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2008年1月15日 (火)

日本経済のリスク・プレミアム

 日本経済のリスク・プレミアムという本を読みました。で、どうだったかといいますと....

 必読本でした。

 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン社長、山口勝業氏のここ数年の論文やセミナーの内容をまとめたものだそうです。何を買えとかいうノウハウを本書に期待されては困りますが、日本の長期データをベースにしたさまざまな示唆に富む内容となっています。

 この50年の株式債券のリターンを日米で比較したグラフなんかも出ています(p70)。これだけ長期になると、日米のパフォーマンスは、ほぼトントンなんですね。

 興味をひかれたのは、リスクプレミアムパズルという話。メーラ氏とプレスコット氏(2005年ノーベル経済賞受賞)という方が、1985年に書いた論文が発端だそうです。

  • 純粋な理論経済学で計算される株式のリスクプレミアムは1%にも満たない水準
  • 現実のリスクプレミアム(米国の株式債券のリターン差)は、6%

 この差は何か?というもの。「理論がおかしい」か「現実のデータに問題がある」かのどちらかである、ってわけです。ただし、これは米国の場合。では、日本の場合はどうだったのか?

  • デマンド・サイド(投資家の側)から見た場合、日本経済のリスク・プレミアムは長期的に低下してきている。
  • サプライ・サイド(企業の側)から見た場合、Tモデルなる山口さんの計算モデルによると、日本経済のリスク・プレミアムは1970年初頭で打ち止め、それ以後は、なんと、ほとんどゼロ

 ということを、実証データを使って、2章に渡って、大説明。

 リスクプレミアム・ゼロ~? さらっと書かれていますが、衝撃的です。

これは我が国の企業が、高度経済成長の時代はともかく、それ以降は安全資産利子率並みのリターンしか株主に対して供給していなかったことを意味している(p145)

 日本の企業は、投資家に対して、リスクに見合ったプレミアムを提供してこなかった。投資家は、債券に投資した方がましだった、ということになります。つまりです。1970~今までの間、我が国で資産形成に励んだ皆様(おそらく団塊の世代以上の方々)が、現役時代、持家+定額預金で財産形成したのは、きわめて合理的であった、とも言えるわけです(これは私の解釈)。

 以後、リスク・プレミアムが低下あるいはほとんどゼロだった理由の分析も記述されていますが、それは、読んでお楽しみということで。 

 最後に、山口さんのプロフィールをご紹介します。

  • 1955年生まれ。
  • 少年時代は手塚治虫や石ノ森章太郎を耽読してマンガ家志望。大学時代はシンガーソングライターを目指すが、就職面接前日の新人コンテストで敗退して長銀に就職。
  • 数年後「フツーの銀行員に向いてない」と自他ともに認め、米国にMBA留学。
  • 以後、長銀の資産運用部門の草分けとして、ニューヨークで活躍。
  • 長銀破たんを機に退職。イボットソン・アソシエイツ・ジャパンを創業して社長に就任。専修大客員教授、慶応大学などで特別講義を担当。行動経済学ワークショップの運営世話人の一人。
  • 愛読書は「ゲゲゲの鬼太郎」。好きな歌手は井上陽水と中島みゆき。

 大変ユニークな?方のようですね(^^;)。ファンになりました。

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コメント

米国株のリスクプレミアムが1%で、日本株のリスクプレミアムが0%。
その説明内容は、NightWalkerさんから見て、信用に足ると思われましたか?

投稿: 水瀬 ケンイチ | 2008年1月16日 (水) 19時49分

水瀬様
 コメントありがとうございます。
 米国株のリスクプレミアムは、6%で、これは感覚的に納得がいくものです。

 問題は、サプライサイドから見た日本株のリスクプレミアムがゼロという話ですが、これは、ファンダメンタルから本来供給されるべき株式のリターンとの差をあるモデルを使って計算したというもののようです。そういう意味においては、ありうべき話と思いました。もちろん、モデルが介在している以上、あくまで参考レベルの話と思います。モデルから導き出したリターンのファンダメンタル成分が違えば、まったく異なる結果になってしまいます。

 なお、日本株のデマンドサイドから見たリスクプレミアムは低下傾向はあるものの単純平均で約7%という計算でしたのでこれも納得がいく話でした。

投稿: NightWalker | 2008年1月16日 (水) 20時25分

デマンド・サイド内部の格差社会がやばいと思いました(笑)・・

投稿: さぼてん | 2008年1月16日 (水) 22時35分

米国株が1%と勘違いしてしまいました。
申し訳ありません(^^ゞ

日本株のリスクプレミアムのモデル、気になります。
なんとなく、当たらずとも遠からずな感覚を持っているもので。
この本を読んでみたいと思います。

投稿: 水瀬 ケンイチ | 2008年1月17日 (木) 00時17分

あのぉ、私には、難しすぎてさっぱり分からないですぅ。

日本株に関しては、
「投資家は、債券に投資した方がまし」
という結論で、いいわけでしょうか?

現在の日本株インデックスの状況にタイミングよすぎの結論なので・・。
なんか、冷や汗。

投稿: 元町愛 | 2008年1月17日 (木) 03時04分

皆様こめんとありがとうございます。
>さぼてん様
 そういう視点もあるかもしれません。

>水瀬様
 今度、お会いしたときにでも(^^)。

>元町愛様
 日本の過去(過去ですよ)を、ある手法で分析してみたら、面白い結果がでました、という話です。さらっと聞き流してみてください。

>「投資家は、債券に投資した方がまし」
 未来はどうなるかは、わからないです。
 どっちに投資しても儲からない、という可能性もありますし、日本株が大勝する可能性もあります(さわかみ先生はこっち派ですね)

投稿: NightWalker | 2008年1月17日 (木) 06時18分

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http://markets.nikkei.co.jp/kawase/kinri.aspx?site=MARKET&genre=m7&id=ASS0IMB04%2011012008 新発2年物国債の264回1月債利回りは一時0.6%を、同5年物の68回12月債利回りは0.9%をそれぞれ下回った。15時現在では2年債264回1月債が0.025%低い0.605%、5年債68回12月債が0.020%低い0.885%で推移している。 新発10年物国債の289回1月債利回りは0.015%低い1.4..... [続きを読む]

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» 日本のリスク・プレミアム [レバレッジ投資実践日記]
国際分散投資をしている方の間ではお馴染み(?)のイボットソン・アソシエイツ・ジャ [続きを読む]

受信: 2008年9月23日 (火) 15時00分

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