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2007年5月 1日 (火)

投資を始める方へ(9):コストの話

投資のパフォーマンスは、アセットアロケーションで大半が決まるそうですが、コストもとても重要です。長期投資は、コストが命。

投資信託にかかるコストについての説明は、下記サイトがおススメです。金融機関が提供しているとは思えないくらいに「あれやこれや、たくさん、さっぴかれること」を細かく説明してあります。

また、このシリーズの第1回でご紹介した中では、「みんなの投資」P60、などです。

1.コストが投資に及ぼす影響

(1)保有コストが、長期投資に及ぼす影響

期待リターンが同じで信託報酬が違う二つのファンドを毎月1万円ずつ長期積立したケース

計算の便宜上、保有コスト=信託報酬としてあります。

<例1:信託報酬差1%>

投資
期間
10年 155.3万円 147.2万円 8.0万円
20年 411.0万円 366.8万円 44.3万円
30年 832.3万円 694.0万円 138.2万円

 A:期待リターン:6%/年 信託報酬1.0%(実質リターン5%として計算)
 B:期待リターン:6%/年 信託報酬2.0%(実質リターン4%として計算)

長期になると大きな差が出てしまいますね。

<例2:信託報酬差0.5%>

投資
期間
10年 155.3万円 151.2万円 4.1万円
20年 411.0万円 388.1万円 22.9万円
30年 832.3万円 759.4万円

72.9万円

 A:期待リターン:6%/年 信託報酬1.0%(実質リターン5%として計算)
 B:期待リターン:6%/年 信託報酬1.5%(実質リターン4.5%として計算)

0.5%の差でも結構影響があります。

(2)購入時手数料が、長期投資に及ぼす影響

期待リターンと信託報酬が同じで販売手数料が違う二つのファンドを毎月1万円ずつ長期積立したケース

<例1:販売手数料1.05%のファンドによる損失>

投資
期間
10年 155.3万円 153.7万円 1.6万円
20年 411.0万円 406.7万円 4.3万円
30年 832.3万円 823.5万円 8.7万円

 A:実質リターン5% 販売手数料ゼロ
 B:実質リターン5% 販売手数料1.05%

どうでしょう。それほどの差ではありません。

<例2:販売手数料3.15%のファンドによる損失>

投資
期間
10年 155.3万円 150.4万円 4.9万円
20年 411.0万円 398.1万円 12.9万円
30年 832.3万円 806.0万円 26.2万円

 A:実質リターン5% 販売手数料ゼロ
 B:実質リターン5% 販売手数料3.15%

さすがに、3%の手数料は、ちょっと効いてきますね。しかし、この30年投資後の金額差は、保有コストの差に換算すると0.17%/年程度の差にしか過ぎないんです。(ゴールシークで計算してみました)。

というわけで、販売手数料よりも保有期間中にかかるコストの方が、重要なんですね。当然、このことは、銀行の窓販なんかでは、絶対に教えてくれないと思います。もし、教えてくれたなら、その人は、とてつもなく、いい人です。

2.保有コストの具体例

具体例として、ちょうど手元にあります「中央三井外国株式インデックスファンド」の第6期(決算日2007年2月21日)を勉強してみたいと思います。と言ってもちょこっと見るだけですけど。

もしも、お持ちの方がいらっしゃったら、P5です。

項目

前期

当期

信託報酬 88円 106円

(投信会社)

(42) (50)

(販売会社)

(38) (47)

(受託銀行)

(8) (9)
売買委託手数料 2 0

(株式)

(1) (0)

(新株予約権証券)

-

(0)

(投資信託証券)

(0) (0)

(先物・オプション)

(1) (0)
有価証券取引税 5 2

(株式)

(5) (2)

(投資信託証券)

(0) (0)
保管費用等 13 7
合計① 108 115
期末基準価額② 11,964 14,604
①/② 0.90% 0.79%

①は、実績コスト。①/②は、期末基準価額に対する実績コスト率(参考)です。

覚えておくべきは、「信託報酬」以外にもコストがいろいろかかっているということです。

「売買委託手数料」「有価証券取引税」「保管費用等」は、実際に決算が来ないと、わかりません。

 しかし、この「実際に決算が来ないとわからないコスト」に、思いもしないほどの金額がかかっているファンドが結構あったりします。外国株式クラスのアクティブ系ファンドなどと見比べると、上記の、中央三井外国株式インデックスファンドは、極めて良心的かつ効率の良い運用をしていることがわかると思います。(売買委託手数料ゼロというのは、目を疑いました。無論、いい意味で、です。 (乙川乙彦さんから、ゼロというのはあり得ず、小数点以下四捨五入(あるいは切捨て)では?とご指摘いただきました。乙川さんありがとうございます。)

参考エントリー:HSBCのファンド群とそのコスト

多くの場合、目論見書には、「信託報酬以外にも、○●や□▲がかかります」としか表現されていません。コストにこだわる人は、出たばかりの新設ファンドを買うのはやめておいた方が無難です。

というわけで、みなさん、コストには、とことんこだわりましょう。

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コメント

外国株式のインデックスファンドは、母はソニー銀行で件のファンドを持っているので良いのですが、私のほうはどうすべきかと決めかねている状況です。

短期でETFに乗り換えるのであれば、トヨタバンガードやステートストリートの方が良いということになりますが、こちらのほうは当面そこまで行くことが出来ないと考えています(月1~2万程度とすると、50万円台に達するにも2~5年かかる)。そうなれば、件のファンドも検討対象に出来るといえましょうか。

先ほどのマネックス・ウェルズリー・インカムファンドの件ですが、わざわざ時間を割いて御回答いただき、有難うございました。この検証記事の件とあわせ、お礼申し上げます。

投稿: 新幹線 | 2007年5月 1日 (火) 13時44分

新幹線様
 コメントありがとうございます。
 未来のことは、誰にもわかりません。商品の選択は、トラッキングエラー(どうなるのかわかりません)も含めて考えると、ある所から先は、「好き好き」となるのではないでしょうか。

投稿: NightWalker | 2007年5月 1日 (火) 15時17分

 売買委託手数料ゼロというのは、小数点以下1位を四捨五入したらゼロになったという意味でしょうね。無料で証券類が売買できるわけはありませんから。
 まあ1円未満ならば無視しても問題はないと思います。

投稿: 乙川乙彦 | 2007年5月 1日 (火) 22時36分

乙川乙彦様
>小数点以下1位を四捨五入したらゼロになったという意味
 ご教授ありがとうございます。なるほど、そういうことなんでしょうね。それにしてもローコストです。
 

投稿: NightWalker | 2007年5月 1日 (火) 23時03分

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