長期投資は誰でも苦手
まあ、あたりまえと言えば、あたりまえなのですが、人間というのは長期投資が苦手です。
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未来のお金よりも今のお金
人間とは、「未来のお金よりも今のお金が好き」なんですよ。ノーベル賞理論の行動経済学では、このことを「現在志向バイアス」と言うそうです。人というのは、5年後もらえる15万円より、今もらえる10万円の方が好きなのです。
急落に備える方法として、「蓄財していることを忘れる」というのがあると思うのですが、これは「現在志向バイアス」と戦う一つの方法論でもあります。ちょっと考えてみます。
忘れる方法 その1 少額にする
少額を、めったにアクセスしない口座で積み立てる方法です。投資に興味のない人には、特に効果が高いような気がします。こういう人に向いた商品もいくつかあります。私の妻は、セゾンバンガードです。口座開設後、8年間アクセスしなかったくらい忘れていました。今だったら、楽天VTあたりがなかなか良さそうです。
忘れる方法 その2 しっかりもののパートナーが管理する
すぐお金を使っちゃう人にはないしょで、こっそり、しっかりもののパートナーが積み立てておく作戦です。最近は、パートナーにお財布を預けるというスタイル自体が化石化しているのではないかという気もしますので、むずかしいのかなー。独身の場合は、この作戦自体使えませんし、夫婦揃って「未来のお金よりも今のお金が好き」な可能性も否定できません。というわけで、書いてはみたものの、もはや、古典的過ぎて絶滅危惧種的な方法なのかもしれません。
忘れる方法 その3 確定拠出年金にする
今、もっともロジカルな作戦がこれです。なにしろ、普通は60歳まで引き落とせません。
考えてみれば、会社の退職金や企業年金も同じような効果があります。実際、現在の年金受給世代では、その役割を果たしてきたのではないかと思います。しかし、終身雇用が難しくなってきている現状を鑑みるに、やはり、自分退職金=確定拠出年金という選択肢は、重要な位置付けにあります
まとめ
短期的成果を求める「ギャンブルとしての株式投資」あるいは「ギャンブルそのものとしか思えない投資」の方が、「まっとうそうな株式の長期投資」や下手すると「単なる貯金」より好まれてしまう、ということを、多くの人は「うすうす」あるいは「はっきり」と感じていると思います。しかし、「現在志向バイアス」という観点で考えるなら(考えなくても?)、愛すべき人間として、それは、ごく普通のことなのです。
なぜ、日本人は株式投資をしないのか?
下記エントリーでは、日本人特有の「株式投資に対するアレルギー」をその原因の一つに上げてみましたが、話を長期投資に絞るなら、苦手なのは日本人に限ったことではなく、人類共通の特性のようです。でも、株式投資本来の価値を抽出する方法は、普通の人の場合、じっとガマンのバイアンドホールドくらいしかないんですよねー。というわけで、これからも、ささやかに戦っていきたいと思います。
- ご参考エントリー:普通の人が投資を始めるための2つのハードル
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