいコメントありがとうございます!
勉強になります。

>AKI様
yurayuraさんのご指摘を本書を踏まえて私なりにまとめると、岩城さんの本で対象となっているような貯蓄性保険、
(1)生命保険機能と言っても薄い
死後支払われるのは、「当初の払込額、またはその時点での運用成果を反映した額」(本書p117)。保険と言っても、ほぼ、投資商品。(保険料控除の対象にはなる)

(2)リスクがあるのに顧客が気が付いてないことが多い
岩城さんはFPとしての経験から、保険は安心を買うものとの思い込みで、ほんとは存在する、それなりのリスクを顧客が気が付かないことも多いということを懸念されています。

私が、「よくわからずに」とコメントした、よくわからない部分は、具体的には、まさに、この2つです。AKIさんは、社内で投資教育を担当されているとのことですから、この辺、お詳しいと思いますが、いかがでしょうか。

投稿: NighhtWalker | 2019年5月13日 (月) 09時56分

コメントに気付かず返信が遅くなってしまいました。

yurayuraさん

>外貨建て保険の保険機能は(商品により多少差がありますが)基本は最初に一時払いした金額が戻ってくるにすぎません。

私は積立型の保険の話をしていました。一時払い型であれば仰るとおりだと思います。入る意味は相続対策とか特殊な理由以外ではありませんね。


>「保険があるから投信と比べてはいけない」と考える

世の中では投信が購入対象にならない人が大部分なんですよ。
説明しても理解できないし理解しようとも思ってないない人が多い。
そういう人のセカンドベストとして何が良いのかという話です。


>「保険は投資よりリスクが小さい」

保険はリターン(最低リターン含む。)が確定しているものが多いので、期待リターンからの剥離は投資商品より小さくなると思います。リスク要因は為替に限定されていますから。ですので保険は投資よりリスクが小さいと申し上げました。
普通の人は不確実性をもの凄く嫌がるんですよね。リスクの説明をすると投信より保険をチョイスする傾向にあります。

外債運用であればリターンを確定できますが、これはかなりの投資知識を必要とするので難易度は相当高いです。投資家でも投信ではなく生の外債を買っている人は少数派でしょう。そういう商品を投資知識がろくにない人に買わせるのは無理だと思います。

yurayuraさんの仰っていることは私もそうだと思っていますが、現実問題として普通の人は難しいことは勉強したくないししたいとも思っていないので、投資が対象外になることは多いです。
投資の説明をしていて、途中で「あっ、この人には投資は無理だな。」と思うことはしょっちゅうあります。
そういう人たちの資産形成をどうするのかという話ですね。

インデックス投資ブロガーの中には、FPがバランス型ファンドを勧めていることを否定的にみている方がいますが、あれも投資教育に携わってみるとそういう解決方法を採用するのもやむを得ないんだろうな、と感じています。
全ての人がベストな選択をできるわけではないので、一人一人に合うセカンドベストを顧客と一緒に探し出すのがFPの仕事だと思いますね。

投稿: AKI | 2019年5月20日 (月) 06時37分

NighhtWalkerさん

一時払い外貨建て保険生命の保険機能やリスクは、そういう商品ですのでそれ以下でもそれ以上でもないでしょう。

問題は売り方ではないですか?

一時払い外貨建て保険生命の商品性が悪者なのではなく、売り方・説明不足に原因があると思うのですが。

投稿: AKI | 2019年5月20日 (月) 06時43分

>AKI様
コメントありがとうございます。
>問題は売り方ではないですか?
おっしゃる通りです。
ちなみに本書では、運用サイドと販売サイド(販売手数料や保有コストで儲けるビジネスモデルの窓販やFP)の双方に利することに起因し生まれた商品ではないか?、という意味のことを指摘されていました。
また、保険商品のコストの透明性については、金融庁も問題視しているようですし、そのうち改善されるかもしれませんね。

投稿: NighhtWalker | 2019年5月20日 (月) 09時40分

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