2,500万円の寿命
新生銀行さんのサイトで 2,500万円のお金が、どのくらい持つかを計算しています。
お金は使い続ければ、いつかはなくなる。つまり、お金には「寿命」があるのです。
寿命......いやな表現ですが、自分でも計算してみることにしました。
条件は、以下のとおりです。
- 毎月14.6万円ずつ使う
- ExcelのFv関数で計算 残高=fv(利率/12,運用月数,毎月の支払額,-2,500万円)
- 残高がゼロになる月数をゴールシークを使って求める。
- 利率が1%違うと、どの程度寿命が違うか見てみる。
運用利率 | 0% | 1% | 2% | 3% | 4% | 5% |
寿命(単位:月) | 171 | 185 | 202 | 224 | 254 | 301 |
運用率1%の差による寿命差 | 14 | 17 | 22 | 30 | 46 | - |
新生銀行さんの計算結果と微妙に寿命が違うのは、 新生銀行さんの試算は、年間176万円を使って2500万円が何年持つかを計算したため、と推定しています。私は、月割りの運用利率&月数で計算しました。まあ、そんなに差はありません。
見ていただきたいのは、1%の差。この1%の差が、お金の寿命を縮めていることになります。この差をいとも簡単に発生させることができるのが、信託報酬に代表される投信保有コストです。
リターンは不確実ですが、コストは確実です。
このことを肝に銘じておく必要がありますね。
むろん、このコストがなければ、運用そのものが成立しないわけですが、コストをいっぱいかけたから、リターンが上がるというものでもありません。
運用会社の皆様におかれましては、ぜひとも、運用の生産性を高めていただき、お金の寿命を、少しでも延ばしていただきたいと思います。
何度でも書いてしまいますが、運用3原則は、1.分散、2.ローコスト、3.継続、であります。
冬のボーナス商戦を控え、金融機関が個人マネーの取り込みを競い始めた。大手銀行は株価下落などでこのところ低調だった投資信託の販売に力を入れるほか、ネット専業銀行は預金金利を上乗せする。証券会社は個人向け国債に注力している。ただ、個人投資家の投資意欲が減退しているとの調査結果もあり、各社が狙い通りに販売を伸ばせるかは不透明だ。みずほ銀行は3日から、投信を100万円以上購入した顧客のうち、のべ2000人に現金1万円が当たるキャンペーンを実施する。三井住友銀行は新規に口座を開設して投信を20万円以上購入した顧客に、音楽CDなどの記念品を渡す。
狙われているみたいです(^^;)。金融機関のキャンペーンは、所詮一時的なメリット(それでもうれしいですが)であり、結局、コストとして我々自身にはね帰ってくる、という側面があります。注意しないといけませんね。
というわけで、買う側としては、これらを踏まえ、金融機関ではなく私たち自身の自己責任、自己判断......これまた、いやな表現ですが、において何を選ぶか?に気を配り続ける必要があります。
コメント
> リターンは不確実ですが、コストは確実です。
おぉぉ、これは、名言ですね。
投稿: ひろん | 2007年12月 3日 (月) 09時55分
期待リターンが同じ商品であれば、正にコストの低減がリターンの向上につながるわけですね。投資を決める際には、まず投資先の選定、次にコストによる商品選定、最後に至便性等を考慮しての商品選びが必要になると思われます。
投稿: 新幹線 | 2007年12月 3日 (月) 10時42分
はじめまして。
>リターンは不確実ですが、コストは確実です。
ひろんさんもおしゃってますが、本当に名言ですね。
肝に銘じたいと思います。
新生銀行のサイトにある分散シミュレーションが面白いですね。国内株式、外国株式、国内債券、外国債券の4つにしか分けられませんが、1969年から2006年末まで、アセットアロケーションの変化によって、リターンがどのように変化したかがシミュレーションできました。
単純に25%ずつに分散していただけでも、バブルの頂点から資産運用を始めても2006年末のリターンはプラスになっているのですね。
資産運用をこれから始めようとする人に向けた銀行の説明としてはとても丁寧なものなのではと思いました。
こうした説明で分散せずに資産運用をして自分のリスク許容度を超えたリスクを抱えてしまう個人投資家が減ればと思います。
投稿: nobuhiro | 2007年12月 3日 (月) 11時23分
今年の6月初旬、NightWalkerさんの記事、「いくらあればリタイヤできるか計算してみる」3回シリーズに関連していますね。とよーぴーさんのところで紹介されていた計算ソフト(↓)。この手の計画立案に使えそうで、リターンのみならずリスク(標準偏差)も表示できる項目もあります。
http://homepage2.nifty.com/urajijou/chokin/iroirohukuri2.html
その他、個人ブログに紹介されていたエクセル計算表もあります(6/26記事、↓)。こちらは、自分の寿命(死亡予定年齢、笑)と65歳から貰える年金額を入力できるユニークなものです。
http://fulface.blog.shinobi.jp/Category/11/
漠然と社会保険庁のグチャ泥による年金崩壊、資源高によるインフレに怯えて闇雲にリターンを追って、個々人のリスク許容度を超えた運用するのも問題。少しは計画的に落ち着いて運用したいものです。
「お前みたいな大相場師がそんな事言っても説得力無いは!金融リテラシーの微塵も無いやんけ!」なんてNightWalkerさん、言わんでくださいよ(笑)。大相場でボロ儲けし、超早期リタイアした後は、独立系FP事務所に駆け込んで、みっちり指導を受けました(笑)。パトラッシュ、住信マイセレクションDC50、ETF、ゼロクーポン債等々で、「超安全」&「超理論的」運用、資産組み入れ&買い増し中です。
投稿: Werder Bremen | 2007年12月 3日 (月) 21時29分
皆様コメントありがとうございます。
>ひろん様
このように言っていた人がいて、なるほどな、と、印象に残っている表現なんですね。
>新幹線様
コストは大事ですので、しつこく、言っていこうと思ってます。
>nobuhiro様
はじめまして。
銀行の宣伝は、よくできていますね。分散は大事、長期投資は大事.....しかし、コストが大事、とは言ってくれないんですね(^^;)。
>Werder Bremen様
>「超安全」&「超理論的」
超がつくと、なんだか、すごい感じがします(^^;)。
投稿: NightWalker | 2007年12月 3日 (月) 22時39分
>リターンは不確実ですが、コストは確実です。
他の方も仰られていますが、いい言葉ですね。
窓口ではリターンばかりをアピールし、次はリスクばかりを説明しています。
時間と分散はちらほら聞くので、
来年あたりは、コストについて聞けるようになるでしょうか・・・。
時間がかかっていますが、改善の余地は沢山あるので頑張って頂きたいモノです。
投稿: かえる | 2007年12月10日 (月) 11時07分
かえる様
コメントありがとうございます。
>コストについて聞けるようになるでしょうか
投資家の金融リテラシー向上とともに、しゃべらなければならなくなって欲しいですね。
投稿: NightWalker | 2007年12月10日 (月) 19時57分