過去のリターンの分析の話
過去のリターンの分析というのをしたくなることがあります。その時に問題となるのが、計算結果の信憑性。
分散投資の3大パラメータと過去の分析
現代ポートフォリオ理論によるリスクリターンのモデルでは、標準偏差(リスク)、相関関係、期待リターン3つのパラメータが出てきます。これらのパラメータを決めるに当たって過去のデータというのがどれほど当てになるか、という話です。
最初に私の認識は以下。
- 標準偏差(リスク) 過去のデータがけっこう当てになるが、分散された市場ポートフォリオだと、結局、20〜30%ぐらいになり、計算するのがむなしい。
- 相関関係 ドンドン変わるので計算がむなしい。
- 期待リターン 長期のリターンを求めようとすると、過去のデータが不足するので計算がむなしい。
以上です。
特にむなしいのは、期待リターン。
過去の実績には期待しないが、未来の株式の自己増殖力には期待する
たとえば日経平均株価指数は、1950年からありますから60年以上のデータがあります。しかし、年次リターンならともかく、30年の期待リターンを求めるに当たって、60年程度の歴史しかない市場で少しずつ評価期間をずらして計算したところで、その数字に意味があるかは疑問。やっぱり、せめて300年、いやできれば、3,000年分くらいのデータが欲しい。
よく「平成バブル崩壊直前から今までつみたてたらどうなるか?」というようなシミュレーションがあります。私も昔はよく計算してたりしましたが、この種のシミュレーションにも、同じようなむなしさがつきまといます。大きな歴史の中のちっぽけな区間の切り出しに過ぎないわけです。
で、今の私が至った結論は、過去の計算から求めた期待リターンには期待しないが、未来の株式の自己増殖力、リスクプレミアムには期待したい、というわけなのでした。
「期待リターンに期待しない」という言い回しは拙著より自分で引用↓
余談
こういうことを考えるたびにふと思うのは、期待リターンを過去データから計算したくなるような期間が過ぎ去った3000年後。株式市場、つまり資本主義は、生き残るのかということ。
もしも、全人類が、完全かつ不可逆的に豊かになり、労働すなわち感謝の対価としてのお金に意味がなくなったときには、資本主義を必要としなくなるのかもしれませんね。
タイムマシンに乗ることが許されるなら、見てみたい気がすることのひとつです。でも、その前に、天変地異その他モロモロを乗り越えて人類が生き残るのかという方が問題のような。
元空想科学少年なんで、こんなことを考えるのは好きだったりします。
コメント
年間3%程度の経済成長が継続すると仮定すると、768年で経済規模が70億倍程度。
今の世界世界全体の経済規模が、768年後の一人の人間の経済規模と同じぐらい。
過去の経済成長を3%とすると、2018年の768年前だと、西暦1250年ごろ、その頃の世界の人口推定は4億人程度。
1250年当時の世界全体の経済規模が、現代の人間一人の経済規模と同じぐらい。
経済成長3%に無理があるのは当然だけど、面白い^^;
3000年の正確な経済過去データがそろう世界は、どんな世界なのだろう。
ちなみに、年間1%の経済成長では、2285年目で約70億倍の経済規模
計算間違っていたらごめんなさいm(_ _"m)
投稿: いろいろでセカンドライフ | 2018年11月28日 (水) 11時26分
>いろいろでセカンドライフ 様
コメントありがとうございます。
ご指摘のように、人口は密接に絡んでますよね。有限の地球号なのか、銀河鉄道に乗って無限の宇宙へ拡がるのか、3000年後の未来となると、何でもありで空想するのはけっこう楽しいです。
投稿: NightWalker | 2018年11月29日 (木) 00時03分