2016年の日本経済はどうなるのか?竹中平蔵さんの講演を聴く
正月早々不安な幕開けの市場の中、今年を占うべく楽天証券さんの新春講演会を聴きに行ってきました。1階席だけで3260席あるパシフィコ横浜国立大ホールを埋め尽くす勢いの大盛況!
私が聴いたのは、次の二つのコンテンツ
(1)2016年日本経済の展望 -アベノミクス第二ステージ-
竹中 平蔵さん 慶應義塾大学総合政策部教授
(2)パネルディスカッション 「“貯蓄から投資へ”の流れがついに本格化!?~2016年資産運用進化論~」
竹中さんのプレゼン力はやはりすごい。実にロジカル。プレゼンの生きたお手本だなあ、と感動することしきりでした。
こんな素晴らしい場を用意して下さった楽天証券さんに大感謝です。
- 経済の基調そのものはそんなに悪くない。うまくいけば緩やかな経済成長は続く。
- 中東、新興国(特に中国)、米国の金利上昇というリスクがあるが、いずれも構造的な問題ですぐに解決するわけではない。
- 今年に入って株価は大きく下げたが、一本調子で下がって行くわけではないだろう。
- アベノミクス第1ステージは評価して良い。批判もあるが、謙虚に認めるべき。
- 第2ステージはまだまだ残された課題が多い。今は、1.5ステージくらいの感触。
- 今年の前半に今年を占う重要な出来事が集中している。宜野湾市長選挙(1/24)(参院選への影響)、米大統領選挙、スーパーチュースデー(3/1)
とまず、サマリーをばんっと述べます。ここが、よく竹中さんが欧米的と言われるところ。 以後の話が非常に頭に入りやすくなります。ブロガーも大いに見習うべきですね。
以下、詳論の抜粋です。
- 米国の金利上昇は、円安シナリオ(金利格差がそのまま効く)、円高シナリオ(中東、新興国の問題で世界経済が悪くなり、セーフハーバーとして円が買われる)の二つが考えられる。(今、起きているのは後者?)
- 中東の問題は根深い。100年前にオスマン帝国を英、露が分断したことに端を発している。
- 中国の問題は経済に加え、中国の政府に経済統治力があるか?が問われている。
- 今週は、中東の問題、中国の問題を集約的に学習する良い1週間だったとポジティブに受け止めたい。
- 中国の株価の問題は限定的とみている。時価総額は、世界の2.4%。
- 問題は実物経済への影響。GDPが15年前は日本の1/3。6年前に追いつかれ、今は2.4倍。
- アベノミクス第1ステージは評価できる。株価が上がり、完全雇用失業率3.4%に対し3.3%。世界の中で唯一、完全雇用状態が実現した。職種地域によって温度差はあるが、評価して良いのではないか。
- アベノミクス第2ステージの残る課題の一つが、財政再建。
- 抜本的社会保障の改革が必要。社会保障にムダがある。例を挙げれば、年金の必要のない人にも年金が支払われている。平均寿命が短かったときの年金設計がそのまま残っている。
- もう一つの残課題が、成長戦略。新しいことに目を向ける必要がある。
- コンセッション(官業の民営化)がキーワード。
- 反対論が圧倒的に多いが、人口問題を考えるなら移民について議論する必要がある。
- 地方分権が停滞している。やっていくには憲法改正が必要。
- ダボス会議のテーマはインダストリー4.0。
- ウーバー、AirBnBという会社を知っているか?(来場者、いっぱい手を上げる。竹中さん少々驚いたご様子)
- 2020年東京五輪の準備が始まる(IOCの規定で準備を開始できるのはリオ五輪が終わってから)
そして、
- リスクもあるがチャンスもあるということをあらためて思い知らされる一年になるのではないか?
とまとめておられました。
竹中さんが最後にこの本を宣伝。おもしろそうですね。
新年早々、大変、勉強になりました!
続く、パネルディスカッションでは、竹川さん、山崎さんご登場。
いつもみなさんがおっしゃっていることを再確認という流れになり、インデックス優勢な論調。ですが、かならずしも、聴いている人は、インデックス派ばかりではありませんので、新春放談と言うことであれば、アクティブな御意見の方も入った方がおもしろいのではないかなあ。個別株派やアクティブ派の論客の登場を待ちたいです。
とはいえ、モデレータとコメンター陣の微妙なずれ(笑)というかきわどい連携がなかなか楽しめました。
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