消費者物価指数
日経です。
日銀が利上げの判断をめぐり、消費者物価指数(CPI)に軸足を置く政策運営からの脱却を模索している。CPIはなお前年同月比マイナスだが「CPIに固執しては利上げ時期を誤りかねない」として、経済全体に目配りする「総合判断」で検討すると訴え始めた。市場では「月内にも利上げ」との見方が出ているが、物価下落時の利上げの正当性をどう説明するかが課題となる。
先々週号(2007年7月30日号)の日経ビジネスの特集で「成熟国型インフレがやってくる」という記事がありました。
ここでは、消費者物価指数の限界について、述べられていました。
- 日経取材班が、いくつかの消費の現場で値上げ、価格改定、上質消費の実態をつぶさに見聞。
- 国内企業物価指数も上がっている。
- ところが、消費者物価指数は、上がらない。
実感との「ずれ」はなにか?という内容。
消費者物価指数の採用品目が、実態の消費の変化に追いついていないのでは?というのが、日経ビジネス取材陣の考えのようです。
それに呼応したというわけではないでしょうが、日銀さんも、いろいろ、たいへんそうです。
コメント
私も読みました>日経ビジネス。珍しい事に立ち読みではなく購入しています ^^;。
最近の CPI の傾向としては、食料品や石油に直接係わる物価が上がり、薄型テレビ、電話料金等の物価が下がりプラスマイナス0の状況が続いているように感じています。資源インフレがジワリジワリ近づいていて、値段に反映しやすいモノから順に値上がりが続いているような印象を受けます。
利上げの判断については日銀に託すしかないのですが、利上げが遅れたことによる「資源インフレ+円安」というダブルパンチは既にジワジワ効いているんじゃないかと憂慮しています。外貨を持つものと持たざるものとの格差が広がっているんじゃなかろうか、と。
後、円借り取引の主犯(?)は個人投資家じゃね?というのも興味深い所かと。短期間の調整は機関投資家が原因だとしても長期の円安トレンドは日本の個人投資家が作っているのではないか、と。
投稿: Mc.N | 2007年8月 6日 (月) 23時41分
そもそも、日銀は何のために利上げしなければならないのでしょうかね?物価が下がるデフレの状況なら本来しなければならないのは利上げではなくて利下げのはずです。ところが、実際は利上げを正当化する論理を「探して」しまっている。利上げすること自体が自己目的化している。世界でも例をみない非常に異常な状況だと思います。ちなみに、最近のアメリカの研究では日本のCPIには1.8%の上方バイアスがあると報告されています。1.8%も実際より高く出ているのにもかかわらずCPIがマイナスということは、実際の物価はかなり下がっていることになります。全体として物価は下がっていても一部の消費財が上がっているから利上げというのなら、全ての消費財は上がってはいけないというとんでもないデフレマンセーの世界になってしまいます。デフレは投資と雇用を抑制し経済成長を阻害します。それでいいのでしょうか?
投稿: dell | 2007年8月 7日 (火) 08時35分
インフレは悪、ということなんでしょうか。確かに国民が資産の大部分を現金で貯蓄しているんだとすれば、民意としてほんの少しでもインフレは悪でデフレ万歳だ、という論は成り立つかもしれません。
しかしこれって面倒だから旧来型の経済活動を継続する、お年を召された方向けの政策ですよね。本来なら適度なインフレは経済活動を活発にさせますし、インフレに対応するためと考えれば「貯蓄から投資へ」は有効なはずです。
日銀の年をとった偉い人は自分の資産を保全してあの世に逃げ切るつもりかもしれません。
これは少子化の悪影響といえるかも。年寄りのほうが多いと、将来を見据えた政策より現状の維持が優先されるという。
政治的格差では若者が弱者と化しつつあります。年金問題における政治家の「絶対払います」は誰に向けたものか?について考えればそう思うのです。
投稿: まひわり | 2007年8月 7日 (火) 12時04分
インフレをCPIのみで判断するのもいかがなものかと思っています。
不動産等の資産インフレは徐々に進行しつつあり、このまま放置しておけば歯止めのかからないインフレになりかねないかもしれません。
投稿: yb | 2007年8月 7日 (火) 12時22分
CPIだけで判断していては、利上げができないというのが、本心だろうと思います。
国民は、貯蓄をしていて消費をしていないという見方で判断してしまうことにもなりますが、実際にそういうのが現実として起こっているんだと思います。
ここ数ヶ月消費者物価指数は上がっていませんし、単純に考えてしまうのも問題ですが、消費があがらない以上どこかしらで判断しようと模索するのが自然な流れだと感じます。
投稿: ryu | 2007年8月 7日 (火) 14時24分
>不動産等の資産インフレは徐々に進行しつつあり
資産インフレが進むと問題ですか?
基本的に、経済が好調で資産価格が上がらないということはあり得ません。経済が好調な国では歴史上どこでも資産インフレが起きています。資産インフレがダメだから利上げと言うのであれば、それは資産インフレすらも起きないくらい経済を低迷させておけと言うのと一緒です。そんな経済がお望みなのでしょうか?それでは福祉も年金も医療も維持していけませんし、何より多くの国民が希望を失ってしまいますが。
投稿: dell | 2007年8月 7日 (火) 16時03分
皆様コメントありがとうございます。
適度にインフレになるということを、多くの方が望んでいるような気がしていますが、適度というのを測定する指標の設定もコントロールする方法も大変難しいようですね。
投稿: NightWalker | 2007年8月 7日 (火) 21時25分