密かに買い進む「長期派」
今週号の日経ビジネスの特集は、
- 日本の時価を上げろ 新・モノ作り大国で危機脱出
技術・投資金融立国のススメってことで、またか、という感じもしなくはなかったのですが、
例によって「だから日本株はダメ」という調子の記事の中に、
密かに買い進む「長期派」
というタイトルが。
シンガポールの政府系ファンドのCEOさんによると
- 成長性だけなら中国やインドがいい
- 日本は経済の規模、安定性、企業の質という点で素晴らしい
とのことです。ほんまかいな。
--------------
そういえば、シーゲルさんの本(p259-265)でも、経済成長率と株式のリターンは必ずしも連動しないことが指摘されていましたね。
同書籍をお持ちの方は、p265をご覧ください。
成長に対する期待は、熱狂につながりやすく、結果的に、株価の過大評価につながりやすい。新興成長市場では、とくにそうなりやすい。中国市場でおこったこと(注:1992~2003のことです)は、まさにこれだった。ようするに、多すぎる資金が、少なすぎる銘柄に群がった。これが過大評価につながり、リターンを押し下げた。
と書いてあります。おや?って感じですね。何度でも繰り返すってことかな。
ところで、シーゲルさんのご指摘は、逆のことも言えるかもしれません。
成長に対する失望は、落胆につながりやすく、結果的に、株価の過小評価につながりやすい。成熟市場では、とくにそうなりやすい。
(上記は、個人的な考えです、責任は持てません。あしからず。)
---------
さて、記事に戻りますと、ノルウェーの政府年金基金も日本をいっぱい買っているとのこと。
買う人は買うってことでしょうか。
とはいうものの、冒頭の記事全体としては、
- 現在の株安は割安ではなく妥当かもしれない。
- 日本の企業の収益性の低さに根本原因があるので、ここを直さなきゃダメ
- 優遇制度を整備するなどして海外の政府系ファンドの資金を呼び込め。
という論旨でした。
----------
私としては、
静かに買い進む「長期派」
でいきます。もちろん、日本だけじゃなく外国も。それ(ドルコスト)しか能がないのですけどね。
コメント
経済成長率と株式のリターンの関係については、『中国株投資の王道』(バートン・マルキール)でも言及がありました。
そのうえで、中国株はなお上昇余地があり、というのが著者の見立てです。
投稿: レバレッジ君 | 2008年4月 1日 (火) 07時20分
過小評価っていうのは、いつか(中期的には)"過小でない適正な評価"に戻ることを前提においた表現だと思うのですが、
日本市場って、なんだか過小評価の永続的状態のように思えてきます。
投稿: 世界のREIT | 2008年4月 1日 (火) 19時51分
皆様コメントありがとうございます。
>レバレッジ君様
>『中国株投資の王道』(バートン・マルキール)
読んでいないので、近いうちに読んでみたいと思います。ご紹介ありがとうございました。
>世界のREIT様
この5~10年が日本も正念場かもしれません。
投稿: NightWalker | 2008年4月 1日 (火) 21時46分
日本が延びるか縮むか、確かに正念場ですが予想は難しいでしょうから、両方投資するのが「正しい」ということに結局はなってしまいそうですね。
私のように、世界>日本が永続的にいいかどうか(円高もありうるため)は分からない所ですが。
投稿: 新幹線 | 2008年4月 1日 (火) 22時30分
新幹線様
コメントありがとうございます。
>円高
為替はわかりません。変動相場制の長期的な裁定力に期待するしかないですね。
投稿: NightWalker | 2008年4月 2日 (水) 21時58分