アーリーリタイアと介護生活 2018/11
私のアーリーリタイアの主目的のひとつが、母親の介護でした。
はじめに
今思うのは、「もしも、私がアーリーリタイアしていなかったら介護生活は回ってなかったんだろうな」「回るにしても、更にえらくたいへんなことになってたんだろうな」ということ。
介護生活は、負担する人とそうでない人に分かれます。しなくて済む人は、一生しないで済みます。誤解を恐れず言えば、不公平なのです。
介護を負担する人に対する特段の優遇策はなく、支援制度としての介護保険サービスがあるだけです。そして、現状の介護サービスには、フルタイムワーカーをフォローしきれないすき間がありすぎるのですね。
要介護度が低いが1人にしておけない状態が困る
特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上、わかりやすく言えば、ほとんど寝たきりで自分1人では何にもできない状態にならないと、入居できません。独居だと多少優遇してもらえるみたいですが、家族が同居しているような場合だとそうも行きません。
でも、現実には、要介護度は低いが1人にしておけない状態というのはあるわけで、困ってしまうわけです。
金にものを言わす方法も考えられますが、お金がなければそれもむずかしい。
また、「住み慣れた家にいたい」という気持ちをお持ちの高齢者も多いですし、私の親のように、おとなしい性格で共同生活が苦手な人もいます。
こうなると、「居宅型の介護」一択となり、主介護人の行動の自由度は大きく減ります。
フルタイムワーカーを続けながら居宅介護ができるサービスの決定打はない
しかし、現状の居宅型介護サービスは、
- デイサービスは、ほとんど、9:00〜16:00で昼食のみ。
- ショートステイサービスは、常に使うというわけにもいかない。せいぜい月に数回。
- グループホームは、うちの母のように共同生活が苦手な人だと利用に躊躇する。
- 小規模多機能型居宅介護もいいが、サービスのキャパに限界があって、埋めきれないし、結局は、デイとショートステイの組合せ。
とまあ、帯に短したすきにも短し、フルタイムワーカーを続けながら居宅介護ができるサービスの決定打はありません。どうしても不自由な状態はつきまといます。なにしろ、アーリーリタイアした私ですら、自由を満喫するのにかなり苦戦しているほどです。
何らかの妥協なり、分担なりで、解決をしていく必要があります。
もうひとつ言うなら、現状、そこまで踏み込んだソリューションを提供できるケアマネージャーさんも、少ないと思います。良いFPさんに出会うのはむずかしいみたいな話と似ているのかもしれません。
今後、介護生活を続ける中で、自分でノウハウを蓄積するしかないなと思う今日この頃なのでした。
雑談
介護保険がない時代に比べればましですが、財源の問題を考えれば、介護離職ゼロと言えるような状況はなかなか訪れないというのが実感です。
金融庁のつみっぷの懇親会で私のブログを読んでいますという方から、「自分もいずれ来る自分の親の介護が心配で、興味を持っています」というご感想もいただいたりしてますので、このタイトル、思い出したように、時々、書こうと思います。
コメント
介護は不公平というのは、もっともだと思います。私は早くに病気で両親が亡くなっているし、妻の方も同様なので、介護は自分がどう子供に迷惑をかけないかということのみ考えればいいと思っています。このブログで投資だけではなく介護のことも学べてホントに有難いです!
投稿: 湊 | 2018年11月22日 (木) 11時14分
>湊様
コメントありがとうございます。
資産形成の視線のひとつにリタイア後のお金というのがあり、介護問題と密接に絡んでいると思うんですよね。学ぶだなんて、恐縮至極ですが、資産形成テーマと同様、売り手である介護サービスや行政の目線でも、ジャーナリストのような社会問題目線でもない、実体験に基づく消費者(当事者)目線での介護は、時々、取りあげたいと思います。
投稿: NightWalker | 2018年11月22日 (木) 13時36分
はじめまして。
私は、3年半ほど前に、①日程を気にせずに長旅をしたい、②(独身者の私にとって)生活に困らない程度の株式・REITの配当・分配金がある、③全く飲酒できないのに肝機能が悪い、頚椎症が酷くなってきた、などの理由で、45歳を前にアーリーリタイアした者ですが、『今思うのは、「もしも、私がアーリーリタイアしていなかったら介護生活は回ってなかったんだろうな」』という言葉に、すごく共感を受けました。
私の母は、私の退職後半年ほどで、一人で家に置いておけない状態(要介護2)になり、その後認知症が進行し、要介護3となり、昨夏から入院状態(今年度から要介護5)となっています。また、認知症だけでなく、異食症という状況もあり、老健施設も断られ、療養病棟も1度転院しました。要介護1の父や、子育ての終わった姉にも手伝ってもらいながら、母を介護してきましたが、認知症が軽い頃は、デイサービスに行きたがらない、認知症が進行し、デイサービスやショートステイに行けるようになると、体調不良などの理由で途中で自宅に帰ってくることがあったりと、現在の入院状態よりも、介護度合いが低かった時の方がむしろ大変だったような気がします。
介護はいつ終わるのかわからないので、自分自身で特別にがんばろうと身構えることもないのですが、負担感に不公平感がありますね。
投稿: 抹茶パフェ | 2018年11月22日 (木) 23時40分
抹茶パフェ様
コメントありがとうございます。
貴重なお話を聞かせていただいてありがたいです。
>老健施設も断られ、療養病棟も1度転院
こういうのたいへんですよね。我が家は、看取りまで対応する小規模多機能型居宅介護で行くことにしましたが、先は見通せないです。
>介護度合いが低かった時の方がむしろ大変
>介護はいつ終わるのかわからない
まさにおっしゃる通りです。
一応、認知症の進行を和らげる(かもしれない)薬を処方してもらってますので、この状態が長く続くかも。また、家系的には、母の祖母、つまり、私のひいおばあちゃんに当たる人が認知症だったのですが、10年くらいはその状態でけっこう長生きしましたから、私の母もその道をたどるかもしれません。
>認知症が軽い頃は、デイサービスに行きたがらない
これは、我が家もそうです。行くと元気になって帰っては来るんですけどね。
>体調不良などの理由で途中で自宅に帰ってくる
これは、まだ、未体験。看護師さんのいるところにしてますので、仮にそう言う状態になっても、家にいるよりはましなはずなんですけど、どうなんでしょう。
非常に参考になるお話をありがとうございました。
投稿: NightWalker | 2018年11月23日 (金) 00時22分
はじめまして。
ウチは父が昨年他界し,現在85才の母(要支援1)とふたりで暮らしています。幸い,要支援1で私が直接的な介護をする段階ではありませんが,母をひとりにしないように,寄り道せずになるべく早く帰宅するようにしています。
でも何度も同じ話や子供のころの昔話を繰り返すので,頭ではわかっていてもついイライラが言動に出てしまい,母には申し訳ないことをしてしまったと後になって後悔の繰り返し。人間が小さくてイヤになります。(笑)
親の介護をする人が自分の周りにはいないので,こちらのブログでNightWalkerさんの介護の実体験のお話など,拝見できたらなあと思っています。
投稿: | 2018年11月23日 (金) 00時22分
>?様
コメントありがとうございます。
このシリーズは不定期更新の予定ですが、お読みいただければ幸いです。
要支援1であれば「あやしいな」くらいだと思うのですが、この段階で一人にしておけないという状態に備え、地域包括センターなどへ行き、介護サービスやケアマネさんを当たっておくというのがセオリーのようです。私は、「もう無理」ってなってから介護サービスを探しましたが、いまだに模索中です。介護サービスの種類が多すぎてうまく使いこなせないんですよね。
私なりに介護サービスの使いこなしの勘所みたいなのを書いて行けたらなと思ってます。
投稿: NightWalker | 2018年11月23日 (金) 01時43分