年金制度の改革に対する腹づもりを整理してみる
年金制度は、老後の重要な支えとなります。とはいえ、年金制度の存続のための改革は進んでいて、腹づもりは必要です。
はじめに
まず、最初に、私の年金に対する認識(勘も含む)を整理すると、以下のようになります。
- 年金システムはなくならないし、破綻しない。(国家権力をなめてはいけません)
- しかし、改革は常に必要となる。
と言うわけで、これまでも、
- 年金受給開始が、60歳から65歳になった。
- 年金の料率が上がっていった。
- マクロ経済スライドの採用(インフレと連動して、年金の収支が合うまで、少しずつ、給付水準を下げていく仕組み)
などの改革がありました。
今後の改革の方向性
今後はどんな改革があり得るのでしょうか?
以下の本のp152にずばり書いてあります。政府の2014年6月の財政検証時のオプション(要は、改善案)です。
- オプション1 マクロ経済スライドの仕組みの見直し(デフレ下でもマクロスライドをフル適用する仕組みにする。(→これは、もうなるのが決まったはず))
- オプション2 被用者保険の更なる適用拡大(2号被保険者の人口を増やす。今、1号被保険者になっている層(パートや非正規雇用者)を厚生年金の対象にする)
- オプション3 保険料拠出期間(の延長)と受給開始年齢の選択制(年金の支払いが40年から45年になり、70歳からの受給を自主選択する人が増える)
の3つです。( )内は、私の解釈です。
これらの改革は、もう、あるとみて、私は、腹づもりをしてます。
というわけで、我が家の作戦です。
作戦1 年金受給開始を遅らせる。
よく、「どうせ、年金受給が、70歳になっちゃうんだから」というネガティブなつぶやきを見かけるのですか、今の制度だと、70歳から受給すると、年金が破格の42%アップ(1ヶ月受給開始を繰り下げるごとに0.7%も増えます)。長生きリスクの対策としては、お得なシステムです。政府としても、70歳からの受給を、無理矢理にではなく自主的に選択する人が、徐々に増えていくことを期待しているのかもしれません。
作戦2 地道に厚生年金を積み上げる。
私は、アーリーリタイアしてしまいましたが、妻は働いています。妻は、パートだったのですが、会社と交渉して、厚生年金組となりました。多くの専業主婦・主夫の方は、3号被保険者を選択されていますが、正直、政府の方針を踏まえると、厚生年金組に入った方が、長生きリスクに対する耐性が高くなるのではないでしょうか。
作戦3 保険料拠出期間延長分の年金支払いをマージンとして見込む。
新聞報道等を見ていますと、公務員の定年は、どうやら、2033年度までに、65歳になりそうです。となると、それに連動して、上記の年金改革オプション3の前半部分が実行される可能性大なのではないでしょうか。
これについては、制度がどうなるか、全く予想が付かないので、その分、備えておくという作戦しかありません。
もちろん、一般的には、(少なくとも)65歳まで働く、と言うのが対策になるんでしょうね。
余談
今のところ、政府の議論の俎上に載っている改革は、前述の3オプションくらいですが、今後は、どうなるんでしょうか。
改革の背景にあるのが、少子化です。もし、「仕送りを社会保険化した」年金システム自体が、その少子化を招く原因になっているのだとしたら、いよいよ、そこが改革のポイントになるのかもしれません。
日本の年金システムはそれ自体が、黄金の羽根と呼べる制度でした(と私は思う)。しかし、いつまでも、同じ黄金の羽根を拾えるかというとそうではありません。橘玲さんのいう、黄金の羽根とは、制度の歪みのことです。そこが、是正されつつあるのです。健全な動きだと思います。最近、橘さんが、一生働くことこそ合理的であるとおっしゃっているのにもうなずけます。
時々書いていますが、アーリーリタイアは、普通の選択でも、合理的な選択でもありません。ですので、私はオススメしていません。しかし、これも橘さんのお言葉をお借りすれば、「人は合理的ではないことをする自由も持っている」のです。
コメント
合理的≠幸せ、これもミソですよね。
一番合理的な稼ぎ方は、他人の創った会社で言われた通りの事をソツなくこなす…ですけど、それは自分の人生の一部をロボットにするという事ですし。
ネットが発達した今でも、紙媒体で情報を得る・ウィンドウショッピングをする・人と実際に会って会話する…などが廃れないのは、合理性で測れないウェイトがあるからなんでしょうね。
投稿: 成と | 2018年1月 8日 (月) 06時21分
NightWalkerさま
こんにちは。毎日本当にいろんな分野の投稿され、改めて貴殿のすごさを感じております。
今回も本当に今な話題を提供いただきありがとうございます。
私の思うことを少しコメント?させていただきます。
厚生労働省は年金制度改革など何回やってきたのでしょうか。担当者が変わるたびに緻密で複雑でわかりにくい制度に入れ替わります。
受給額を減らすことばかりに精を出し、自分たちの経費を減らすことの目標数値化は聞いたこともありません。国民からいかに狡猾に税金などを搾取するかを考え、実行することで成果として評価されるシステムになっているようです。毎年どんどん税金が増えていき、知らないうちに税金を取られており、国家的詐欺が横行していると思います。
公的機関(政府を含め)の給与を半減すれば、毎年12.3兆円の経費が浮いてくることなります。出るものが多いのですから当然というのが民間の発想になります。プライマリーバランスの一致を前提に考えれば当然のことですよね。
公務員は国民の公僕。半減しても公務員になりたい優秀で志高い人はたくさんいるはずだと思います。高い給与が欲しい人は民間に行けばいいだけこのことです。本来国民の負担を軽くしていくようなシステム(人が幸せになること)を考えていくのが公務員の仕事だと思います。経済拡大第一主義で真逆な政策ばかりして、自転車操業をやっているだけに見えます。どこの国が正しいということはないと思いますが、何百年先に日本という国が美しく、誰もが住みたいという国にしてほしいものですね。
投稿: atok440 | 2018年1月 8日 (月) 11時06分
70歳で42%アップといっても、それまでは自分で金稼いで生活しなければなりません。
それなりに稼げば、年金、税金の支払いが発生します。
身体の衰えている65歳~70歳に働けば、健康を損なう可能性もあります。
そういう諸々の損失と42%アップが割に合うのか?
何かの間違いで70歳で死んだ時に、後悔しないでいられるか?
そこのところが、まだ自分は割り切れていません。
あと、70歳まで働かせるのなら、労働環境もセットで改革してくれよと言いたいです。
有給休暇全消化、2週間くらいの長期休暇は当たり前という環境にしてほしいです。
金より時間です。
投稿: 見知らぬ男 | 2018年1月 8日 (月) 12時27分
みなさまコメントありがとうございます。
> 成と様
社会的非合理の中にこそ、個人の合理性があるという。合理性の尺度が違うんですよね。こればっかりは、説明不能です。
>atok440様
こういった話は、一人称で考えるべきと思います。
社会の制度に歪みがあるのは当然なんです。それを理解するのが、オトナです。
じゃ、その中で自分は何ができるか?、何をするか?その中で何を選ぶか?
自分で選べるんです。
今の日本は、過去最高に自由な時代だと思いますよ。
atok440さんがおっしゃるような「美しく、誰もが住みたいという国」とは、公務員に象徴される自分以外の誰かではなく、こういう自由な世の中で正しい選択をする国民が作るモノではないでしょうか。少なくとも私はそう信じています。
>見知らぬ男様
世の中にはいろいろな価値観を持つ人がいます。100点満点の答えなんてあるはずがありません。80点ですら難しい。結局は、自助努力であり、国は自助努力を支援したり、自助努力のやり方の選択肢を増やす、というスタンスだと考えています。これだけでも、自由人たる私には、ありがたいことです。
投稿: NightWalker | 2018年1月 8日 (月) 14時22分