クローゼット・インデックス・ファンド
先日、東証さん主催の勉強会の模様をお伝えしたエントリー(MSCIマニアック勉強会@東証)で、ひとつ書き忘れたキーワードがありました。それが、今回タイトルの「クローゼット・インデックス・ファンド」。東証マネ部さんの記事で、それについて、ふれていましたので、ご紹介します。
クローゼット・インデックス・ファンド?
ご紹介の記事では、「隠れパッシブファンド」と表現されています。米国の学者さんの表現のようですが、まさに「言い得て妙」。
アクティブファンドのなかに「隠れパッシブファンド(英語ではCloset index fund)」と呼ばれる、パッシブとは名乗っていないがほとんど中身がパッシブファンドと同じであるようなファンドなどが含まれている
つまり、「アクティブファンドと称してはいるが、中身は、ほとんどインデックスファンドで、信託報酬だけ高い」という、ずいぶんとムシの良い、というか、ある意味「あくどい」、いや、「なさけない」商品群です。
インデックスファンド派から見ても、まっとうなアクティブファンド派から見ても、共通の敵と言える存在ではないでしょうか。
岡本和久さんと、m@さんが、わかりやすい記事を書いていらっしゃるので、ご紹介しますね。
- 資産運用「気づきのタネ」(29) クローゼット・インデックスにご用心(岡本和久のI-OWA日記さん)
- 良いアクティブファンドを見分けるには隠れパッシブの除外から始めよう("いい投資"探検日誌 from 新所沢さん)
岡本さんは、個人が、いろんなアクティブファンドを買って行って、全部足したら、ほとんどインデックスになっちゃった、という、これまた「なさけない」、ごちゃごちゃなクローゼット状態にならないようにと、ご注意されています。
でも、これって、どうやって見分けるのかしら?
モーニングスターの検索条件には、そんなの、ありません。
アクティブシェア?
東証さんの記事では、アクティブシェアというチェックポイントが、紹介されています。
ベンチマーク(TOPIXやS&P500など)との乖離度を示すもので、ベンチマークと完全に違う動きをする場合は100%、逆に全く同じ動きをする場合は0%となる。
この説明だと、TOPIXとの相関係数のことか、と思っちゃうかもしれませんが、そういうことではなく、市場の実際の銘柄配分(時価総額比)とそのファンドの銘柄配分との差のことだそうです。(それぞれの銘柄の配分比の差分を全部足して2で割るらしい)
この差が大きいファンドは、アクティブ度が高いというわけ。
しかし、これって、どうやって調べるのかしら?
モーニングスターの検索条件には、そんなの、ありません。
・・・・・自分で計算するしかない・・・・の? 記事では、簡便法として、上位10銘柄の配分と、市場の時価総額を比較する方法などが紹介されていましたけど、めんどくさそうです。
アクティブシェアとパフォーマンス
東証マネ部さんの記事では、クローゼット・インデックス・ファンドが、全体としてのアクティブファンドの運用成績の足を引っ張っていることを指摘しています。
まっとうだと思うアクティブファンドのマネージャーさんや会社は、自身のファンドを選んでもらうために、ぜひ、モーニングスターなどに、アクティブシェアを指標として取り入れるよう働きかけてはいかがでしょうか。
オープンになれば、アクティブシェア指標が人気を博するかもしれません。
でも、そうなると、アクティブシェアが高いファンドに市場シェアが近づいて行ってしまい、それらのファンドは、アクティブシェアが下がってしまうので、そうならないように、またしても資産配分を変え・・・・うわー、ぐるぐる回ってバターになりそうです(笑)。
私の選択
ともあれ、アクティブシェアは、有益なファクターだということがわかりました。もちろん、他にも、それぞれの投資家が「これだけは外せない」とか考えるファンド選択の基準があって、それこそが、アクティブファンド選択の醍醐味と言える部分なんですね。
私としては、
- 「全アクティブ投資家の総和=時価総額インデックス」である以上、両者は、コスト要因を除いて、本質的には、同じものであること。
- 良いアクティブファンドを見つけるのは、やっぱり難しい。
という認識は、変わりそうもないので、残念ではありますが、安くて品質の良いインデックスファンドとスマートベータくらいにしときます。それに、スマートベータは、アクティブシェアの高さを、ほどよくキープし続ける手法とも言えますしね。
しかし、資産運用もですが、我が家のホントのクローゼットも、捨てるものは捨てて、ちゃんと整理しないと行けないな、と思う今日この頃です。
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