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2016年10月 5日 (水)

為替リスク管理について考える

為替ヘッジについて、ひとつ、レポートを見つけたのでご紹介です。

三菱UFJ信託銀行 年金運用部 碇 康治さんによる2016年2月のレポートです。

為替リスクについて、この10年くらい、個人的に「思考終了状態」にありました。

 そもそも信託報酬の安い為替ヘッジ付きファンドがない。

考えたところで、高いコストの商品に投資したくないので意味がないという話です。ところが、ここに来て、超ローコストの為替ヘッジありインデックスファンドが登場して、この言い訳は使えなくなりました。

為替に対して、私は、これまで、以下のような考えでした。

  • 日本の対米金利は、当分の間、きっと低いので、為替ヘッジコストは、マイナスに作用する。
  • 為替リスクを排除するとその分の機会損失につながる。
  • 世界市民として考えた場合、余裕資金の運用であるわけだし、日本通貨に縛られる必要はない。
  • 円安リスクにも備えたい。

橘玲さんの「臆病者のための株入門」で10年前に書かれていたような話+アルファです。

しかし、為替ヘッジコスト※を決める金利の行方は長期的にも短期的にもわからないですし、長期投資家が、短期収益を目指す企業と同じような機会損失の考え方で良いのか?という疑問はあります。その企業にしても、為替ヘッジはやっています。

※為替ヘッジコストは、為替ヘッジのオペレーションでどうしても生じる差分のことです。信託報酬のように必ずマイナスになるわけではありません。そういう意味ではコストではないのです。

さて、冒頭ご紹介したレポートですが、こんな指摘があります。

  • 外国債券のリターンは、相対的に為替要因が大きい。
  • 外国株式のリターンは、相対的に為替要因が小さい。

言われてみればあたりまえ。債券はリターンが小さめですから、為替要因のウェイトが大きくなってしまうのですね。

レポートでは、続いて、外国債券について、リスクヘッジした場合の運用効率(リスク当たりのリターン)を検討しています。

  • 必ずしも、100%為替ヘッジすると良いというわけではない。かといって、100%為替ヘッジしないのが良いというわけでもない。
  • 円高相場、円安相場、ボックス相場によって異なるものの40〜100%のヘッジ率に最適なポイントがあった。

あくまで、限られた期間の過去分析ですが、全部ヘッジありでも、全部ヘッジなしでもないんですね。

為替ヘッジありファンドも、分散の一環としては、ありなのかな、と考える今日この頃でした。

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コメント

為替ヘッジはフルヘッジするよりも90%ヘッジの方がリスクが低いというのは面白いですね。債券価格と為替の逆相関が原因のようですが、この関係はどの程度安定的なのかということと、株式の場合はどうなのかということが気になりました。

投稿: dell | 2016年10月 5日 (水) 22時58分

dell様
 コメントありがとうございます。
 これは、分散の特性と理解しています。
 為替ヘッジありを全然別の資産クラスと考えれば、両者の組合せは、MPTでおなじみの弓形のグラフになるはずです。

投稿: NightWalker | 2016年10月 5日 (水) 23時10分

全然別な資産クラスと考える⁈
恥ずかしながら盲点でした。
だとすると、フルヘッジしない方がリスクが低くなるというのはrobustな結論ですね。目からウロコでした。

投稿: dell | 2016年10月 6日 (木) 20時14分

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