標準偏差って、何?
ときどき「標準偏差」って、さらっと書いていますが、この言葉が出ただけで、スルー反応をしてしまう人も多いと思います。たまには、カンタンに説明してみたいと思います。
標準偏差とは?
ここでいう「標準偏差」は、インデックス投資界隈で使われるおおむねの意味です。
株式資産などのリスク資産は、価格に上下の変動があります。この上下の変動のことをなぜだか「リスク」と呼んでいて、その変動の仕方を「標準偏差」なるもので表現しちゃおう、という流れで、登場します。
一気に整理するとこうなります。
- 標準偏差とは、1年で価格が変動する幅の基本単位として使われるもの。
- 標準偏差は、パーセンテージで表現される。
- 株式の場合、ざくっと20〜30%。
- 標準偏差は、シグマ(σ)で表記される。
図にすると、以下のようになります。(出典:拙著p117)
- 約68%の確率で、標準偏差のマイナス1倍〜標準偏差のプラス1倍の範囲
- 約95%の確率で、標準偏差のマイナス2倍〜標準偏差のプラス2倍の範囲
に入る可能性がありそうだと言うことを示しています。
使い方
たとえば、日本株の標準偏差が20%だとすると、9/14の日経平均株価の終値が「23,094.67円」でしたが、これが、1年後、
- 約68%の確率で、「18,475.74円」〜「27,713.60円」の範囲
- 約95%の確率で、「13,856.80円」〜「32,332.54円」の範囲
に入る可能性があるという感じで使います。(あとは、これに期待リターン分を足した値になりますが、ここでは、おおむねの概念を理解するためにバラツキの分だけにしました。)
以上、標準偏差についてまとめてみました。
けっこうバラツキがありますね。こわくなっちゃいましたか?
でも、標準偏差(リスク)は、マイナスもあるけれど、プラスもあります。ここは、忘れないようにしたいところです。谷が深くても、山も同じくらい高いのです。そして、全体としては、少しずつ高いところに向かっているというのが、長期投資の山岳道中なのでありました。
コメント
うちもリスク、リターンの意味は知ってましたが、標準偏差を利用した?リスク許容度は考えた事なかったです。仙人さんや水瀬さんの著書を読んで自分のアセットからリスク、リターン、年間最大損失額(2標準偏差)を算出して、「うちのアセットアロケーションだとリーマンクラスの大暴落が起きるとこれだけ資産が減るんだ」ってのが概算で分かりました。耐えられないと思えば減らせばよいし、大丈夫だと思えばホールドです。
投稿: くまさん | 2018年9月17日 (月) 08時48分
>くまさん様
コメントありがとうございます。
数字で冷静に観ることは大切ですね。
投稿: NightWalker | 2018年9月17日 (月) 11時54分
NightWalkerさんの著書「世界一ラクなお金の増やし方」を読んで投資信託を始めました。
私みたいな未経験者に理解しやすい初心者目線の内容に「自分にもできそうかも」と変な自信が芽生えたものです。次の日には、つみたてNISAで積み立てを開始しました。
個別株やFX、仮想通貨などの経験がない真のビギナーこそ最初に読むべき良書だと確信しており、友人や職場の同僚で資産形成の話題になった時は勝手に紹介させていただいております。現在は「敗者のゲーム」「株式投資の未来」「投資の大原則」と合わせ4冊を繰り返し何度も読みながら投資知識のインプットに励んでいます。
しかしながら、本を読めば読むほど自分の投資方針がグラグラ揺らぎ、どんどん深みにハマっていきそうで不安になることも多いです。初心者あるあるなのでしょうが…。
色々な知識をつけることは間違いなく大事でしょう。ただ、最低限の知識を身に付けたら、あとは自分が選んだファンドを信じるしかないように思えてなりません。開き直りも必要かもしれないと考えます。
NightWalkerさんはいかがお考えでしょう?
投稿: まんたろう | 2018年9月17日 (月) 12時26分
>まんたろう様
コメントありがとうございます。また、拙著をお読みいただき合わせて感謝申し上げます。
「ぶれない」とぃう点は重要ですね。新しい商品やサービスにふらふらしないという姿勢は大切です。
ただし、税制や、金利などの投資環境は変わっていきますから、のんびりでいいので、勉強は必要と考えます。
投稿: NightWalker | 2018年9月17日 (月) 14時33分
ご説明ありがとうございます。ご記述の内容は理解できるのですが、
市場における各株価の分布は、つねに正規分布しているのと見なせるのでしょうか。そこが分かりません。
投稿: Gぐうたらシニア | 2018年9月18日 (火) 12時34分
>Gぐうたらシニア様
コメントありがとうございます。ご質問の内容は深いので、ここから先は、専門家の世界です。田淵直也先生の「ファイナンス理論全史」がオススメです。その中から、ご質問の内容に関する一文を引用しますね。
「正規分布はあくまで現実を捉えやすいように単純化した理論モデルにすぎず、万能ではないことを念頭に置きつつ」やむを得ないながら今まで通りの計算を続けることが選択される。
実際の市場は、「正規分布」よりもやや裾野が広い(ファットテール)「べき分布」ではないか等々の議論はあるけれども、「計算できない」ではしょうがないので、現実解として活用しましょうよ。ということと考えています。
投稿: NightWalker | 2018年9月18日 (火) 14時39分
なるほど、ご回答ありがとうございます。
応用統計学の一種を科目として学びましたが、不勉強を恥じるものです。
(あれから40年・・・の世界なのですが)
ご紹介の本は、そう高額でもないので、いずれ目を通したいと思います。
ちなみに分散投資についていえば、
リーマンショックのときは、日本国債以外、すべてのクラスが下落したことを覚えています。ある投信など、組成した会社が倒れそうで売買停止になったのを忘れません。
投稿: ぐうたらシニア | 2018年9月18日 (火) 15時16分
>ぐうたらシニア様
>日本国債以外、
ここ、重要ですね。分散のキモは、キャッシュ含む債券クラスです。
投稿: NightWalker | 2018年9月18日 (火) 16時13分
なるほど。
いわゆる生活防衛資金を別として、
ポートフォリオにキャッシュ類を入れるかたについて、
疑問に思うところがありましたが、
少し疑問が溶けました。
投稿: ぐうたらシニア | 2018年9月19日 (水) 16時45分