人的資本
実は、前回エントリーでご紹介した一昨日の飲み会で、ちょっと、持論をぶってみたのですが、人的資本について、書いてみます。
人的資本というのは、橘玲さんの黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 (同書のP28)で知った概念で、
経済学では、ひとりひとりの労働価値を「人的資本(ヒューマン・キャピタル)」と考える。私たちはこの人的資本を労働市場に投資して、日々の糧となる収益(給料)を得ている。
という考え方です。橘さんは、続けて、
自分自身のおおよその「価値」は、年収を長期金利で割り引くことで計算できる。
と述べ、若いころは、億単位の資産を持っているので、全部株式に投資していい、投資すべきだ、と説いていらっしゃいます。
非常に面白い説なのですが、これには、近年(笑)、なんとなく、違和感を持っておりました。
この違和感が何なのか整理したのが、次の二つの観点です。
- 人的資本は、企業価値と同様、将来生み出す利益の総和を一定の割引率で割り引いたものになるのではないだろうか?実際は、人にもよるが、それほど大きな金額にはならないのではないだろうか?
- 人的資本は、ある意味人生最大のリスク資産ではないだろうか?よって、ポートフォリオに人的資本を入れてはリスク過大になるのではないだろうか?この場合は人生自体がリスクなのだから株式には投資しない方が良いとなってしまう。
1についてですが、人的資本の大きさを、収入の総和を基準とするということは、企業でいえば、売上高を基準にするようなものではないだろうか?企業と同じく純利益で評価しないといけないのではないだろうか?という疑問です。
こう考えると人的資本は、アバウトな式ですが、
(一生分の収入) - (一生分の必要経費)
を一生の長さで割り引いたものと考えられます。
・・・・とすると、稼いだお金を、きれいさっぱり使い果たしてしまう人の場合、人的資本はゼロです。(けっこう、実在しそうな人です(^^;))
単年で稼ぎ使い切ってしまう人は、借金をしない限り、そもそも株式投資をできないので、なんだか、変な感じなんですが・・・・。
また、年をとっても、たとえば、年収1000万くらいあって生活費が300万円で済んでいる人は、ある条件の若い人よりも人的資本が大きかったりするかもしれないわけです。
少し哲学的な2の話もあり、人的資本を算定することは不可能であり、金額もそれほど大きくはないのだから、私は、人的資本をアセットアロケーションに入れて考えないことにしよう、と考えています。(思考停止的な結論ですみません(^^;))
なお、この話は、ともかく、橘さんの本は、良書です。お読みになっていない方には、ぜひぜひ、ご一読をオススメします。
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コメント
インデック投資家は、若いうちに死んでほしい。
投稿: | 2010年12月23日 (木) 21時03分