「ここで売ってどうする」を共有する
投資は、基本的には孤独な作業ですが、ことプラスサムゲームであるバイ・アンド・ホールドでは必ずしもそうではありません。
売らないという認識を共有する
投資は、もちろん、一人一人の自己責任です。しかし、拙著の中にも書きましたが、お金のことを話せる仲間を作ることが、時として、大きく力になることがあります。端的なのが、相場が不安定なときです。
私が、10年以上前(リーマンショックよりも更に前)に、ITバブル崩壊の頃の話として聞いたことがあるのが、当時の米国のバイアンドホールダーたちが、仲間内で、「ここが辛抱のしどころ」「売ってはいけない」と支え合っていたみたいな話です。相場が揺れ動き、個人投資家の心が更に大きく揺れ動いたときに、「ここで売ってどうする」という認識を共有するわけです。
前提としてあったと思われるのが、長期投資の国民的土壌。資産形成を目的とした個人投資家(普通の人)が増えているかどうかです。米国では、401K条項ができたのが、1978年ですから、ITバブル崩壊の時には、そこから20年くらい経っていて、おまけにブラックマンデーも経験していて、というような状況がありました。
仲間作りがカンタンな時代
翻ってみるに、我が国が米国の401Kにならって確定拠出年金制度を立ち上げたのが2001年。その後、リーマンショックを経験して、かれこれ20年近く。かなり遅ればせながら、ようやく、ITバブル期の米国とよく似た状況になってきているのではないか、という期待があります。日本なんてまだまだ、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、つみたてNISAムーブメントなんかもあって、20代30代を中心にマインドが一気に塗り変わるような予感がしています。
となると、次の大きなショックが、重要な試金石。それまでに、日本の長期投資家(普通の人)のマインドがいかに醸成されているかです。
その、売らないという認識を共有する仲間作りですが、いまや、ネットの時代です。コミュニティへの参加は、割と簡単です。情報収集という意味でも、かつては長期投資の本と言えば米国の本ばかりでしたが、今では、日本人の視点で書かれた書籍もたくさんあります。
ただ、ネットや書籍の情報は、玉石混淆。そして価値観は多様化していますから、ある人にとっての「玉」は、ある人にとっての「石」。ここは、各自、自己責任、自分の頭で考えるところです。考えるしかありません。
コメント
今はSNSとかネットでいろんな情報を得られるので便利な反面、流される危険もあります。
今日、仕事してたら新入社員がお金儲けしたいんですが、
「バイナリーオプション」やってみたいんですが・・・、って質問されました。
株式投資もろくにやってないのにいきなりバイナリーかwwって驚きました。
うちも一応知ってますが(当然やった事ないですが)、こういうのに興味を
持つのはどうなんかな?と思いました。
やはり個人差はあれど、人間短期で「売って」儲けようとする気持ちが
強いので長期で持つのは忍耐がいる事だと改めて感じました。
投稿: くまさん | 2018年11月 2日 (金) 15時21分
>くまさん様
コメントありがとうございます。
仕事中にバイナリーの話題ですか?それ、別の意味で、すでにアウトだと思います。
投稿: NightWalker | 2018年11月 3日 (土) 00時58分