私が欲しいシニア向け分配型投信
日経さんです。金融庁さんからすらダメ出しをくらった毎月分配型に改良型が出てきているようです。不屈の闘志を感じます。
新型の信託報酬率は?
分配金の出し方を工夫しているそうです。モーニングスターさんでは、定率取り崩し型が出てきているという記事もちょうど出てきています。
日経さんとモーニングスターさんの記事に共通するのは、取りあげたファンドの信託報酬率が書かれていないと言うことです。なぜだろう(^^;)。ということで、この2つの記事に登場するファンドの信託報酬率(税込)をざざざっと並べてみます。
- 野村 ターゲットインカムファンド 1.00%
- ライフ・ジャーニー 1.94%
- SBI世界高配当株プレミアムファンド 1.47%
- 人生100年時代・世界分散F 1.59%
- わたしの未来設計 0.93%、1.00%
- One世界分散セレクト 0.97%
- 北米リート・セレクト 1.62%
・・・・・・・って、
旧型じゃん。
たとえば、取り崩し率として、年3%を設定したとしましょう。すると、信託報酬率が1%だと、実質4%取り崩していることになります。信託報酬が2%だと、3%の取り崩しを得るのに、実質5%取り崩していることになるのです。
毎月分配型投信の問題点をあらためて整理
従来の毎月分配型の問題点をあらためて整理すると、次の3点です
- 信託報酬が高い
- タコ足配当(分配)
- 配当(分配)時の課税
それぞれ、バイ・アンド・ホールド型投資において、大切な資産が少しずつ削られていく問題です。
冒頭の記事で紹介されている新型は、よくやり玉に挙がる「タコ足配当(分配)」に着眼した改善のようです。しかし、分配に大きく関係する信託報酬が、やはり残念な状況のままでした。
日経さんの記事には、こんな話が書いてあります。
神奈川県在住の70代の男性は「生活費のためなら投信の元本が多少目減りしても気にしない」と話す。子供世代への相続に備えて資金をたくわえるよりも、自らの生活を優先させる思いが強い。
元本を目減りさせる要因は、分配だけではなく、信託報酬や課税の問題もあり、これが結構大きいのです。これに気が付いて欲しい。信託報酬1%とか2%が、ご自身やご子息ではなく、見ず知らずの金融業者に行ってしまうわけなのですから。
私が欲しいシニア向け分配型投信
というわけで、高齢者の分配ニーズに対する昨今の動きは、私には、もう一息、と感じられます。
これからシニアを迎える私として欲しいシニア向け分配型投信は、ざっと、こんな仕様です。
- 高配当指向の世界分散型のバランスファンド。
- スマートベータで良いが、アクティブファンドでもかまわない。
- 信託報酬率 0.2%前後
- 単純に投資先が配当(ないしは利子)した分を分配。
- 分配は、隔月か四半期に1回
- ウェルズリーインカムファンドをお手本にすると良い
こういうファンドが出るまでは、ETF作戦くらいしか思いつかない私です。
あと、NISAシニアプラスを新設してもらって、たとえば投資元本1000万円分までは、無期限(=死ぬまで)配当非課税という制度も欲しいです。
こんな投資環境が、私が前期高齢者になる10年後までにはできたら、いいのになあ。
いずれにせよ、つみたてNISAで鍛えられるであろう未来の高齢者の金融リテラシーは、そんなに甘くないと思います。そうすれば、ニッポンの高齢者のお金も少しは回るようになるのではないかしら、などと妄想する、秋深まるある日の夜なのでした。
コメント
この手の毎月分配型投信絶滅しないですね。一定のニーズがあるからでしょうが、やはり買い手のリテラシーが向上しない事にはどうにもならないですね。
投稿: くまさん | 2018年10月22日 (月) 22時32分
>くまさん様
コメントありがとうございます。
ニーズ自体は悪くないんですよ。ただ、実現方法とセールストークに問題があるのです。
投稿: NightWalker | 2018年10月23日 (火) 00時35分
ご紹介の記事の70代男性のように、定年後無収入と年金だけでは足りない現実が毎月分配型投信ニーズの元だと思います。
多少の貯金はあってもいつまで持つか?不安で、これからもニーズは無くならないでしょうね…。
あまり金融機関を締めつけ過ぎると、頼みの綱の胴元、じゃない発行体が潰れてなくなったりしないか心配。杞憂でしょうか。
淘汰される事で全体が改善されればいいけど、景気悪化はありそうでしょうかね。
いずれにせよ、投資や株式やリスク資産を毛嫌いしている時間がもったいないと思います。急速にお金は増えないので。
投稿: ミント | 2018年10月26日 (金) 11時51分
>ミント様
コメントありがとうございます。
「定年後無収入と年金だけでは足りない現実」に対して、もっと足りない現実を突きつけかねないのがリスク商品の怖いところです。
>あまり金融機関を締めつけ過ぎると
大丈夫じゃないですかね。キーワードは国際競争力です。
投稿: NightWalker | 2018年10月27日 (土) 00時08分