先進国株式クラスにみる消費者の行動 2016/9
さて、昨年の今ごろから吹き荒れた、インデックスファンドの超ローコスト旋風。その後どうなったか見てみます。
先進国株式クラスの主要インデックスファンド、資産総額の推移です。
- SMT グローバル株式インデックス
- eMAXIS 先進国株式インデックス
- 外国株式インデックスe
- 投信 野村 インデックスF・外国株式
- ニッセイ 外国株式インデックスファンド
- たわらノーロード先進国株式
とうとう、ニッセイさんがeMaxisを射程距離にとらえ、登場間もない「 たわらくん」も、Funds-iを超えました。
もはや、
- ニッセイ 外国株式インデックスファンド
- たわらノーロード先進国株式
「これ以外買う価値無し」と消費者のみなさんが判断していると言っても過言ではない状況です。
投資信託の「いろはの”い”」に、資産総額が増えていないファンドを買うな、と言うのがあります。そういう意味では、旧型インデックスファンド群は、買ってはいけません。戦闘能力の相対的低下をまざまざと感じます。
インデックスファンドはコストが命。
このことが、消費者のみなさまに浸透しているわけで、コスト、コストと親の小言のように、ブログ開設以来訴えてきた私としては、うれしい限りです。
旧型インデックスファンドの敗因は何だったのでしょう。それは、ずばり、ファンド設計の段階で、
コストを下げるスキームを考えていなかったこと。
これにつきます。
バンガードという素晴らしいお手本があり、 インデックスファンドの生き残りのための重要要素として、「コストの引き下げ」をしっかりと提示していたわけです。ファンドのプロとしては、知らなかったとは言えません。
旧型ファンドについては、もうみんな買ってないみたいだし、信託報酬の引き下げが行われない限り、比較しても意味がないかな? 次回、こんな図を書くときは、きれいさっぱり消えていると思います。グラフ書くの大変ですからね。
全体を示すグラフも作ってみました。
ニッセイさんが牽引役になっていることが、わかります。
上記にないファンド、
- ニューカマー「iFree外国株式インデックス」は売れるのか?
- 三井住友トラスト「DC外国株式インデックスファンド」は、売るのか?
コメント
お久しぶりです。
インデックスファンドの低コスト競争は非常に喜ばしいことですが、一方で、為替ヘッジ付きインデックスファンドは普及が遅れていますね。インデックス投資の本質がリスクプレミアムの効率的な獲得であることを鑑みれば、本来主流となるべきは為替ヘッジ付きのインデックスファンドではないでしょうか?為替リスクは追加的リターンの得られない種類のリスクなわけですから、これを無邪気に取り続けることは合理的でないように思います。アベノミクスで為替リスクはあまり顕在化しませんでしたが、インデックスファンドの現状は何か歪んでいるような気がします。
投稿: dell | 2016年9月 1日 (木) 00時29分
dell様
お久しぶりです。
現状だと、野村Funds-i 信託報酬0.55%( 税抜) 外国債券であれば、野村に加えてSMTシリーズ。ぐらいが選択肢ですかね。
一般的な投資家心理として、将来のインフレリスク=将来の円安 にバイアスがかかっているような気もします。
投稿: NightWalker | 2016年9月 1日 (木) 01時15分
昔(1990年代)はインデックスファンドシリーズを発売する時、ヘッジ有りとヘッジ無しを同時発売することが多かったんですよ。でも、最近はヘッジ無しばかりが多くなっています。収支を円建てで考えるなら、期待リターンが同じでリスクは減るのですから、為替ヘッジ付きの方が明らかに有利なんですけどね。もちろん、ライフプランによっては、通貨分散が大事な人もいると思いますが、今のインデックスファンドの為替ヘッジの有無による純資産の相違とは整合的でないように見えます。
投稿: dell | 2016年9月 1日 (木) 09時00分
dell様
たしかに選択肢が少ないのは、残念ですね。
為替ヘッジ付きのインデックスファンドについては、現在は日米の短期金利差が超低水準にあるため問題になっていない「ヘッジコスト」。この分は、期待リターンからマイナスすべきと私は考えています。
投稿: NightWalker | 2016年9月 1日 (木) 18時23分
老婆心ながら付け加えると、ヘッジコストを期待リターンからマイナスしなければならないのは為替ヘッジをしない場合も同じですよね。この場合、高金利通貨はその分将来減価すると考えないと、高金利通貨にフリーランチが生じてしまいます。
従って、市場が合理的ならば、為替ヘッジの有無で期待リターンに差は生じず、円換算でのリスクのみ減ることになります。過去のデータでは、先進国株式だとσが5ぐらい減るようです。
投稿: dell | 2016年9月 1日 (木) 20時28分
dell様
なるほど、金利差分を除いたリスクプレミアムで考えればそうなりますね。そうなると、たしかに為替ヘッジなしでの投資は、為替という市場の非合理性にわざわざつきあっているだけ。市場の合理性に賭けているはずのインデックス投資としておかしいじゃないか。という最初のお話に戻るわけですね。
投稿: NightWalker | 2016年9月 1日 (木) 20時41分
その通りです。だから、規制等で為替ヘッジが容易でない新興国株ファンドならいざ知らず、為替ヘッジが容易な先進国株ファンドについては、むしろ為替ヘッジ付きが標準になってしかるべきではないかと。でも現状は逆で、その結果、インデックス投資家は本来負うべきでないリスクを負うことになってしまっているのではないかと思うわけです。
投稿: dell | 2016年9月 1日 (木) 21時01分
dell様
ちょっと、整理してみます。
インデックスに限らず、為替ヘッジなし外国株式クラスへの投資は、
(1)為替成分 (2)長期金利 (3)長期金利に対するリスクプレミアム
の3つが含まれている。(個別株は、これに個別要因が加わる) このうち、
(1)は、取るべきではないリスク。
(2)は、為替ヘッジコストとして相殺。
(短期金利差が長期金利に収斂されるとして)
(3)ここを純粋に狙うべきである。
ということでしょうか?
ところで、日本株式は、円ベースですが、為替リスクをがんがん含んでいるかに見える動きです。これを排除する方法はありませんかね(笑)。
投稿: NightWalker | 2016年9月 1日 (木) 21時19分
正確に言えば、外国株式の期待リターンは為替ヘッジの有無に関わらず
日本の長期金利+リスクプレミアム
に収束するかと思われます。
日本株については、たしかに為替との相関が強いですが、もしこれを排除しようとするなら、FXで円買いすることも一方法かと思われます。
投稿: dell | 2016年9月 1日 (木) 23時51分