もしもインデックスファンドが1980年代にあったら

これからインデックス投資を始めようと考えていらっしゃる方も増えてきたように感じます。しかし、インデックス投資の理論は、シロート向けの投資方法といわれるにもかかわらず、小難しい。

本題の前に

などと考えておりましたら、今月のインベストライフVol.182さんに、岡本和久さんが1991年に書かれた「新時代の投資戦略」からの抜粋があり、ここにズバッと書かれています。

• 米国におけるポートフォリオ革命 黎明期 インデックス運用はどう進化したか

p3の冒頭です。

単純化のためのいくつかの前提のもとで投資家は、「最適に分散された唯一のリスク資産のポートフォリオを無リスク資産の貸借と組み合わせて保有する」というものであった。

で、「最適に分散された唯一のリスク資産のポートフォリオ」というのが、「市場ポートフォリオ」。すなわち、市場全体の縮小コピー＝時価総額で全銘柄を分散したポートフォリオ、というわけなんです。

インデックス投資の原点の論理を厳密に適用するなら、最適なポートフォリオは、一つしかないわけなんです。たとえば、全世界に投資をするなら、その唯一のポートフォリオとは、全世界の全銘柄に時価総額比で投資したポートフォリオです。岡本さんの文章に書かれたポートフォリオを今なら、たとえば、楽天VTと無リスク資産を組み合わせるだけで完成させることができます。なんて良い時代なんだ。

（指数は、なぜだか、いっぱいありますが、それはまた別のお話）

もしもインデックスファンドが1980年代にあったら

それにしても、抜粋した一文が含まれる岡本さんの本は、1991年に書かれているんですよね。そのころの私と来たら、仕事と遊ぶことに夢中で、世にこのような考え方があっただなんて、全く、気が付きませんでした。

ふと、思ったのが、もしも、ローコストの世界分散型インデックスファンドが、私が20代だった1980年代にあって、今、広がりつつあるような、基本的な金融リテラシーが私にあったら、どうしていただろうか、ということです。

私は、その頃、自社持ち株会でドルコストを続けていました。1980年代は、プラザ合意で円高不況なんてのもありましたが、まだバブル崩壊前でしたし、投資が怖い、ましてや一社集中が怖いだなんて、ちっとも思っていなかったのです。

もし、そういう状況だったら、世界分散型インデックスファンドを積み立てていたんだろうなあ。

また、この過程で、まっとうな金融リテラシーを20代、30代のころに身に付けることができたかもしれません。たぶん、大事なのは、ここです。本当に基本的な金融リテラシー。若いうちに、たくさんのお金を積み立てることは難しかったと思います。だって、使うこといろいろありますからね。しかし、金融リテラシーは、やはり身に付けておくに越したことはありません。

つみたてNISAを活用して、これから投資を始める方には、ぜひ、積立ながら、金融知識を身に付けて欲しいなあ、と思う今日この頃です。大事なのは非課税の魅力よりも、実はつみたてNISAの制度の中に仕込まれた金融リテラシーなんです。