« 稲妻がきらめくとき 2017 | トップページ | 投資の目的と手段を間違えないようにしたい。 »

2017年1月11日 (水)

為替ヘッジについての5つの整理  2017

インデックス投資日記@川崎 kenzさんのエントリーです。

具体的な為替ヘッジコストがわかる貴重なエントリーですので、ぜひご一読ください。

 

kenzさんのエントリーのおかげで、私の中でもやもやしていた為替ヘッジに関する考え方がある程度すっきりしました。

為替ヘッジについては、たわらノーロードシリーズに、超ローコストな為替ヘッジ型外国株式クラス、外国債券クラスのファンドが登場したのをきっかけに、一種の思考停止状態になるのは良くないだろうと思い立ち、最近いろいろ考えていたのですが、ここらで、ちょっと整理してみます。

その1 完璧な為替ヘッジはできない

残念ながら、為替をどんぴしゃに制御することはできません。冒頭でご紹介したKenzさんの記事の通り、実際は数%のずれが生じてしまい、現状ではリターンがマイナス方向に作用してしまうのです。為替ヘッジのオペレーションは次の二つの要因に左右されています。

(1)為替ヘッジのオペレーションで生じるずれ。(内外金利差)
(2)為替ヘッジ需要に伴う資金調達で生じるずれ。

最近は、(1)も(2)も拡大傾向にあります。米国の金利が上がりつつあり、為替ヘッジの需要も裁定取引の量を超えるレベルで増えている模様です。(こちら

ご参考記事

その2 為替ヘッジをするメリットがないわけではない

現状ではマイナスに作用する為替ヘッジのずれではありますが、これを許容して、ポートフォリオのリスクを軽減するという作戦はありだと思いますし、年金運用の世界では行われているようです。(「為替リスク管理について考える」)

やっぱり、リスクは長期投資の敵なのです。

その3 相対的には外国債券の為替変動の影響が大きい

為替リスク管理について考える」というエントリーでご紹介したように、

(1)外国債券クラス 為替の影響が相対的に大きい。
(2)外国株式クラス 為替の影響が相対的に小さい。

この観点では、為替変動の影響が大きい(1)の外国債券クラスの方が為替リスクの排除に意味がありそうです。

ただし、冒頭のエントリーでご紹介したように、現時点では、為替ヘッジコストは外国債券クラスのリターンを吹っ飛ばすほど大きく作用しています。

その4 全部を為替ヘッジしない

これも為替リスク管理について考えるというエントリーでご紹介したように、100%為替ヘッジありとするのではなく、分散させるといいようです。

為替ヘッジありのファンドというのは、不規則な為替変動の分だけ、元のファンドと相関関係がなくなりますから、組み合わせることで、計算上、リスクは下がるのですね。

為替ヘッジありを別の資産クラスと考えれば、当たり前と言えば当たり前です。

その5 為替ヘッジあり資産は購入タイミングが微妙

本来、タイミングを考えるべきではないとするのが、バイアンドホールド型の長期投資ではありますが、為替ヘッジ付き外国債券クラスについては、以下の特性があります。

  • 金利が上がると評価額が下がり、金利が下がると評価額が上がる。(一般の債券クラスと同じ)
  • 金利差が拡大すると(多くは円安局面だと思われる)為替ヘッジコストが大きくなる。

これを考えると、金利動向を見据えた、ある程度ダイナミックなポートフォリオ戦略を採らないと成果が出ない気がしてきます。一方、個人投資家にとっては、このような投資行動は「下手な考え休むに似たり」となってしまう可能性も大きいのです。

まとめ

ちょっと前に、もしも、完璧な為替ヘッジが存在するなら、為替ヘッジ付きインデックスファンドで世界市場ポートフォリオを構築してみても良いのではないか?というひとつのアイデアを考えていました(ご参考エントリー:為替ヘッジ付きインデックスファンド)。

しかし、そんなうまい話はありません。

以上、現時点でのオツムの整理でした。

 

|
follow us in feedly にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ にほんブログ村 投資ブログ 投資でセミリタイア生活へ

« 稲妻がきらめくとき 2017 | トップページ | 投資の目的と手段を間違えないようにしたい。 »

コメント

金利差以外のヘッジコストについては、そもそも理論的にはないはずのものだけに、少し考えさせられますね。現在、米ドルで0.8%ほど余計にかかるようですが、仮に為替ヘッジで0.8%期待リターンが低下するとすると、過去の実績から考えて、リスクは先進国株で5ぐらい違うため、期待リターン0.8%とσ5とのバーターになります。実際には、フォワードレートは為替に影響し、ある程度織り込まれているでしょうから、為替ヘッジの有無による期待リターンの差はこれより小さいと思われます。
従って、円でのリスク-リターンでは、為替ヘッジありが依然優位と考えます。

投稿: dell | 2017年1月11日 (水) 20時32分

dell 様
 コメントありがとうございます。
 為替ヘッジの資金需要に左右されるとすると、為替との追いかけっこになっているんですかねー。10年くらい経ってから、実データで、為替ヘッジありファンドとなしのファンドを見比べてみたいですね。気長な長期投資家としては、楽しみな課題です。

投稿: NightWalker | 2017年1月11日 (水) 23時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 稲妻がきらめくとき 2017 | トップページ | 投資の目的と手段を間違えないようにしたい。 »

 
 
Copyright © 2005 - 2024 NightWalker's Investment Blog All Rights Reserved.