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2007年5月 6日 (日)

投資を始める方へ(10): 投資のタイミング

投資のタイミングです。いったい、いつ買えばいいのでしょうか?

結論から言ってしまえば、それは誰にもわかりません!(おしまい)

しかし、それでは、私のような気の弱い人は、投資できなくなってしまいます。例によって、検証をまじえて、私なりの考えを書いてみます。

トムソーヤーやハックルベリーフィンで有名なマーク・トウェイン(1835~1910 ハレーすい星が来た年に生まれ、次に来た年に没した人です。)の名言に、こんなのがあります。有名なのでご存知の方も多いかもしれません。

「10月、株に手を出すにはもっとも危険な月だ。これ以外に危険な月は7月、1月、9月、4月、11月、5月、3月、6月、12月、8月、そして2月だ。」

マーク・トウェインさんは、100年以上前に活躍された方です。大恐慌(1929)の前の時代から、やっぱり、株はヤバかったみたいです。

ピーター・リンチ氏の本でも、証券マンに株を今すぐ買うように勧められたときに言う言葉として使われていました。(下の本のp211)

この名言、私としては、二つの解釈があります。

  1. 株は、いつ買ってもヤバい。
  2. 株は、いつ買ってもいっしょ。

ドルコスト法やリバランスは、上記の株式(投資)特有の性質を踏まえた、時間分散のテクニック、と言ってよいのではないでしょうか。

ドルコストは、「有利でも不利でもない」そうですが、私のような気の弱い庶民にとっては、次の二つの効用があります。

  1. 「現実的」。投資に回せるキャッシュフローは、サラリーマンの場合、どうせ少しずつしか入ってこない。
  2. 「精神衛生上良い」(値下がりしたときにたくさん買えるので)

一方、リバランスは、資産の性質(リスク・リターン)を保つことで、ボラティリティ(価格変動=リスク)を調整する力があるようです。

これらの論理的な根拠ややり方については、このシリーズの第1回で紹介した下記の本などを参考にしていただくとして、具体的に、どうだったのか、計算してみました。

ドルコストやリバランスの実例

<条件>

  • ドルコスト:日経平均を毎年年末終値で買い続ける。
  • リバランス:毎年年末、日経平均と現金(利息0%)を50%:50%でリバランスする。リバランスコストは無視。

まず、バブル崩壊前の1987年末から2006年末までの20年間

200705061

 リバランスが安定した成績です。

 バブル最高値をつけた1989年末から2006年末までの期間ではどうでしょう。

200705062_1

期間を変えると、効果の見え方が変化します。わずか、2年ですが、不思議ですね。

このケースは、ドルコストが良かったみたいです。

ドルコストやリバランスをすると、必ず儲かる?

マーク・トウェインには以下の名言もあります。

嘘には3つの種類がある。普通の嘘、真っ赤な嘘、そして統計だ

数字やグラフだらけのエントリーを書いておいて、こういうのも何なんですが、数字にはご用心ください(笑)。

上記の例では、ドルコストにせよリバランスにせよ日の目を見た(100%を超えた)のはこの1~2年にすぎません。ドルコストやリバランスをやって、必ず、儲かるわけではありません。

しかし、そうはいっても、ドルコストやリバランスには、価格変動リスクの抑制効果がありそうです。 投資の金額によって、次のようにすれば、投資タイミングのリスクを軽減できるのではないでしょうか。

  1. 投資金額が少額の場合:国際分散投資+ドルコスト+リバランス
  2. 投資金額がまとまっている場合:国際分散投資+数回~10回程度のドルコスト投資+リバランス

いずれにしても、効果が目に見えるには、大きな時間がかかります。これこそが、長期投資のメリットでもあり、デメリットでもあります。うまくいく場合にも時間がかかり、うまくいかなかった場合、時間は取り戻せません。

どのくらい長期なのか?下記エントリーでもご覧いただき、各自、ご考察いただければ、幸いです。

最後に、マーク・トウェインのこんな言葉を。

「持っているもので満足できるのが豊かということだ。もっとお金が欲しいと思っている限り、その人は豊かではない」

こういう 心構えで「ゆったり」行きたいものです。

-------------

付録:今回使った図のもとの表です。

<表1:1987年末から2006年末>

  終値 バイ&
ホールド
ドル
コスト
リバランス
1987 21,564.00 100.0% 100.0% 100.0%
1988 30,159.00 139.9% 119.9% 119.9%
1989 38,915.87 180.5% 136.5% 137.3%
1990 23,848.71 110.6% 87.7% 110.8%
1991 22,983.77 106.6% 87.6% 108.7%
1992 16,924.95 78.5% 70.5% 94.4%
1993 17,417.24 80.8% 76.4% 95.8%
1994 19,723.06 91.5% 88.2% 102.1%
1995 19,868.15 92.1% 90.1% 102.5%
1996 19,361.35 89.8% 89.0% 101.2%
1997 15,258.74 70.8% 72.9% 90.5%
1998 13,842.17 64.2% 68.9% 86.3%
1999 18,934.34 87.8% 94.7% 102.1%
2000 13,785.69 63.9% 71.2% 88.3%
2001 10,542.62 48.9% 57.5% 77.9%
2002 8,578.95 39.8% 50.1% 70.6%
2003 10,676.64 49.5% 64.6% 79.3%
2004 11,488.76 53.3% 71.2% 82.3%
2005 16,111.43 74.7% 99.8% 98.8%
2006 17,225.83 79.9% 106.4% 102.2%

<表2:1989年末から2006年末>

  終値 バイ&
ホールド
ドル
コスト
リバランス
1989 38,915.87 100.00% 100.00% 100.00%
1990 23,848.71 61.28% 80.64% 80.64%
1991 22,983.77 59.06% 85.14% 79.18%
1992 16,924.95 43.49% 72.02% 68.74%
1993 17,417.24 44.76% 79.30% 69.74%
1994 19,723.06 50.68% 91.49% 74.36%
1995 19,868.15 51.05% 93.29% 74.63%
1996 19,361.35 49.75% 92.04% 73.68%
1997 15,258.74 39.21% 75.59% 65.87%
1998 13,842.17 35.57% 71.72% 62.82%
1999 18,934.34 48.65% 98.27% 74.37%
2000 13,785.69 35.42% 73.92% 64.26%
2001 10,542.62 27.09% 59.87% 56.70%
2002 8,578.95 22.04% 52.38% 51.42%
2003 10,676.64 27.44% 67.51% 57.71%
2004 11,488.76 29.52% 74.36% 59.90%
2005 16,111.43 41.40% 104.03% 71.95%
2006 17,225.83 44.26% 110.60% 74.44%

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コメント

マーク・トウェインの言葉にドキっとしました。
まだまだ豊かな領域には程遠いようです。

約1年ドルコストでの投信積立をしています。
日本株中心でしたのであまり増えていませんが、いろいろ勉強しつつ、のんびり行きたいです。

投稿: うんぼぼ | 2007年5月 6日 (日) 07時33分

竹川氏の「投資信託にだまされるな!」では、「人間は価格が上がっているときは下がりそうな予感がして、下がっているときは更に下がる気がして、結局購入できない」と言う指摘がなされていましたね。

ドルコスト法の場合、効用については未だにいくらかのブログで論議をかもしているようですが、「上がっているときは単純にうれしく思い、下がっているときはたくさん買えるという点で良く思う」というプラス思考の考えを得て、投資を継続できると点ではそれなりの効果があるように見えます。

統計も少し時期が変わると見え方も変わるという、興味深い例を見せていただきありがとうございました。

投稿: 新幹線 | 2007年5月 6日 (日) 10時34分

皆様コメントありがとうございます。
>うんぼぼ様
 うんぼぼさんのブログを拝見しました。うんぼぼ2号ナイスです。
 また、リンクいただき、ありがとうございます。私もリンクしてしまいましたので、ご確認ください。
>新幹線様
 ドルコストや、リバランスなどによる機械的なオペレーションの方が、投資タイミングの迷いは少なくなりますね。

投稿: NightWalker | 2007年5月 6日 (日) 19時49分

NightWalkerさん、こんばんは。
相互リンクありがとうございました。

投稿: うんぼぼ | 2007年5月 6日 (日) 23時10分

NightWalkerさん、こんばんは^^

相互リンクありがとうございましたm(_ _)m

私は現在でも、日本株の運用金額(バリュー投資)が最も大きな比重を占めているのですが、数年前より、海外にも分散投資を図るようになり、日本株オンリーだったポジションの変更を行っているところです。

リスク分散の面はもちろん、いろいろな投資を学びたいという考えがあった、というのがその理由です。

記事で、興味深い参照事例を見せていただいたドルコスト平均法の効用については、私も現在勉強中であり、大変参考になりました。

今後も、記事を参考にさせていただきます。
よろしくお願いします。

投稿: ぐっち | 2007年5月 7日 (月) 23時29分

ぐっち様
 リンクの件、連絡しないですみません。気が付いていただけたようで幸いです。

>いろいろな投資を学びたい
 ぜひ、お勧め本なども参考にしていただきたいと思います。

 http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/2007/03/post_eeb8.html

 ぐっちさんのブログの更新も楽しみにしております。

投稿: NightWalker | 2007年5月 8日 (火) 00時12分

お久しぶりです^^;
冬眠から復活しました。

悩まずに続けられるのでドルコストはいいですよね。
私は気分次第で買いましてますけど^^;

投稿: にじ@Ray | 2007年5月 8日 (火) 20時12分

にじ@Ray様
 おはようございます!
>私は気分次第で買いましてますけど^^;
 私は、ルールを決めて買い増し、ということにしてあります。
 

投稿: NightWalker | 2007年5月 8日 (火) 22時41分

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