製造業が日本を滅ぼす
円安論がらみの以下のエントリーを書きましたが、私自身は、最近、「円高が国益となるような政策が重要ではないか?とも考えています。
そんな中、この一冊。
さくっと、箇条書き。
- ダイヤモンドの連載では途中で読みたくなくなるほど理屈っぽい野口先生の論理が読みやすくなっている。
- タイトルは過激だが、円安に傾きがちな世論のアンチテーゼではある。
- 円高に有利な構造改革は何か?という点が弱いのは残念なところ。
さてさて、円高と円安のどちらが日本人にとって幸せなのか?
重大な問題です。
話を単純化して、次の二つの場合を考えてみます。
- ある日突然、デフレ(≒円高)が進み、モノの価格が今の10分の1になる
- ある日突然、インフレ(≒円安)が進み、モノの価格が今の10倍になる。
前者の場合だと、今100万円の貯金があれば、1000万円分の価値があるという状態になります・・・・・・こんなことになったら、働かなくても・・・・・(笑)
・・・・まあ、こんなことにはならないわけですが、
- デフレや円高は必ずしも悪いことばかりではない。
- 円高へ導くオペレーションは、円安のそれよりは簡単そうである。(金利をあげればいいので(^^;))
- 財界=経団連=製造業、みたいな状況からはそろそろ脱皮すべきではないか?という気もするが気のせいかもしれない(笑)。
などということも、考えつつ、分散投資が必要になるわけで、大変難しいです。はい(^^;)。
コメント
野口先生は日経ヴェリタスにも「円安は企業利益を高めない」と書かれており、貿易収支の赤字化が定着した今日での円安はさらに赤字の拡大を…という論調ですね。
フジマキさんとの対談とか見てみたいですね。
投稿: kubojah | 2012年4月22日 (日) 06時46分
貿易収支の赤字化を提唱する金融機関はありませんよ・・。
製造業が戦後、日本の外貨獲得、生活水準向上に資したのは事実ですが、近年の製造業の意義はむしろ雇用にあります。金融機関やIT企業は少人数は雇用を生みません(国内の投資銀行や総合商社、メガバンの本社組織の人数は全て合わせても10万人もいきません。グーグルや楽天、サイバーエージェント、グリーも同様に少人数です)。
企業収益ベースであれば製造業に固執する必要はありませんが、雇用、特に工場のライン労働者の働く場所が消失することはGDPの消費の観点からは大きな損失です。
投稿: タマ | 2012年4月22日 (日) 17時24分
皆さまコメントありがとうございんす
>kubojah様
フジマキさんとの対談は、面白そうですね。どこかで企画しないかな?
>タマ様
おっしゃる通り、製造業こそが現在の日本の雇用と消費を支えており、数百万人以上の雇用をどう創出するかということこそが課題ですね。
投稿: NightWalker | 2012年4月23日 (月) 00時34分
>数百万人以上の雇用をどう創出するか
野口さんご提言のように、中長期スパンでみると、製造業から、医療、介護、保育などの高参入規制・価格設定不自由産業へ、雇用労働力の流入移動をスムースに出来るように、規制緩和するしかないのでしょうね、その間の変化に対する「激痛」に耐えつつ・・。
我が国の工場ラインの労働者の労賃が今や新興国の労賃に鞘寄せし始めているとはいえ、まだまだ高コスト体質であることに変わりはない。
となれば、モノを「高いコストで作って安く売る」ことなど、非効率極まりない。
「空洞化」が進んで彼らの働く場所が奪われるよりも、この非効率性のほうが我が国の低成長もしくは停滞に寄与しています。
ですから、今後も製造業の我が国の経済への寄与に固執するにしても、国内から出て行く製造業を我々は快くお見送りし、外で稼いで運用したおカネを国内に還元してもらうほうがよさそうですし、ひいてはそれによって上記の成長見込みのあるサービス業への雇用流入を促進するはずです、まず規制緩和ありきでしょうが・・。
投稿: キセン | 2012年4月23日 (月) 05時10分
キセン様
コメントありがとうございます。
規制緩和は、もちろんですが、金儲けは悪いこととする刷り込みもなんとかしないといけませんね。
投稿: NightWalker | 2012年4月23日 (月) 13時28分