「儲ける」と「育てる」
rennyさんから、拙著にご書評をいただきました。ありがとうございます。
「儲ける」と「育てる」
rennyさんからは、拙著に登場する「儲けたい一心」の「一心」は、少々、言いすぎじゃない?というようなご指摘を受けました。たしかに、そうかもしれませんねー。
ここでは、株式の自己増殖力を説明すると同時に、サラリーマンは、サラリーマンとして「儲ける」側に回る一方で、長期投資家として「育てる」側に回ろう。という説明をしています。
- 儲ける 株式会社は、切磋琢磨して利益を上げる。
- 育てる 長期投資家は、じっと待つことでその利益を享受する。
これは、投資を考える上での車の両輪です。
儲けたい一心
「儲ける」というは、そう簡単できることではありません。一生懸命がんばらないと儲からないのは、日々、企業人として働くみなさまは、痛感しているのではないでしょうか。
そんな「儲けるのたいへん」というサラリーマン時代に染みついた意識があって「儲けたい一心」という言葉になりました。というか、語呂ですかね。私は、文章はリズムが大事と考えているので、ぽろっと出た言葉をけっこう大事にしています。(ご参考エントリー:NightWalker 秘密の文章術)
拙著にもちらっと書きましたが、もちろん「儲けたい一心」による弊害はあります。「こざかしいこと」や「社会に貢献しないこと」で儲ける「嫌な輩」も出てくるからです。ここで活躍するのが「市場の浄化作用」です。
でも、たとえば、投資信託の信託報酬やラップ口座の手数料を見るに付け、市場の浄化作用という面は、まだまだ十分に機能していないのかもしれませんね。インデックスファンドの信託報酬の場合は、当局のご指導の影響が大きかったわけです。永遠の課題です。
こんなところが、「投資のうさんくささ」の根っこの部分にあるのかもしれません。
これに対抗するには、投資の分野に限らず、消費者が賢くなるしかありません。
ついでに勝ち逃げの話
rennyさんからは、長期投資をやめちゃう理由として、暴落ではなく、「暴騰したので勝ち逃げ」「長期投資終了!」。というパターンがあるのではないか、と言うご指摘もいただきました。
やめてしまうと、言ってみれば、拙著の『第3章 「長期投資に出遅れナシ」って言うコレだけの理由』の状態に戻ってしまいます。株価の動きはわかりません。「止めなきゃよかった。長期投資だったじゃん」とあらためて気が付いても後の祭り。「もう一回、第3章を読んでください」となります。
時間がもったいないです。初心忘るべからずです。
拙著は、「インデックスファンドによる長期投資はカンタンだけど、人生と同じでけっしてラクではない、でも、人生と同じでけっこう楽しい(ラク)よ。」と言う本です。これは、お読みになった多くの方に伝わったんじゃないかな、と期待しております。本のタイトルは、編集の方が考えたので、ある種のこじつけではありますが(笑)。
拙著へのご書評ありがとうございます!
たくさんのご書評をいただいております。本シリーズは、御礼方々、いただいたご書評からお題を頂戴して書き綴るシリーズです。ご書評は、こちらのエントリーにまとめておりますので、ぜひ、見てくださいね。
コメント
NightWalker様
いつも楽しく拝見させていただいております。陶山(すやま)と申します。
実経験、実感情に基づく長期投資への数々のお知恵、大変有難く参考になり、
勝手ながら自分の考え方の中にどんどん吸収させていただいております。ありがとうございます。
ある意味退屈な長期投資をいかに続けるか?その施策は色々な角度であるかと思いますが、いつもブログを拝見させていただいた中で、ふと自分の中での解釈があり、こちらに書かせていただく次第です。長文申し訳ございません。
私は2004年から純金積み立てを始め、まだ金が安かった当初、毎月の金額を多めに買っていました。2年程して毎月の金額を最低の1000円に変えて、それから今まで毎月1000円ポッキリなので、大した量は買っていないのですが、結果からして安い時期にある程度まとめて買えていたこともあり投資額に対する時価は3倍程になっています。しかし他の海外株などのアセットも成長したため現在のポートフォリオの中では4%程の構成です。ここ数年はキャピタルゲインがほとんどないため、投資の効率性を考えると純金はもう売却してしまい、株と債券に集約しようかと考えていました。
・インカムゲインはそもそもない
・株や債券が大きく下げたときに特に下支え要因になるわけでもない
・投資額の3倍にはなったが、海外株なども同様かそれ以上に成長している
などなど、「もう売ってしまえ!」と自分を後押しする囁き声はたくさんあって迷ったのですが、しかし結論として持ち続けることにしました。
と申しますのも、自分がこの15年におよぶ長期投資を始めるきっかけが純金積み立てで、売ろうと思うと何故か愛おしく、またキラキラした現物の金をいつでも送ってもらえると思うと何故か嬉しく・・・という全く効率的ではないのですが、売りたくない感情的な理由が勝ったからです。
長期投資をキャンピングカーでの長旅だとすれば、私にとって純金(積立)は例えば走り出した当初から部屋に飾ってある「絵画」のようなものなのだと、自分の中で心の整理がつきました。
全てを含めて長期投資を続けるには、効率だけでは語れない部分も必要なのだと。
NightWaikerさんのブログを読んでいたなっかたら、おそらく純金は売っていたと思います。
そしてこの先もっともっと効率性ばかりを追求して、あるいは大きく欲が出て、インデックス中心の投資生活から脱線、迷走したかもしれません。。。
これからも、ゆったり長期投資を続けていきます。
心の拠り所にさせていただいているので、ブログ、ずーっと辞めないでください!(スミマセン)
長文失礼いたしました。
投稿: 陶山真吾 | 2018年6月23日 (土) 16時16分
>陶山真吾 様
コメントありがとうございます。
ご指摘のように金は、自己成長する資産ではありません。ですのでポートフォリオの中で大きく持つ必要はありませんが、貴殿のように長期投資を続けるモチベーションとされるのであれば、それはそれで、投資の一つの楽しみかもしれませんね。
ぜひ、今後とも長期投資を続けてくださいね、
投稿: NightWalker | 2018年6月23日 (土) 17時36分