シニアの投信選びについて考える
QUICK研究所 北沢千秋さん。
シニア向きの投信なんてない
まず、私が思う結論は、「シニア向きの投信なんてない」ということ。
シニア向きと言うことで、債券比率を増やすくらいならまだしも、あれこれ分散したり、あれこれヘッジしたりしたファンドがオススメとしてよく登場しますが、現役世代でも複雑な仕組みをシニアにオススメするのは、いかがなものか、と思うわけです。下手するとこれまで築いてきた資産からの買い換えコストもかかってしまうわけですし。
高齢になってもぼけ防止のために投資をやるべきだという人もいますが、高齢者の運転と同じで、私はまだ大丈夫と思っているときが危険なのであります。高齢になってから相場を読み違えれば、負けたら働いて返せばいい現役世代より遙かにショックが大きいことは言うまでもありません。
普通に資産形成していくとそもそもシニア向け投信を買うタイミングがない
てなわけで、普通のシニアの資産運用は、次の2点だと思うわけです。
- シンプルな商品。
- 現役時代よりリスクの低い適度なリスク資産比率
インデックス投資家だと、結局、現役時代と一緒。単にリスクを落とすだけ。
ベストなストーリーのひとつとしてあるのは、現役時代にひたすら株式クラスを積み上げて、退職金で一気に現金比率を増やしてシニアのポートフォリオ完成というものです。この場合、シニアになってからはリスク資産は買わず、メンテ(リバランスやリアロケーション、取り崩し等々)に徹するわけで、それまで蓄財してきたリスク資産を活用のため売ることはあっても、シニア向け投信なるものを新たに購入する必要性が存在しないのです。現役時代に買ったリスク資産がすべてです。
ETFは分配金が出るのでなかなか良い選択ではあるとは思いますが、わざわざ買い換えコストをかけてまで買い換えるのもシャクな感じがします。
余談
シニア層は、何ごとも現役時代と同じとはなかなか行きません。
そんなシニアに今後期待されるのは、自動化サポートです。たとえば、定率取り崩しにしても、歳を取ると、計算したり取り崩しのオペレーションが面倒になってしまうかも。妻や子供や孫に早めに委譲するという手もあるにはありますが、取り崩し自動化サービスの登場が待たれるところです。
ただ、その自動化にもコストのワナがあります。
たとえば、投資で言えば、自動化の雄、ロボアドバイザーにはけっこうなコストがかかります。将来できるであろう自動運転車も後期高齢者は必須という時代が来るかもしれませんが、やっぱり高そうです。様々な分野でシニア向けの自動化サービスなるものが、いろいろ生まれるのでしょうが、高コストな選択肢になってしまいそうな気がします。
やはり、「シンプルイズベストでローコスト」で十分、それこそが「足るを知る」じゃないのだろうかとも考える今日この頃なのでした。
コメント
S&P500が最適解だと思います。何歳になっても生きている限り、株価は右肩上がりになりますからね。資本主義社会の是非だと思います。
投稿: とら | 2019年4月28日 (日) 18時44分
> そんなシニアに今後期待されるのは、自動化サポートです。
これ、本当にそう思います。
歳を取ってから、一般口座で購入したETFを売却したときの税金の計算と確定申告の作成をきっちりとやれる自信がありません。
今のe-Taxでも面倒すぎます。
証券会社には、年間の売買記録を元に、自動で確定申告書を作成して税務署に送付までしてくれるサポートをしてほしいものです。
投稿: 見知らぬ男 | 2019年4月28日 (日) 23時37分
みなさまコメントありがとうございます。
>とら様
米国も過去に停滞した時期もありましたから絶対ではないものの、現時点での最強資本主義国家であることは間違いないですね。
>見知らぬ男様
たしかに、税務署直結とまでは行かなくても、せめて自動的に確定申告ソフトとでも連携してくれると、超助かりますね。
投稿: NightWalker | 2019年4月29日 (月) 00時54分